創薬・臨床試験

【17年度モニター事業】不適切な広告活動が増加‐「閉鎖的な場」で情報提供

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働省が医療用医薬品の広告・宣伝について調査を進めています。
2017年に選定された施設を元にしたデータでは、67件の違反が疑われるケースがありました。
製薬企業のホームページも規制対象ですが、違反が疑われる項目で最多は「事実誤認の恐れのある表現を用いた」が41.8%、次いで「事実誤認の恐れのあるデータ加工を行った」が14.9%でした。

厚生労働省は11日、医療用医薬品に関するMRやMSLなどによる広告・宣伝活動について、2017年度に全国の医療機関からモニターとして抽出した施設から報告された違反事例を公表した。52の医薬品で適切性に関する疑義報告があり、違反が疑われる項目は昨年度よりも多い67件に上ることが判明。特に企業の製品説明会やホームページ上の医療従事者専用サイトなど“クローズドな場”で不適切な広告活動が行われている実態が浮かび上がった。


厚労省は、医療用医薬品に関する広告活動監視モニター事業を昨年度の5カ月間において実施。全国から選定した医療機関の薬剤師、医師などから協力を受け、MRやMSLを通じた広告・宣伝活動、講演会、製薬企業のホームページなどを対象に不適切事例を集めた。

 

その結果、52の医薬品で適切性に関する疑義報告があり、違反が疑われる項目は67件あった。違反が疑われる項目で最も多かったのは「事実誤認の恐れのある表現を用いた」が28件(41.8%)と最も多く、次いで「事実誤認の恐れのあるデータ加工を行った」が10件(14.9%)、「未承認の効能効果や用法用量を示した」が8件(11.9%)となった。ただ、健康被害への重大性、悪質性への観点から直ちに取り締まりを行うまでの事例はなかったとしている。

 

疑義報告が行われた医薬品に関する情報の入手方法としては、「企業の製品説明会」が18件(34.6%)と最も多く、次いで「製薬企業担当者(口頭説明)」が16件(30.8%)、「製薬企業担当者(印刷物・提供)」が15件(28.8%)、「企業のホームページ」が8件(15.4%)の順となった。

 

疑義報告の多くは、製薬企業担当者を介した情報提供に関するものであり、企業の製品説明会では、プレゼンテーション用の投影資料と配布資料で内容を変えたり、プレゼンテーション用の投影資料の配布がないなど、証拠が残らない方法で情報提供が行われる手法が見られた。

 

これら調査結果から、製薬企業のMRが行う製品説明会、医療機関の訪問による情報提供といったクローズドな場では、昨年度に引き続き不適切な情報提供が行われていることが明らかになった。不適切事例のうち、同じ医薬品について複数の医療機関から似た報告が寄せられたものがあり、営業所や支店単位で関与が疑われる事例もあった。

 

また、ホームページの中で、登録した医療関係者だけが閲覧できるページに適切性に疑いのある資料が掲載されるなど、インターネット上のクローズドな場でも不適切な事例が見られたことから、業界による自主規制が必ずしも十分でないことがうかがえた。

 

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出典:薬事日報

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