薬剤師のスキルアップ 公開日:2026.06.25 薬剤師のスキルアップ

予防医学指導士とは?資格の取得・更新方法や年収について解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

予防医学指導士は、予防医学の知識を生かして生活習慣の改善や健康の維持・増進を支援するのが主な役割です。医療従事者だけでなく、介護・福祉、健康関連企業のスタッフなど幅広い職種が取得でき、健康教育やセルフケア支援にも役立ちます。本記事では、予防医学指導士の概要や役割、年収の目安を解説するとともに、資格の取得・更新方法や資格取得のメリットについてお伝えします。

1.予防医学指導士とは?

予防医学指導士とは、予防医学の知識をもとに生活習慣の改善や健康の維持・増進を支援するスペシャリストを認定する民間資格です。予防医学・代替医療振興協会または日本予防医学会が認定しています。医師や看護師、薬剤師といった医療従事者だけでなく、介護職や健康食品・健康機器を扱う企業の職員など、幅広い職種が取得を目指せる資格です。
 
予防医学指導士の主な仕事内容や役割としては、生活習慣病の予防活動や健康に関する教育活動、セルフケアの支援などが挙げられます。予防医学の知識を身に付けたい薬剤師が取得すると、患者さんへの健康指導などに役立つでしょう。

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2.予防医学指導士の年収

予防医学指導士の年収は、資格保有者の職種や勤務先によって異なります。参考までに、令和6年度賃金構造基本統計調査のデータをもとに算出した医療関連職種の平均年収は以下のとおりです。

 

職種 平均年収
医師 1,338万100円
歯科医師 1,135万5,200円
獣医師 884万7,800円
薬剤師 599万3,200円
保健師 521万2,400円
助産師 580万5,600円
看護師 519万7,000円
准看護師 417万1,700円
診療放射線技師 549万8,500円
臨床検査技師 504万3,400円
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
視能訓練士
444万1,500円
歯科衛生士 405万5,600円
歯科技工士 454万3,600円
栄養士 394万2,600円
その他の保健医療従事者 430万2,200円

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|政府統計の総合窓口 e-Stat

※平均年収は「きまって支給する現金給与額」の12カ月分と「年間賞与その他特別給与額」を合算して算出

 

予防医学指導士の年収は、各職種の給与水準に、資格による付加価値が加わった金額が目安となるでしょう。予防医学指導士の資格を取得すると、資格手当の支給や、スキルアップによる評価の改善などにより、年収アップにつながる可能性があります。

 

3.予防医学指導士になるには?

予防医学指導士は、認定団体によって求められる条件や取得までのプロセスが異なります。日本予防医学会は、受験者の専門性に応じた認定方法となっている一方、予防医学・代替医療振興協会は、共通のステップとして認定試験の合格と研修会への参加が必要です。ここでは、それぞれの取得方法についてお伝えします。

 

3-1.予防医学・代替医療振興協会の場合

予防医学・代替医療振興協会が認定する予防医学指導士を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。

 

1. 予防医学・代替医療振興協会の会員登録
2. 通信講座を申し込み、認定試験に合格
3. 予防医学指導士・資格取得研修会(ワンデイセミナー)の受講

参考:予防医学指導士 資格認定|【公式】予防医学・代替医療振興協会 通信講座

 

認定試験に合格し、研修会を修了すると、認定証が発行されます。資格取得のための費用は以下のとおりです。

 

会員登録 5,000円
(年会費、一般会員)
通信講座の受講料 5万円
予防医学指導士・資格取得研修会
(ワンデイセミナー)の受講料
1万円

参考:予防医学指導士 通信講座|【公式】予防医学・代替医療振興協会 通信講座

 

認定試験の審査結果が届けられるまでには2~3週間程度かかります。また、試験問題を提出する前に研修会を受講することも可能なため、計画的に資格取得を目指せるでしょう。

 

3-2.日本予防医学会の場合

日本予防医学会が認定する予防医学指導士は、関連資格の有無や種類、大学院修士・博士課程での単位の取得状況によって、必要な単位数や筆記試験の実施の有無が異なります。ただし、日本予防医学会への入会(一般会員:入会金5,000円、年会費1万円)は共通要件です。
 
ここでは、資格取得のために必要な単位数と認定試験についてお伝えします。

 

3-2-1.予防医学関連の資格を取得している場合

予防医学関連の資格保有者が研修で必要な単位数は、いずれも30単位です。認定試験については、取得している資格の種類によって免除される場合があります。

 

予防医学関連資格 認定試験 単位
医師、歯科医師、獣医師、看護師、保健師、管理栄養士、栄養士、薬剤師 免除 30単位
臨床検査技師、衛生検査技師、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師、視能訓練士、歯科衛生士、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、言語聴覚士、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント、衛生管理者 必須

参考:「予防医学指導士」コース別資格取得の方法|日本予防医学会

 

ただし、予防医学関連資格を取得していることに加え、以下のいずれかの大学院で単位を取得している場合は、研修等での単位取得と認定試験の両方が免除されます。

 

