新薬など5件を了承‐便秘型のIBS治療薬登場
薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は25日、アステラス製薬の便秘型過敏性腸症候群(IBS)治療薬「リンゼス」など5件の承認と一部変更申請を審議し、了承した。これまで、IBSに対しては、「下痢型」の治療薬があったが、「便秘型」に対する適応は国内初となる。
審議品目
▽サインバルタカプセル20mg、同カプセル30mg(塩野義製薬):有効成分のデュロキセチン塩酸塩を含有し、「変形性関節症に伴う疼痛」の効能・効果を追加する。
同剤は、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)で、既に、糖尿病性神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症に伴う疼痛の適応を取得している。既存の変形性関節症に伴う疼痛の治療薬と作用機序が異なるため、慢性化した痛みに対する新たな治療選択肢になることが期待されている。
用法・用量は、1日1回朝食後に60mgを経口投与する。投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。
再審査期間は4年。海外では、米国を含む29の国と地域で承認されている。
▽テクフィデラカプセル120mg、同カプセル240mg(バイオジェン・ジャパン):新有効成分のフマル酸ジメチルを含有し、「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」を効能・効果とする。
同剤は、酸化、炎症、生体異物ストレスを軽減する重要な細胞防御機構であるNrf2経路の活性化により、抗炎症作用及び神経保護作用を示す。
用法・用量は、1回120mgを1日2回から投与を開始し、1週間後に1回240mg1日2回に増量する。
希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。海外では米国、欧州など54の国と地域で承認されている。
▽リンゼス錠0.25mg(アステラス製薬):新有効成分のリナクロチドを含有し、「便秘型過敏性腸症候群」を効能・効果とする。
同剤は、腸管管腔表面のグアニル酸シクラーゼC受容体を活性化することで腸管分泌および腸管輸送能の促進、大腸痛覚過敏の抑制作用を示し、便秘型過敏性腸症候群の症状を改善する。
過敏性腸症候群は便秘型、下痢型、混合型、分類不能型――に分類され、既にセレキノン錠、コロネル錠、アミティーザなどの治療薬があるが、「便秘型」に特化した適応を持つ薬剤は国内初となる。
用法・用量は、0.5mgを1日1回、食前に経口投与する。
再審査期間は8年。海外では米国、欧州を含む17カ国で承認されている。
▽ヤーズフレックス配合錠(バイエル薬品):有効成分のドロスピレノン、エチニルエストラジオールベータデクスを含有し、「子宮内膜症に伴う疼痛の改善、月経困難症」を効能・効果とする。
同剤は、既存の「ヤーズ配合錠」と配合成分と配合比率が同じだが、実薬24錠とプラセボ4錠の計28錠を1シートに包装したヤーズ配合錠に対して実薬28錠を1シートに包装し、最大124日を1周期とするの投与を可能とした。
用法・用量は、1日1錠を経口投与する。24日目までは出血の有無にかかわらず連続投与する。25日目以降に3日間連続で出血(点状出血を含む)が認められた場合、または連続投与が120日に達した場合は4日間休薬する。休薬後は出血が終わっているか続いているかにかかわらず、連続投与を開始する。
再審査期間は4年。海外では、「避妊を望む女性における月経困難症の治療」等の効能・効果で最大124日を1周期とする用法・用量で17カ国で承認されている。
▽セララ錠25mg、同錠50mg(ファイザー):有効成分のエプレレノンを含有し、「慢性心不全状態で、アンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬、β遮断薬、利尿薬等の基礎治療を受けている患者」の効能・効果を追加する。
用法・用量は、1日1回25mgから投与を開始し、血清カリウム値、患者の状態に応じて投与開始から4週間以降を目安に1日1回50mgへ増量する。ただし、中等度の腎機能障害のある患者は、1日1回隔日25mgから投与を開始し、最大用量は1日1回25mgとする。
再審査期間は4年。海外では、「心不全」に関する適応で62の国と地域で承認されている。
報告品目
▽リキスミア皮下注300μg(サノフィ):有効成分のリキシセナチドを含有し、2型糖尿病を効能・効果とする。食事や運動療法、併用薬の制限をなくす一部変更承認申請を行った。これにより、単独療法が可能になる。
再審査期間は残余の2021年6月27日まで。
▽ヒューマログ注カート、同注ミリオペン(日本イーライリリー):有効成分のインスリンリスプロ(遺伝子組み換え)を含有し、持続型インスリン製剤と併用するしばりを外し、単独投与できるようにする。
再審査期間はなし。
▽献血グロベニン-I静注用500mg、同静注用2500mg、同静注用5000mg(日本製薬):有効成分のポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンGを含有し、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の運動機能低下(筋力低下の改善が認められた場合)の効能・効果を追加する。
再審査期間はなし。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は2016年11月25日(金)、新薬など5件の承認と一部変更申請を審議、了承しました。アステラス製薬の「リンゼス」は、国内初の便秘型過敏性腸症候群(IBS)治療薬となり、新有効成分のリナクロチドを含有していると伝えられています。