
医療に欠かせない職種でありながら、どこか影が薄いと言われてしまうこともある、薬剤師という哀しき存在……。「あるある話」を通して、もっと知ってください。私たち薬剤師のこと!
女性薬剤師の団結力はすさまじい?【薬剤師のあるあるシーン #8】

仕事と子育ての両立も、仲間の理解と協力があってこそ
昨今の女性は、仕事と子育ての両立に必死! しかし、「男性も育児に参加するのが当たり前」という意識が広まってきたこと、それを後押しする社会制度(男性の育休取得推進など)の整備が進んできたことは、子育てを終えてしまった私としても心強く、うれしく感じます。
薬剤師は6割以上が女性(※)なので、当然かもしれませんが、女性ばかりの職場がそれなりにあります。短い期間でしたが、私も女性だけの病院薬局に勤務したことがありました。「仕事と子育ての両立をみんなで支えよう」という職場風土があり、とても働きやすかったと記憶しています。その頃、私はちょうど1歳の子どもを抱えて、まさに毎日が戦いでしたが(当時はすでに夫婦別居中)、先輩方は「いつか来た道」、年下の後輩たちは「やがて行く道」と思ったのか、非常によくしていただきました。
※参照:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 3 薬剤師|厚生労働省
忘れられないのは、私が健康診断の受診を予定していたある日のエピソード。勤務先の病院は週6日診療で、スタッフは個々の希望に沿って平日を含めて週休2日という勤務体制でした。私が健康診断に合わせて休日を取っていたまさにその日、子どもが急に発熱したため、あらためて別日に受診しなければならなくなってしまいました。
その日に合わせて年次有給休暇を取ってもいいのですが、急遽とはいえ誰かと休日を交換してもらうことができれば、有休を消化しなくて済むので好都合ではあります。どうしようかと考えていたところ、事情を知った後輩が自ら「お休みの日を交換しましょうか?」と申し出てくれたのです。心遣いがありがたかったですね。
今や女性の社会参画が進み、各自が多様な生き方を選択しやすくなっている状況ですが、共通点の多い者同士が集まれば、やはり通常以上の団結力が発揮されるのかもしれません。子育てのことだけではなく、仲間が悩みを抱えていれば助けたくなるのです。一緒に働いていて距離が近ければ、なおさら。
ようやく子どもに手がかからなくなった頃、私は病院事務室の勤務となっていました。子育て世代の薬剤師の同僚たちに十分な恩返しができなかったことは心残りです。

東北大学薬学部卒業後、ドラッグストアや精神科病院、一般病院に勤務。現在はライターとして医療系編集プロダクション・ナレッジリングのメンバー。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
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