薬剤師のスキルアップ 公開日:2026.05.27 薬剤師のスキルアップ

2026(令和8)年度調剤報酬改定のポイントを分かりやすく解説!新設・変更・廃止項目と点数表

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

2026年度調剤報酬改定は、新設・変更・廃止項目が多く、例年と比較しても全体的に大きく改定されている印象があります。そのため、算定漏れや算定ミスを防ぐためにも、薬局の管理者や薬剤師は、施行日に向けて改定のポイントを細かく把握しておくことが重要です。本記事では、2026年度調剤報酬改定のポイントや、廃止項目、新設項目、変更項目について分かりやすく解説します。

目次

1.薬局薬剤師が知っておきたい、2026年度調剤報酬改定のポイントとは?

2026年度調剤報酬改定は、患者のための薬局ビジョン」の進捗状況を踏まえた改定となっています。これまで、薬局が目指すべき姿として「2025年までにすべての薬局がかかりつけ薬局の機能を持つこと」「2035年には立地も地域へ移行すること」と、面分業の推進が提示されてきました。
 
しかし、現状では門前薬局や医療モール型薬局の設立が相次ぎ、処方箋集中率が高い薬局の割合が増加していることから、面分業は想定通りに進んでいません。そのため、2026年度調剤報酬改定は、2035年までの目標として掲げられている「地域で暮らす患者本位の医薬分業」の実現に向けた改定となっています。ここでは、2026年度調剤報酬改定のポイントについてお伝えします。
 
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省保険局医療課

 

1-1.評価体系の見直し

2026年度調剤報酬改定では、薬局が地域の医薬品供給拠点としての役割を担うため、評価体系が見直されています。調剤基本料は面分業促進に向けて改定されており、地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算が統合されました。
 
在宅薬学総合体制加算や医療DX関係の要件・評価についても見直され、バイオ後続品調剤体制加算が新設されています。

 

1-2.対人業務における評価の見直し

対人業務のうち、かかりつけ薬剤師については、包括的評価から実績重視の評価へ転換されました。調剤管理料は日数区分が見直され、調剤管理加算は廃止されます。
 
在宅患者訪問薬剤管理指導については、医師と薬剤師が患家へ同時訪問した場合の評価が新設され、在宅訪問薬剤管理指導料の算定間隔は中6日以上から週1回に見直されています。
 
また、インフルエンザの吸入薬の指導で吸入薬指導加算が算定できるようになり、バイオ後続品の説明や残薬対策に関する評価も見直されました。

 

1-3.その他の主な見直し

その他には、物価上昇や賃金上昇に対応するための評価が新設されました。選定療養、無菌製剤処理加算、在宅患者オンライン薬剤管理指導料、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則関係についても見直されています。
 
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省保険局医療課

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2.2026年度調剤報酬改定の廃止項目

2026年度調剤報酬改定で廃止となった項目は、以下のとおりです。

 

■2026年度調剤報酬改定における廃止項目一覧
廃止項目 改定後
地域支援体制加算 地域支援・医薬品供給対応体制加算として評価
後発医薬品調剤体制加算 後発医薬品の使用割合については、地域支援・医薬品供給対応体制加算の基礎要件として評価
医療DX推進体制整備加算 電子的調剤情報連携体制整備加算として一本化
医療情報取得加算
重複投薬・相互作用等防止加算 調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算の新設に伴い廃止
調剤管理加算 廃止
かかりつけ薬剤師指導料 服薬管理指導料1・2の「かかりつけ薬剤師が行った場合」として評価
かかりつけ薬剤師包括管理料
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料 調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算の新設に伴い廃止
在宅患者オンライン薬剤管理指導料 服薬管理指導料4の「ロ:在宅で療養を行っている患者であって通院が困難なものに対して行った場合」として評価
在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料 服薬管理指導料4の「ハ:患者の状態の急変等に伴い行った場合」として評価

参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省保険局医療課

 

