調剤報酬「水準を十分に引下げ」‐中小の門前薬局に問題意識
調剤料はさらなる適正化
財務省は、2018年度診療報酬改定に向け、改定率を2%台半ばのマイナス改定とすると共に、調剤報酬の全体水準を「十分に引き下げる」適正化を行うべきとの考え方を、25日の財政制度等審議会財政制度分科会に示した。予算執行調査の結果、地域でかかりつけ機能を発揮している面薬局は少なく、大多数が門前薬局、マンツーマン薬局であることが判明。平均より小規模の中小薬局でも、大手チェーンに所属する処方箋集中率の高い薬局が多く、高い調剤基本料を算定していることを問題視し、これら薬局の機能をどう評価するか検討すべきと強調したほか、調剤料のさらなる引き下げを迫った。
財務省は、18年度診療報酬改定に向け、調剤報酬の改革を大きな柱と位置づけた。最近の薬剤師数の増加を挙げ、薬剤師1人当たりの処方箋枚数が減少する中、調剤報酬の引き上げにより技術料が維持されている状況を指摘。院外処方で算定される調剤基本料、調剤料について、薬局のどのような機能を評価し、院内処方の3倍に上るコスト差が発生しているのか明らかでないと疑問視した。
財務省が17年度の予算執行状況を調査した結果によると、処方箋集中率が50%を超える薬局が全体の7割、90%を超える薬局が4割となっており、面薬局は少数派だった。特に中小薬局でも門前やマンツーマンといった集中率が高い薬局が多いことが判明。処方箋の受付回数が平均以下で、集中率が平均以上の薬局でも3分の1は20店舗以上の大手チェーンに所属しており、単独経営の小規模薬局とは経営実態が異なると分析した。
具体的に、処方箋集中率が高い薬局は備蓄品目数が少ない傾向にあるとし、多数の備蓄品目を取り揃え、不要在庫も発生しやすい面薬局に比べてコストを抑えやすいとの考えを示した。
また、16年度改定で大型門前薬局の調剤報酬引き下げが行われたものの、調剤基本料2(250円)に減額となった薬局は全体の3%、調剤基本料3(200円)の薬局は全体の7%にとどまったことを指摘。大多数の門前薬局は、面薬局と同じ高い調剤基本料1(410円)を算定しているとし、平均より小規模の門前薬局、マンツーマン薬局の機能評価を検討していく必要があるとした。
調剤料にも問題意識を示し、調剤業務の機械化など技術進歩を踏まえ、調剤料の水準を全体的に引き下げると共に、投与日数や剤数に比例して増える仕組みを見直すべきと強調。後発品調剤体制加算についても、加算1(18点)の基準を数量シェア75%以上、加算2(22点)の基準を数量シェア85%以上に引き上げるよう提言した。
これらを踏まえ、調剤基本料と調剤料について、地域でかかりつけ機能を担っている薬局は適切に評価しつつ、こうした機能を果たしていない薬局の報酬水準を引き下げるべきとし、大手チェーンや集中率の高い薬局に対しては、より低コストでのサービス提供を求めていくべきと迫った。
その上で、18年度改定では大型門前薬局に関する調剤基本料の対象範囲を拡大し、平均以上の規模の門前薬局、マンツーマン薬局も対象とすべきとし、規模に応じた収益性や処方箋集中率の差を踏まえた段階的な報酬設定とすることを提言。平均以下の規模の門前薬局、マンツーマン薬局の調剤基本料についても、機能やチェーンへの所属など経営実態や収益性を踏まえ、引き下げを進めるべきと求めた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
薬局等の調剤報酬について、財務省は調剤基本料と調剤料について、地域で「かかりつけ機能」を担っている薬局は適切に評価をしつつ、こうした機能を果たしていない薬局の報酬水準を引き下げるべきとの見解を示しました。
2018年度の診療報酬改定は2%台半ばのマイナス改定、調剤報酬全体の水準も「十分に引き下げる」との考えです。
大手チェーンや集中率の高い薬局に対しては、より低コストでのサービス提供を求めていくべきとしています。