薬剤師のスキルアップ 公開日:2025.04.18 薬剤師のスキルアップ

NR・サプリメントアドバイザーとは?資格の取得方法や合格率などを解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

サプリメントアドバイザーの資格取得ができる団体や組織にはさまざまなものがあります。厚生労働省のホームページでは、アドバイザリースタッフの資格認定を行っている団体として一般社団法人日本臨床栄養協会の「NR・サプリメントアドバイザー」が紹介されています。そこで、本記事では、NR・サプリメントアドバイザーについて仕事内容や受験資格、試験内容、合格率・難易度、更新方法などを解説するとともに、その他のサプリメントアドバイザーの資格についても紹介します。

1.NR・サプリメントアドバイザーとは?

NR・サプリメントアドバイザーとは、一般社団法人日本臨床栄養協会による認定制度で、NRはNutritional Representativeの略称です。保健機能食品やサプリメントを活用している・活用を検討している一般消費者に対して、専門的な観点から栄養状態を評価し、適切なアドバイスができる人を認定します。
 
厚生労働科学研究成果データベースの資料では、主な領域別認定・専門薬剤師のひとつとしてNR・サプリメントアドバイザーが紹介されています。CPC認証を受けていない資格ではありますが、サプリメントや栄養関連の専門性を高めたい薬剤師には向いている資格といえるでしょう。
 
参照:国民のニーズに応える薬剤師の専門性のあり方に関する調査研究 資料1-1 主な領域別認定・専門薬剤師|厚生労働科学研究成果データベース

2.NR・サプリメントアドバイザーの仕事内容

NR・サプリメントアドバイザーの資格を取得した薬剤師は、病院や薬局の患者さん、ドラックストアなどの一般消費者へ、サプリメントや保健機能食品を適切に活用できるよう指導やアドバイスを行うことが主な役割といえます。
 
サプリメントや保健機能食品の利用目的は、食事だけでは不足してしまう栄養素を補うことです。しかし、一般消費者の中には「栄養はたくさん摂ったほうがよい」と考えてしまい、用法用量を守らずに摂取してしまう人もいることでしょう。
 
サプリメントや保健機能食品などは、過剰に摂取することで体調が悪くなったり、気になる症状が現れたりする場合があります。そのため、NR・サプリメントアドバイザーは、正しい情報を提供し、一般消費者の安全を確保することが求められます。
 
参照:NR・サプリメントアドバイザーとは|日本臨床栄養協会
参照:資格の活かし方|日本臨床栄養協会
 
厚生労働省のホームページでは、保健機能食品などを摂取する人や摂取を検討する人へ、適切なアドバイスや正しい情報提供ができる専門家を「アドバイザリースタッフ(AS)」と呼んでいます。
 
また、アドバイザリースタッフの資格認定を行っている団体の一つとして、一般社団法人日本臨床栄養協会の「NR・サプリメントアドバイザー」を紹介しています。
 
参照:アドバイザリースタッフ|厚生労働省

3.NR・サプリメントアドバイザーの取得方法

NR・サプリメントアドバイザーを取得するためには、通信教育を受講後、認定試験に合格しなければなりません。ここでは、受験資格や試験内容、費用、合格率と難易度についてお伝えします。

 

3-1.受験資格

NR・サプリメントアドバイザーの受験資格は、以下のとおりです。

 

● 日本臨床栄養協会に入会し、会員であること
  ※会費の未納などがある場合、会員資格は停止となる
● 【初回受講】NR・サプリメントアドバイザー講座(通信教育)を受講していること
  ※会員種別が「養成校(在校生)」・「養成校(卒業生)」に該当する人は除く

 

日本臨床栄養協会の会員種別には、「正会員」「学校会員(学生会員)」「団体会員」「賛助会員」の4つがありますが、NR・サプリメントアドバイザーの受験資格を得るには「正会員」「学校会員(学生会員)」「団体会員」のいずれかである必要があります。
 
なお、資格取得後は「正会員」であることが求められ、退会すると資格が失効するため注意が必要です。
 
参照:会員制度・入会案内|日本臨床栄養協会
参照:NR・サプリメントアドバイザーになるには|日本臨床栄養協会
参照:認定試験・出願方法について|日本臨床栄養協会
 
NR養成カリキュラムを実施している学校に在学している学生は、「養成校(在校生)」・「養成校(卒業生)」に該当するため、通信教育の受講が免除されます。また、「養成校(在校生)」は認定試験に合格するまで入会金や年会費の支払いは不要ですが、「養成校(卒業生)」は入会の手続きを行う際に入会金と年会費を支払わなければなりません。
 
参照:学生会員について|日本臨床栄養協会
参照:NR養成校在校生・卒業生の皆様へ|日本臨床栄養協会

 

3-2.試験内容

認定試験の試験時間は2時間、試験形式は全90題の択一式(CBT方式)で、受験料は15,300円(税込)です。試験内容は以下のとおりです。

 

● NR・サプリメントアドバイザーの役割と倫理
● 基礎の生理学
● 基礎の生化学
● 人間栄養学
● 生活習慣病概論
● 臨床栄養と臨床検査
● 身体活動と栄養
● 食品安全衛生学
● 健康食品
● 臨床薬理学
● 食品機能の科学的根拠
● 行動科学とカウンセリング
● 国内外の関連法規-食品の健康表示と安全性-

 

