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更新日:2023.05.30公開日:2016.07.11 美容&健康トレンド薬剤師兼美容家として活動する花田真理さんが、「薬剤師として知っておきたい美容の知識」「手軽にできるヘアアレンジ」など、“薬剤師と美容”をテーマに語るコラムです。
化粧品の宣伝で「パラベンフリー」や「無添加」という言葉を見かけたことはありますか?
「パラベンフリー」や「無添加」と聞くと、「肌に優しそう」「安全そう」といったイメージを持つ人が多いと思いますが、果たしてそれは正しいのでしょうか。
ドラッグストアや化粧品の取扱いがある調剤薬局だとこれらについて質問されることがあるかもしれません。
今回はそんなときに役立つよう、2回にわたって「パラベンフリー」「無添加」の意味と注意点についてご説明します。
パラベンとは?
パラベンは「パラオキシ安息香酸エステル」が正式名称で、防腐剤として使用されています。化粧品だけでなく、医薬品や飲料、食品にも用いられます。
抗菌性が高く、少ない含有量で優れた防腐効果を発揮すること、人体に対する毒性が低いことなどからさまざまな製品に頻繁に使用されています。また80年以上前から使用されており、効果や安全性に関する情報が数多くあることも選択される理由のひとつです。
パラベンにはいくつかの種類があり、一般的に使用されているのは、「メチルパラベン」「エチルパラベン」「プロピルパラベン」「ブチルパラベン」の4つです。
パラベンフリーとは?
パラベンフリーとは、「パラベンが含まれていない」という意味です。
「パラベンフリー=防腐剤無配合」と勘違いしている方もいますが、パラベンフリーをうたっていても他の種類の防腐剤が配合されていることがあります。
つまり「パラベンフリー」とは”防腐剤としてパラベンを使用していない”というだけで、防腐剤を使用しているかしていないかとは別問題ということです。
パラベンフリーが良いと思われている理由
化粧品の全成分表示が義務づけられるよりも前から、パラベンは表示指定成分(使う人の体質によってごくまれにアレルギー等の肌トラブルを起こす恐れのある成分)として指定されていました。パラベンアレルギーの人にとってはわかりやすい表示でいいのですが、これにより、「パラベンは危険な成分」と誤解をしてしまった人が多いといわれています。
化粧品メーカーが「パラベンフリー」とうたう理由は?
パラベンはここまで説明した通り、パラベンアレルギーの人でない限りは特に危険な成分ではありません。
しかし、一部の化粧品メーカーがパラベンフリーをキャッチコピーとして使用するのは、「パラベンフリーなら安全・安心」といった気持ちになる人がいるためです。なかにはあえてキャッチコピーとして使用している企業もあるでしょう。
パラベンフリーの注意点とは
パラベンで肌トラブルを起こしてしまうケースがまれにありますが、これは他の防腐剤を使用した場合にも同じことがいえます(パラベンで肌トラブルを起こす人は1,000人中2~3人だといわれています)。
化粧品は3年以内に品質が変化する恐れのある場合は、使用期限の表示をしなければならないと法律で定められています。また開封してから何ヵ月かにわたって使用するものなので、防腐剤が含まれていないものを使用するとなると、雑菌が繁殖し、その結果肌に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。
天然由来の防腐剤もありますが、パラベンと同程度の低い含有量では十分な防腐効果を発揮できない場合があります。そうした防腐剤でパラベンと同じ効果を出すには含有量を高くする必要があり、その結果、刺激性などの毒性が高まって肌トラブルを起こす可能性があります。
つまり「パラベンフリー」だけがいい化粧品というわけではなく、パラベン以外の防腐剤が配合されたものを使用する場合でも、多かれ少なかれ肌トラブルが起こる可能性があるということです。患者さんやお客さまに質問された場合でも、そのように伝えられるといいですね。
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