多くの項目が新設または既存の項目への統合に伴い廃止されており、実際には算定要件を満たすことで評価されるようになっています。

3.2026年度調剤報酬改定の主な新設項目と点数表

2026年度調剤報酬改定の主な新設項目と点数は、以下のとおりです。

 

■2026年度調剤報酬改定における主な新設項目一覧と点数表
新設項目 点数
調剤ベースアップ評価料 4点
調剤物価対応料 1点
地域支援・医薬品供給対応体制加算1 27点
バイオ後続品調剤体制加算 50点
電子的調剤情報連携体制整備加算 8点
門前薬局等立地依存減算 ▲15点
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 50点
かかりつけ薬剤師訪問加算 230点
訪問薬剤管理医師同時指導料 150点
複数名薬剤管理指導訪問料 300点
調剤時残薬調整加算 50点
※または30点
薬学的有害事象等防止加算 50点
※または30点

※在宅患者の場合またはかかりつけ薬剤師が実施する場合

参考:調剤報酬点数表|厚生労働省

 

厚生労働省保険局医療課の資料「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」をもとに、それぞれについて解説します。

 

3-1.調剤ベースアップ評価料

調剤ベースアップ評価料とは、薬局の薬剤師や事務職員などの賃上げを図る観点から新設されたものです。
 
処方箋受付1回につき4点を算定します。2027年6月以降は、所定点数の100分の200に相当する点数を算定することになっています。

 

3-2.調剤物価対応料

調剤物価対応料とは、物価上昇に対応するために、調剤基本料等の算定に合わせて算定可能な加算として新設されたものです。
 
処方箋を提出した患者さんに対して調剤した場合に3カ月に1回に限り1点を算定できます。2027年6月以降は所定点数の100分の200に相当する点数を算定することになっています。

 

3-3.地域支援・医薬品供給対応体制加算1

地域支援・医薬品供給対応体制加算は、後発医薬品調剤体制加算と地域支援体制加算が統合されたものです。
 
地域支援・医薬品供給対応体制加算1は、地域支援体制加算に相当する要件のクリアは求められておらず、計画的な医薬品の調達・在庫管理や、後発品の使用割合など、医薬品の安定供給を確保に関する要件を満たすことで27点を算定できます。

 

3-4.バイオ後続品調剤体制加算

バイオ後続品調剤体制加算は、バイオ後続品の使用促進の観点から新設されました。
 
要件を満たした場合に、調剤基本料に50点、特別調剤基本料Aを算定している薬局は5点を加算します。

 

3-5.電子的調剤情報連携体制整備加算

電子的調剤情報連携体制整備加算は、医療情報取得加算と医療DX推進体制整備加算を一本化したものです。
 
要件を満たした場合に月1回に限り8点を加算できます。

 

3-6.門前薬局等立地依存減算

門前薬局等立地依存減算とは、2026年6月1日以降に新規で開設した薬局を対象としたものです。
 
すでに多数の薬局が所在する地域または医療モール内に薬局を開設しており、処方箋集中率が高い場合に調剤基本料から15点を減算します。

 

3-7.かかりつけ薬剤師フォローアップ加算

かかりつけ薬剤師フォローアップ加算とは、かかりつけ薬剤師による継続的な服薬指導を評価するものです。
 
要件を満たすことで3カ月に1回、50点を算定できます。

 

3-8.かかりつけ薬剤師訪問加算

かかりつけ薬剤師訪問加算とは、かかりつけ薬剤師による患家への訪問で残薬対策を実施した場合について評価するものです。
 
患者さんや家族が居宅への訪問を希望した場合には、訪問した結果を医療機関へ情報提供することで6カ月に1回、230点を算定します。

 

3-9.訪問薬剤管理医師同時指導料

訪問薬剤管理医師同時指導料とは、在宅医療におけるポリファーマシーや残薬を防ぐための取り組みを推進する観点から、医師と薬剤師が同時に患者さんの居宅へ訪問することを評価するものです。
 
