薬局は賃上げ対応に苦慮~両側委員が実調で見解 中央社会保険医療協議会総会
中央社会保険医療協議会総会が3日に開かれ、診療側・支払側の委員が医療経済実態調査の結果に対する見解を公表した。森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は「薬局の損益状況は対前年比で減少傾向にあり、賃上げや物価高への対応が影響し、厳しい経営状態が続いている」と述べ、診療報酬上の対応を求めた。
一方、支払側代表の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「調剤は23年度と概ね同水準の黒字を維持し、概ね堅調」との見解を示した。薬局の立地別では、診療所前や医療モール内の損益差額率がそれぞれ6.2%、7.6%と高水準にあったと指摘した。
これに対し森氏は、法人立薬局の損益差額率は5%前後を維持し、最頻階級では給与費の大幅増により損益差額率は1.7%増とわずかにプラスを維持したものの、対前年比では0.5ポイント減少し、金額規模では23%減少しているとのデータを示した。
また、薬局経営を圧迫している要因として給与費の増加を挙げ、管理薬剤師・薬剤師は年額約1万4500円、事務職員は年額約2万7200円程度の賃上げにとどまっている実態を説明した。
森氏は「保険薬局の約3割が赤字に陥っており、極めて厳しい状況にある」と強調した上で、「全ての薬局で給与費が増加し、従業員の賃上げに積極的に取り組んでいることが分かるが、管理薬剤師、薬剤師、事務職員の賃上げを優先し、他業種への人材流出に苦慮している」と窮状を訴えた。
特に、1店舗、2~5店舗規模の薬局については「損益状況が厳しく、経営状態は極めて脆弱である。このままでは、さらなる賃上げや物価高への対応は困難」とし、2026年度診療報酬改定において十分な対応が必要との認識を示した。
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出典:薬事日報



薬+読 編集部からのコメント
中医協総会で、診療側・支払側の委員が医療経済実態調査の結果に対する見解を公表。日本薬剤師会副会長の森昌平委員は「薬局の損益状況は対前年比で減少傾向にあり、賃上げや物価高への対応が影響し、厳しい経営状態が続いている」と述べ、診療報酬上の対応を求めました。