【本田参院議員】地域貢献薬局の評価必要~薬問題を国民的関心事に

月の参議院議員選挙で2期目の当選を果たした薬剤師議員の本田顕子氏(写真)は、本紙のインタビューに対し、医薬品不足や薬局・薬剤師の偏在問題について「コメ不足問題と同様に、一般の人たちが関心を持って薬局や薬剤師の必要性を身近に考えてもらえるようにするのが政治の役割」と述べ、地域に貢献する薬局が評価される新たな仕組みが必要との考えを示した。一方、参議院厚生労働委員会の委員長に就任したことについては、「自民党が委員長ポストを譲った委員会がある中で厚労は守った。職責の重みを感じている」と思いを語った。
本田氏は2期目に当たって、「命と暮らしを守ることを軸に訴え、薬業界の代表として送っていただいたので、現場の課題解決に向けてしっかり政策実現していく」と抱負を語った。任期中の6年間で実施したい政策として、「薬剤師の賃上げ」「創薬」「医薬品の安定供給問題の解消」「AMR(薬剤耐性)対策」の四つを挙げた。
現在も続く医薬品の安定供給問題については「現場が大変疲弊している」との認識を示した。薬局経営が厳しい状況に直面する中、診療報酬改定の医科、歯科、調剤の技術料配分について「『1:1.1:0.3』の堅持がマスト」と述べ、「個店の薬局では資源が少ないために調剤報酬上の加算も取れない。地域に貢献している薬局がしっかりと評価されるよう話し合いをしないといけない」と語った。
薬局・薬剤師が医薬品供給で果たしている役割について、一般生活者への理解促進も「政治の役割」との考えを示した。7月の参院選では年金・医療・介護が争点となる中、「薬業界の課題をどこまで訴えられたかという反省がある。コメが足りないという問題と同じように医薬品がないことも問題。薬局や医薬品の問題への関心はそれほど高くない」と実感を語り、医薬品の国内生産や価格などを一人ひとりが自分事として考える国民的議論に広げたい考えを示した。
地域医療を守る病院薬剤師が不足している問題についても「病院薬剤師の処遇改善はすごく大事。俸給表の見直しに向けてしっかり取り組んでいかないといけない。病院薬剤師を目指したいという人が増えるための努力をしたい」と語った。
また、早期に実現していきたい政策として「中間年改定廃止」を訴えた。「2016年に中間年改定を決めた時と今の物価高騰の状況は違うと主張していきたい。骨太方針も自民党の厚生労働部会の提案が受け入れられず、政府にも届いていない。党内で理解する議員を増やすことが大事」と語った。
一方、参院厚労委員会委員長就任の経緯については「自民党として12議席いただき、個人としては6年前の選挙から得票数を減らしたが、3年前の参院選と比べて組織内候補で票を増やしたのは郵政、建設、薬剤師の団体だけ。医療系の中で頑張ったということで委員長としての使命をいただいた」と説明した。
現在、少数与党体制にあり、委員長には委員会を運営するための手腕がより必要とされる。今後の議事運営に向けては「中立・公正を旨にしっかりとした議論を進めるようにしたい。参院自民党にも交渉事が得意な先生もいるので指導を仰ぎたい」と述べた。
薬剤師議員である神谷正幸参院議員を参院厚労委員会理事に選出した。委員長の場合、質問ができなくなるため、「必要に応じて神谷先生にはしっかりと思いを伝えて質問してもらう」と述べた一方、「組織内候補が委員長と理事というのはなかなか例がないため、自分の分野だけやっていると思われないよう広い観点で委員会を運営できるようにしていきたい」と話した。
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【第27回参院選】本田顕子氏が2期目当選~「薬業界の思いを形に」
出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
2025年7月の参議院議員選挙で2期目の当選を果たし、参議院厚生労働委員長に就任した薬剤師議員の本田顕子氏が、医薬品不足や薬局・薬剤師の偏在問題について「コメ不足問題と同様に、一般の人たちが関心を持って薬局や薬剤師の必要性を身近に考えてもらえるようにするのが政治の役割」と述べ、地域に貢献する薬局が評価される新たな仕組みが必要との考えを示しました。