医療

オンライン診療、緊急避妊薬の処方を限定的に容認へ

薬+読 編集部からのコメント

緊急避妊薬のオンライン診療が限定的に認められることとなり、「望まない妊娠」による患者さんの肉体的・精神的負担を緩和する一助となるかもしれません。処方が容認されるのは「性犯罪による対人恐怖がある場合や近くに受診可能な医療機関がない場合」と限定的で、「内服後3週間後には産婦人科受診」などの要件を満たす必要が出てくる見込みです。患者さんから質問される機会があるかもしれませんので、今月の最終決定の経過を注視しましょう。

厚生労働省は5月31日、緊急避妊薬をオンライン診療で処方する際の要件案を同省検討会に示した。患者に性犯罪による対人恐怖がある場合や受診可能な医療機関が近くにない場合に限り認めるとした。

 

厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」(画像)は現在、『オンライン診療の適切な実施に関する指針』の改定に向けて議論している。論点の1つが初診は対面診療とする原則の例外を追加すること。現行の指針で明示されているのは禁煙外来のみだが、これに加えて、緊急避妊薬も例外とする方向で議論が進められている。

 

この日、厚労省は現状として「年間約16万人が人工妊娠中絶し、心中以外の虐待死の6割以上が0歳児、0歳児のうち月齢0カ月児は約5割」とのデータを示した上で、「緊急避妊薬の適切な使用により、予期せぬ妊娠を防ぎ、ひいては児童虐待死の減少につながる」と指摘した。

 

その上で、インターネットや自治体を通じて対面診療が可能な医療機関を紹介することで「地域の産婦人科医や研修を受けた医師を受診」することを基本としつつ、「性犯罪による対人恐怖がある場合や近くに受診可能な医療機関がない場合」に限り、産婦人科医や研修を受けた医師によるオンライン診療を認めるとした。この実施に向けて、「研修受講者を厚労省ホームページで公表」「薬剤師の前での1錠のみの内服等ルールの整備」「内服後3週間後には産婦人科受診」などの施策を行うとする。

 

この案に対し、要件緩和を求める意見が出る一方で、医師の委員は厚労省案を概ね支持。日本産婦人科医会の前田津紀夫参考人も「医療の原則は対面診療だが、(オンライン診療を)認めるのであれば厚労省案が現実的」などと賛同した。

 

厚労省は6月に予定している次回検討会で指針改定の議論を取りまとめる予定。

 

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出典:Web医事新報

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