薬剤師の接遇マナー・テクニック 更新日:2023.03.23公開日:2015.05.06 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
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患者さんの質問の意図がわからないとき
患者さんの質問の意図がわからないとき

服薬指導中、患者さんから聞かれたことの意図がわからないことがあります。そんなとき、思わず黙り込んでしまうのですが、内心は「どういう意味だろう? 何か聞かなきゃ」と大慌てです。患者さんがその質問で何を知りたいのかわからないとき、どのように応対すればよいのでしょうか。

Answer
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勇気を出して、もう一度説明してもらうこと

人と向き合うことが苦手で、緊張してしまう人によくある事例ですね。このようなときは素直に聞き直すしかありませんが、その際は「勉強不足で申し訳ないのですが……」や「『○○について知りたい』ということで大丈夫でしょうか?」など、クッション言葉を入れたり、質問の要旨を復唱すると、やわらかい印象になります。
一番避けたいのは、わかったつもりで曖昧な回答をしてしまうこと。誤解したまま、間違った回答をしてしまうことは論外ですし、見当違いな回答をして「そんなことを聞いているんじゃないのに……駄目だ、この人」と思われることも避けたいですね。
それに比べれば、たとえ「ものわかりが悪いな」と思われたとしても、もう一度説明してくれるようにお願いして質問の意図を正しく理解し、きちんと回答する方がいいでしょう。
まして、この質問者さんは薬剤師歴2年目。患者さんとのコミュニケーションがうまくとれなかったり、わからないことがあっても仕方ありません。もちろん、それを当然と思ってはいけませんが、そうした経験を積み重ねることで、薬剤師として成長していくのです。わからないことは恥ずかしいことではありません。大切なのは、「その後」をどうするかです。患者さんの意図を汲み取ろうという姿勢は素晴らしいと思います。ぜひこれからも患者さんと向き合おうという姿勢を忘れないでくださいね。

「患者さんも緊張しているのかも」と思うだけで楽になる

もう一つ、質問者さんの気持ちが少し楽になるアドバイスをしましょう。質問文からは、質問者さんがとても緊張している様子がうかがえます。こういう場合は、「患者さんも緊張しているかもしれない」と考えてみてください。高いコミュニケーションスキルを持ち、言いたいことを要点立ててしっかり話せる患者さんばかりではないはずです。
質問の意図がわからなかったとき、「患者さんはちゃんと説明しているのに、自分の理解力が足りない」と思うとますます焦ってしまうので、「患者さんも緊張していて、言いたいことがうまく伝えられないのかも」と思ってみましょう。もちろん、「説明が悪い」と患者さんのせいにするのではありません。「緊張しているのはお互いさま」と思うだけでも、少しは気が楽になるのではないでしょうか。

「もう一度説明してください」とお願いするのは恥ずかしいことではありません。質問を正しく理解しようとする姿勢を大切に。
「もう一度説明してください」とお願いするのは恥ずかしいことではありません。質問を正しく理解しようとする姿勢を大切に。

村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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