アルバイトと薬局で求められるコミュニケーションの違いを理解しましょう
相談者さんは3年ほどの飲食店でのアルバイトを通じて、接客や先輩とのコミュニケーション経験を積んできたということで、とても素晴らしいことだと思います。アルバイトの経験は、今後いろいろな状況で役に立つでしょう。
ですが、アルバイト先と薬局で求められるコミュニケーションには、少し違いもあります。たとえば、アルバイトでのコミュニケーションは、「誰とでもすぐに打ち解けられる」「初めての人とも人見知りせずに話せる」「先輩と話すときに物おじしない」のようなイメージではないでしょうか。
しかし、実務実習で求められるコミュニケーションは、服薬指導の場合「患者さんとの対話を通して、薬物治療をサポートする」ことが目的なので、患者さんの話をよく聴き、一人ひとりに適切な情報を提供することが求められます。
医療現場は患者さんの命を預かる職場であることから、接客業を含むサービス業一般より一段と細やかな配慮や気遣い、接遇マナーが必要です。コミュニケーションも、単に「聞く・話す」だけでなく、相手の気持ちを汲み取り状況に合わせて話し方を変えるなどの柔軟性が求められることを覚えておいて欲しいと思います。
実習先では「質問する」「メモを取る」「お礼を言う」を心がけましょう
これらを踏まえて、実務実習先で実践してほしいコミュニケーションのポイントをまとめてみます。
1.わからないことがあれば、すぐに質問する
実習中、わからないことがあるのは、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、真剣に取り組んでいるからこそ、わからないことに気づけるのだと思います。わかったふりをするのは医療人として絶対にあってはならないこと。タイミングを見計らって、積極的に質問しましょう。
2.メモを取る
どんなに小さなことも、教えてもらったらその場でメモを取りましょう。白衣のポケットに入る大きさのメモ帳とペンを用意して、いつでもすぐにメモできるよう準備します。あとで読み返すときに文字が乱れていて読めなかった、ということがないように、必要に応じて清書するといいでしょう。
3.教えてもらったら、御礼を伝える
担当薬剤師から指導を受けたら、必ず感謝の言葉を伝えましょう。当たり前のことですが、覚えることややるべきことが多いと案外忘れてしまいがち。思いは言葉や態度にしないと伝わりません。「ありがとうございます」「よくわかりました」などと都度伝えることで、指導者は「やる気がある」と感じ、「もっと教えたい」と思うものです。
アルバイト経験で培ったコミュニケーション力にさらに磨きをかけて、思いやりあふれる薬剤師を目指してほしいと思います。薬剤師の先輩方や患者さんと積極的に対話をして、実り多い実務実習にしてください。
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株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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