
医療に欠かせない職種でありながら、どこか影が薄いと言われてしまうこともある、薬剤師という哀しき存在……。「あるある話」を通して、もっと知ってください。私たち薬剤師のこと!
薬剤師は2種類の「薬の名前」を使い分けている?【薬剤師のあるあるシーン#15】

薬の名前って、2つあるのをご存じですか? 一般名と商品名(製品名)です。
ロキソニンでいうと、一般名がロキソプロフェンナトリウム、商品名がロキソニン。ロキソニンは商品名が1つだけですが、2つ以上の薬もあります。例えば、降圧薬のアムロジピン(一般名)の場合、アムロジンという一般名と似た製品の他に、ノルバスクという製品もあります。
商品名は製薬会社によって違うため、一般名に似ているもの、そこからかけ離れているものなどさまざまです。薬剤師としては、一般名から想像のできる範囲で、かつ医療事故を防ぐ観点から他の製品と似ていない商品名を付けてくれるとうれしいと考えています。
薬剤師は基本的に、患者さんへの説明では「ロキソニンですね」と分かりやすい商品名で話し、医師への疑義照会では「このロキソプロフェンですが」と一般名で話すなど、相手によって使い分けています。しかし、たまに患者さんにうっかり一般名で話してしまい、「え?」と固まらせてしまうこともあります。時々、自分自身も「どっちが一般名?」と混乱してしまいます。
後発医薬品の商品名については2005年に名称ルールができ、新たに承認申請するものについては「一般名+製薬会社名」とすることになりました。とはいえ、薬剤師の脳内では常に多くの「薬の名前」が飛び交っており、頭の引き出しを瞬時に切り替えるのは大変です。

東北大学薬学部卒業後、ドラッグストアや精神科病院、一般病院に勤務。現在はライターとして医療系編集プロダクション・ナレッジリングのメンバー。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
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