要件を満たすことにより、150点を算定できます。

 

3-10.複数名薬剤管理指導訪問料

複数名薬剤管理指導訪問料とは、訪問薬剤管理指導において、薬剤管理指導のために複数名が同時に訪問する必要性があると判断した患者さんについて、複数名で同時に患者さんの居宅を訪問して薬剤管理指導を行った場合に算定するものです。
 
要件を満たすことで、300点を算定できます。

 

3-11.調剤時残薬調整加算

調剤時残薬調整加算とは、実効性の高い残薬対策を評価する観点から新設されたものです。
 
調剤管理料を算定する患者さんについて、残薬調整を行った場合に50点または30点を算定します。

 

3-12.薬学的有害事象等防止加算

薬学的有害事象等防止加算とは、服用薬剤の一元管理に基づく薬剤調整を評価するものです。前述の調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算の新設に伴い、重複投薬・相互作用等防止加算と在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は廃止されました。
 
調剤管理料を算定する患者さんの処方箋について重複投薬の確認などを行い、疑義照会の結果、処方変更があった場合に50点または30点を算定します。

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4.2026年度調剤報酬改定の主な変更項目と点数表

2026年度調剤報酬改定の主な変更項目や変更内容は、以下のとおりです。

 

■2026年度調剤報酬改定における主な変更項目・変更内容
変更項目 2024年度改定 2026年度改定
調剤基本料 1:45点
2:29点
3イ:24点
3ロ:19点
3ハ:35点
1:47点
2:30点
3イ:25点
3ロ:20点
3ハ:37点
調剤管理料 1イ:4点
1ロ:28点
1ハ:50点
1ニ:60点
2:4点
1イ:60点
1ロ:10点
2:10点
服薬管理指導料 1:45点
2:59点
3:45点
4イ:45点
4ロ:59点
1イ・ロ:45点
2イ・ロ:59点
3:45点
4イ:45点
4ロ・ハ・ニ:59点
地域支援・医薬品供給対応体制加算2・3・4・5 2:32点
3:40点
4:10点
5:32点
2:59点
3:67点
4:37点
5:59点
在宅薬学総合体制加算1 15点 30点
在宅薬学総合体制加算2のイ・ロ 50点 イ:100点
ロ:50点
服用薬剤調整支援料2 イ:110点
ロ:90点
1,000点
在宅患者訪問薬剤管理指導料 【算定要件の追加】
● 算定間隔
● 夜間休日の連絡体制の整備
● 患者さんや家族への説明
吸入薬指導加算 30点(3カ月に1回) 30点(6カ月に1回)
特定薬剤管理指導料3のロ 【算定要件の追加】
● バイオ後続品の選択に関わる患者さんへの説明を評価
無菌製剤処理加算 小児の中心静脈:
137点
237点
6歳未満 15歳未満

 

厚生労働省保険局医療課の資料「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」をもとに、それぞれの変更点について解説します。

 

4-1.調剤基本料

調剤基本料2と3のイは、処方箋受付回数や開設地域に関わる改定が行われ、処方箋集中率の算出方法も見直されています。特別調剤基本料Aについては除外規定が削除され、算定要件・対象薬局の見直しが行われました。
 
調剤基本料の点数は、1が47点、2が30点、3のイが25点、3のロが20点、3のハが37点となっており、特別調剤基本料A・Bについては据え置きとなります。

 

4-2.調剤管理料

内服薬の調剤についての調剤管理料は、28日分以上の長期処方の場合が60点、27日分以下の場合は10点、内服薬以外は10点を算定することになりました。
 
また、調剤管理料の加算であった調剤管理加算は廃止されています。

 

4-3.服薬管理指導料

かかりつけ薬剤師機能の普及と患者さんによるかかりつけ薬剤師の選択を促進する観点から、かかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料が廃止され、服薬管理指導料に統合されました。オンライン薬剤管理指導についても調剤報酬の簡素化の観点から、服薬管理指導料に統合されています。
 