上記の項目は、NR・サプリメントアドバイザー講座(通信教育)のカリキュラムとなっており、厚生労働省のガイドラインに100%対応した内容となっています。試験に合格するためには、講座の内容をしっかりと理解しておく必要があるでしょう。
 
参照:認定試験・出願方法について|日本臨床栄養協会
参照:NR・サプリメントアドバイザー講座(通信教育)について|日本臨床栄養協会
参照:よくあるご質問|日本臨床栄養協会

 

3-3.合格率と難易度

NR・サプリメントアドバイザーの合格率は、日本臨床栄養協会のホームページで資格別に公表されています。2024年12月1日に実施された認定試験の全体の合格率は60.9%、薬剤師の合格率は86.7%でした。薬剤師の合格率は平均よりも高いことから、薬剤師にとっては取得しやすい認定資格といえるかもしれません。
 
試験対策には、日本臨床栄養協会の公認テキストの活用がおすすめです。各分野の解説と認定試験に向けた練習問題が掲載されているため、受講申し込み時にテキストも購入すると試験対策をしやすくなるでしょう。
 
参照:NR・サプリメントアドバイザー資格認定者|日本臨床栄養協会
参照:公認テキスト NR・サプリメントアドバイザー必携|日本臨床栄養協会

4.NR・サプリメントアドバイザーの更新方法

NR・サプリメントアドバイザーは5年ごとの更新制となっており、更新手続きは会員マイページから行います。更新要件や更新に必要な研修単位について見ていきましょう。

 

4-1.更新要件

NR・サプリメントアドバイザーの資格を更新するためには、以下の要件を満たさなければなりません。

 

● 日本臨床栄養協会の正会員であること(5年分の年会費に未納分がない)
● 更新のための研修単位50単位を取得していること
● 更新レポートを作成(600~2400文字)

 

期日までに更新申請をしなかった場合には、認定資格が失効します。そのため、認定資格の有効期限を把握しておくことが大切です。

 

4-2.研修単位

更新に必要な50単位は、以下のセミナー受講・学術大会参加などで取得します(2025年4月時点)。

 

● NR・サプリメントアドバイザー レベルアップセミナー オンデマンド受講【10単位】
  ※8月下旬に配信開始予定
● その他協会主催セミナー・研修会への参加
  ※取得単位数/費用は各セミナー・研修会情報、または会員マイページで確認
● 日本臨床栄養協会学術大会(第22回大連合大会)参加 【10単位】
● サプリメントフォーラム2024(第22回大連合大会内実施)受講【10単位】
● NR・サプリメントアドバイザー講座(通信教育)の再受講 【20単位】
● サプリメントフォーラム2023 オンデマンド配信受講【10単位】
● NR・サプリメントアドバイザーサポーターとしての活動【10単位】
  ※協会が認めた場合
● 協会が承認した学会や団体の実施するセミナー等への参加
  ※取得単位数/費用は他団体主催のセミナー一覧・研修会情報、または会員マイページで確認

 

ほかにも、論文発表・学会発表の実績が、単位付与の対象です。ただし、論文発表や学会発表を単位とするためには、協会へ申請して審査に合格しなければなりません。審査は2週間程度かかるため、余裕のあるスケジュールで申請しましょう。
 
参照:資格取得後の更新制度について|日本臨床栄養協会

5.その他のサプリメントアドバイザーの資格

NR・サプリメントアドバイザー以外にもサプリメントアドバイザーに関する資格があります。ここでは、日本ニュートリション協会が認定するサプリメントアドバイザーと、メディカルサプリメントアドバイザーについて紹介します。

 

5-1.サプリメントアドバイザー(日本ニュートリション協会)

日本ニュートリション協会が認定するサプリメントアドバイザーを取得するためには、サプリメントアドバイザー養成講座の1stステージ(基礎編)、2ndステージ(ビジネス編)に合格する必要があります。すべての課題に合格した人に修了証・認定証とIDカードが授与されます。
 
同協会では、サプリメントアドバイザーの下位資格として「サプリメントマイスター」、上位資格として「サプリメントドクター」の認定も行っています。
 
参照:受講案内|日本ニュートリション協会

 

5-2.メディカルサプリメントアドバイザー

メディカルサプリメントアドバイザーは、株式会社コアメディックが実施する医療従事者向けの認定講座を受けることで取得できます。
 
認定資格を取得するためには、e-ラーニングで講座を受け、全課程修了後に認定試験を受験しなければなりません。受講から認定試験まですべてオンラインで実施されているため、インターネットがつながる環境があればいつでも学習を進められるのが特徴です。試験時間は2時間、問題数は100問(択一式)となっており、試験結果は登録したメールアドレスへ連絡されます。
 
参照:メディカルサプリメントアドバイザー|エビデンスベースで学ぶ、医療従事者限定のサプリメント認定資格講座

6.サプリメントや保健機能食品の知識を深めよう

サプリメントや保健機能食品は、食品に分類されます。そのため、一般の消費者が健康的な身体づくりを目的に、手軽に取り入れられる点が魅力でしょう。しかし、サプリメントや保健機能食品は、不適切な摂取により健康を損なう可能性もあるため、正しい知識と情報を得ることが大切です。
 
薬剤師が働く職場では、サプリメントや保健機能食品を取り入れている患者さん、消費者の方と接する機会が得られやすいでしょう。薬剤師はサプリメントや保健機能食品の知識を深め、消費者の方々が正しい情報をもとに適切に摂取できるようサポートすることが求められます。

 
🔽 認定薬剤師の種類一覧を紹介した記事はこちら


執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。