【26年度改定項目案】面分業進まぬ薬局適正化 ~ 門前薬局立地依存減算へ 厚生労働省
厚生労働省は23日の中央社会保険医療協議会総会で、2026年度診療報酬改定の個別改定項目案(短冊)を示し、特別区・政令指定都市に新規出店する医療機関の調剤基本料を適正化する方針を打ち出した。特定の医療機関からの処方箋集中率が85%以上で、一定の処方箋を応需する新規出店薬局は調剤基本料1の算定対象外とし、そのうち医療モール薬局、医療機関近隣の門前薬局、敷地内薬局には「門前薬局等立地依存減算」を適用して所定点数を引き下げる。一方、かかりつけ薬剤師指導料等を廃止し、服薬管理指導料へ統合するなど、大幅な見直しも行われた。都市部で面分業が進まない薬局にはマイナス改定が見込まれ、特にかかりつけ薬剤師指導料の算定割合が高いチェーン薬局への影響が大きいと見られる。
「集中率85%超」基準に
今回の見直しで参考としたのが、策定から10年が経過した「患者のための薬局ビジョン」だ。地域医療に貢献する薬局を評価するため、ビジョンに沿う薬局は評価し、そうでない薬局は適正化する。薬局・薬剤師の地域偏在が問題視される中、「薬局を守る」のではなく「頑張っている薬局を応援する」というよりシビアな評価方針に舵を切った。
中でも焦点となったのが「調剤基本料」「かかりつけ薬剤師指導料」の二つである。調剤基本料の改定案では、調剤基本料1(処方箋1枚につき45点)と同3-ハ(35点)について、物価変動分の引き上げに加えて増点する。これは面分業の促進を狙ったものだ。
全国の薬局数は約6万3000軒に上り、依然として敷地内薬局、医療モール薬局、門前薬局が並ぶ状況が続いている。薬局は立地依存型の構造から脱しきれていない。
門前から地域へのシフトを促すため、地域密着型で面分業を推進する薬局を基本料で評価する。今回は面分業の基準を「特定医療機関からの処方箋集中率85%」に設定した。
基本料3-ハは集中率85%以下の薬局が算定できるもので、面分業を進めている薬局と位置づけ、引き上げ対象とした。一方、集中率85%超で、かつへき地でないことを担保する一定の処方箋枚数を応需している薬局は救済対象としない方針。特に行政区や政令指定都市など都市部に新規出店する薬局をターゲットとしている。
都市部の新規開設標的
今回、都市部で集中率85%以上かつ1カ月600回超の新規薬局については、調剤基本料1から同2へ引き下げる方向性が示された。ただ、行政区・政令指定都市でも薬局の偏在状況に差があるため、対象を「水平距離500m以内に他薬局がある場合」に限定する距離制限も設定された。
さらに、新規開設の門前薬局、医療モール薬局、敷地内薬局には門前薬局等立地依存減算を適用し、基本料を減算する。500m以内に他薬局があることに加え、▽大型病院から100m以内に立地▽薬局の周囲50m以内に他の薬局が2施設以上――に該当する場合に適用する。
厚労省は、十分な機能を持たない小規模薬局が都市部に乱立する現状を問題視しており、今回の改定によって「一定程度の抑制が見込める」としている。今回の措置は都市部の新規出店薬局に限定され、東京都薬剤師会や大阪府薬剤師会が懸念していた既存薬局の調剤基本料適正化は行われなかった。
中医協委員で日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、「既存薬局が調剤基本料1を算定できることを守ることができた」と安堵の表情を見せ、都市部の新規薬局が基本料1を算定できないという方向性にも一定の理解を示した。
日薬が実施した駅から半径1km以内に立地する医療機関数の調査では、全国の駅周辺で最も多い地域は470施設、最少は6施設と偏在が極端であることが分かった。医療機関周辺に薬局が立地する傾向があるため、医療機関と薬局の偏在は一致しやすい。
地域偏在の是正が課題となる中で、森氏は「470の医療機関が密集する地域で調剤基本料1を維持してほしいと求めるのは、実態を考えると難しい」と率直な見方を語る。
今回の改定では都市部の既存薬局は守られたが、中長期的には予断を許さない。面分業への移行を進めなければ、28年度改定でどのような整理が行われるかは不透明である。
一方、へき地については自治体運営の病院の敷地内薬局を「特別調剤基本料A」の対象から除外し、基本料1の算定を可能とするが、民間病院の敷地内薬局は対象外となる。
かかりつけ指導料は廃止
また、かかりつけ薬剤師指導料の廃止方針も大きな見直しである。患者のための薬局ビジョンに基づき導入された同指導料は、10年で幕を下ろすこととなった。
現行制度では、一定条件を満たすかかりつけ薬剤師が患者の同意を得て、保険医と連携しながら服薬状況の一元的・継続的把握と指導を行った場合、処方箋1回につき76点、また、かかりつけ薬剤師包括管理料では291点を算定できた。これらは算定不可となり、まさにゼロベースの整理である。
かかりつけ薬剤師が行う業務の評価は、服薬管理指導料に組み込まれる。かかりつけ薬剤師による指導の評価や、継続的な服薬指導、患家訪問での残薬対策などの評価が新設される。
患者等の同意を得てかかりつけ薬剤師が必要な指導を行った場合に所定点数を算定し、その他の薬剤師による指導との差別化を図る。
さらに、調剤時残薬調整加算や薬学的有害事象等防止加算を算定した薬剤師には「かかりつけ薬剤師フォローアップ加算」(3カ月に1回)、患家訪問による残薬対策には「かかりつけ薬剤師訪問加算」(6カ月に1回)を設ける。
後発品調剤体制加算も廃止され、地域支援体制加算を改称した「地域支援・医薬品供給対応体制加算」に組み込まれる。数量シェア90%到達に伴い、役割を終えたための措置であり、算定要件として後発品調剤割合に加え、医薬品安定供給の体制や流通改善ガイドラインの遵守が盛り込まれた。
具体的には、▽他薬局への医薬品分譲▽重要供給確保医薬品(内用薬・外用薬)を1カ月程度備蓄▽原則全品目を単品単価交渉とする――などの要件を満たす必要がある。
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出典:薬事日報



薬+読 編集部からのコメント
厚労省は中医協総会で2026年度診療報酬改定の個別改定項目案(短冊)を示し、特別区・政令指定都市に新規出店する医療機関の調剤基本料を適正化する方針を打ち出しました。かかりつけ薬剤師指導料等の廃止および服薬管理指導料への統合なども行われます。