服薬管理指導料の点数は、1のイ・ロが45点、2のイ・ロが59点、3が45点、4のイが45点、4のロ・ハ・ニが59点となっています。

 

4-4.地域支援・医薬品供給対応体制加算2・3・4・5

地域支援・医薬品供給対応体制加算2・3・4・5は、地域支援体制加算の1・2・3・4に対応したものです。いずれも、地域支援・医薬品供給対応体制加算1の要件を満たしていることが前提となります。
 
地域支援・医薬品供給対応体制加算の点数は、2が59点、3が67点、4が37点、5が59点となっています。

 

4-5.在宅薬学総合体制加算1と2のイ・ロ

在宅薬学総合体制加算は、1・2それぞれの算定要件と点数が見直されました。
 
在宅薬学総合体制加算の点数は、1が30点、2のイが100点、2のロが50点となっています。

 

4-6.服用薬剤調整支援料2

服用薬剤調整支援料2は、区分や算定要件が見直され、かかりつけ薬剤師が患者さんの薬物治療を適正に行うための支援をした場合について評価するものとなりました。
 
服用薬剤調整支援料2の適用日は2027年6月1日となっており、要件を満たすことで1,000点を算定できます。

 

4-7.在宅患者訪問薬剤管理指導料

在宅患者訪問薬剤管理指導料は、算定間隔や夜間休日の連絡体制の整備、患者さんや家族への説明についての要件が見直されました。算定点数に変更はありません。

 

4-8.吸入薬指導加算

吸入薬指導加算は、インフルエンザの患者さんに対する吸入薬指導についても評価されるよう見直されました。
 
算定頻度は3カ月に1回から6カ月に1回となっています。算定点数に変更はありません。

 

4-9.特定薬剤管理指導料3のロ

バイオ後続品の使用を促進する観点から、バイオ後続品の選択に関わる患者さんへの説明をした場合に、特定薬剤管理指導料3のロを算定できるようになりました。算定点数に変更はありません。

 

4-10.無菌製剤処理加算

無菌製剤の調剤では、15歳未満の小児に対しても投与量の調整が発生することがあります。そのため、無菌製剤処理加算の評価対象が、15歳未満の小児まで拡大されました。
 
また、15歳未満の小児に処方される中心静脈栄養法用輸液の無菌製剤処理については、算定点数が237点に引き上げられています。

5.2026年度調剤報酬改定に関するQ&A

2026年度調剤報酬改定はいつから施行されるのか、賃上げ支援は行われるのかなどについて、気になる薬剤師もいることでしょう。ここでは、2026年度改定に関するQ&Aを紹介します。

 

5-1.2026年度調剤報酬改定はいつから施行される?

2026年度診療報酬改定は、2026年6月1日から施行されます。一部経過措置が設けられている項目もありますが、薬局は6月1日の施行に向けて準備を進めておく必要があるでしょう。

 

参考:診療報酬の算定方法の一部を改定する件|厚生労働省

 

5-2.2026年度調剤報酬改定で薬局薬剤師の賃上げ支援は行われる?

2026年度調剤報酬改定では、薬局薬剤師や事務職員などの確実な賃上げを図るために、調剤ベースアップ評価料が新設されました。算定するには、施設基準の届出が必要となります。
 
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省保険局医療課

6.薬局薬剤師は2026年度調剤報酬改定のポイントを正確に理解しよう

2026年度調剤報酬改定は、各項目の廃止・統合などにより評価体系が簡素化され、全体的に大きく見直された印象があります。
 
薬局が立地に依存せず地域医療における役割を果たし、在宅医療に参画していくことが期待された改定となっています。加えて、調剤ベースアップ評価料や調剤物価対応料が新設され、賃上げや薬局経営の安定化にも配慮されています。
 
薬局薬剤師は6月以降の運用を円滑に進めるためにも、改定内容を正確に理解しておく必要があるでしょう。

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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。