● 金沢大学大学院医学系研究科 医科学専攻・保健学専攻 予防医学概論
● 広島大学大学院医歯薬学総合研究科・保健学研究科 予防医学・健康指導特論1、2

参考:「予防医学指導士」コース別資格取得の方法|日本予防医学会

 

3-2-2.予防医学関連の資格を取得していない場合

予防医学関連の資格がなく、以下のいずれかの大学院で単位を取得している場合、研修等の単位取得は免除となります。

 

● 金沢大学大学院医学系研究科 医科学専攻・保健学専攻 予防医学概論
● 広島大学大学院医歯薬学総合研究科・保健学研究科 予防医学・健康指導特論1、2

参考:「予防医学指導士」コース別資格取得の方法|日本予防医学会

 

上記の大学院で単位を取得していれば、認定試験に合格することで資格を取得できます。
 
また、予防医学関連の資格がなく大学院での単位も取得していない場合、予防医学指導士の資格を取得するためには、研修等で40単位を取得し、認定試験に合格する必要があります。

 

3-2-3.単位

日本予防医学会の予防医学指導士を取得するために必要な単位は、以下の研修等で取得します。

 

研修 単位
1.予防医学指導士養成研修会受講【年1回開催】
※受講料はその都度事務局に問い合わせ
10単位
2.日本予防医学会年次学術総会(総会)
※出席による単位数は、各大会の内容に応じて異なる(ホームページでその都度案内)
出席 10単位
演者 5単位
共同演者 2単位
3.一般社団法人日本予防医学会開催セミナー 各10単位
4.日本予防医学会雑誌投稿 筆頭著者 10単位
共同執筆者 2単位

参考:「予防医学指導士」コース別資格取得の方法|日本予防医学会

 

予防医学関連資格を取得している人は、1が必修単位、2・3・4は選択単位です。予防医学関連資格を取得していない一般の人は、1~3が必修単位となります。加えて、学会からの課題レポート(テキストから出題)を提出して、10単位を取得しなければなりません。

 

3-2-4.費用

日本予防医学会の予防医学指導士になるために必要となる主な費用は以下のとおりです。

 

入会金
(一般会員)
5,000円
年会費
(一般会員)
1万円
申請料 1万円
認定試験受験料 1万円
認定審査料 1万円
交付料 2万円

参考:「予防医学指導士」コース別資格取得の方法|日本予防医学会

 

上記の費用については、資格取得のために一律で必要になるものではありません。認定試験が免除される場合は、認定試験受験料が不要となります。

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4.予防医学指導士の資格を取得するメリット

予防医学指導士を取得するメリットは、薬剤師としての専門性を予防医学の領域へ広げられる点にあります。薬局では健康サポート機能の強化が求められ、生活習慣病予防やセルフメディケーション支援の重要性が高まっています。資格取得を通じて予防医学の知識を身に付けることで、栄養・運動・睡眠・ストレス管理など、薬物療法以外のアプローチを含めた包括的な健康支援ができるようになるでしょう。
 
また、健康相談の質の向上や地域住民からの信頼獲得にもつながるため、企業や自治体の健康事業に関わる機会も増えるかもしれません。結果として、薬剤師としての付加価値が向上したり、キャリアの選択肢が広がったりすることが期待できます。

5.予防医学指導士の資格を更新するには?

予防医学指導士の資格は、取得して終わりではなく、最新の知識や実践力を維持するために定期的な更新が求められます。更新制度は認定団体によって異なり、原則として予防医学・代替医療振興協会では毎年、日本予防医学会では5年ごとに手続きが必要です。ここでは、それぞれの団体における更新要件や必要な手続きについて解説します。

 

5-1.予防医学・代替医療振興協会の場合

予防医学・代替医療振興協会の予防医学指導士は、協会の会員であることが取得条件となっています。
 
そのため、一般会員の場合は、資格取得後も毎年、年会費の5,000円を納めることが必要です。
 
参考:「予防医学指導士」資格取得の流れ(NPO法人予防医学・代替医療振興協会)|YouTube

 

5-2.日本予防医学会の場合

日本予防医学会の予防医学指導士は、5年ごとの更新が必要です。更新するために必要な条件は以下のとおりです。

 

1. 日本予防医学会の予防医学指導士の資格を取得しており、予防医学指導士証交付日から5年以内の者
2. 予防医学指導士の資格取得後、継続して日本予防医学会の学会員であり、年会費を完納している者
3. 日本予防医学会が規定した更新時に必要な研修単位を20単位取得している者

参考:「予防医学指導士」コース別資格取得の方法|日本予防医学会

 

更新に必要な費用は、認定更新料1万円です。更新に必要な単位には必修単位と選択単位があり、それぞれ10単位を取得しなければなりません。

 

種類 研修 単位
必修単位 予防医学指導士養成研修会受講 10単位
選択単位 日本予防医学会年次学術総会(総会) 出席 10単位
演者 5単位
共同演者 2単位
一般社団法人日本予防医学会開催セミナー 各10単位
日本予防医学会雑誌投稿 筆頭著者 10単位
共同執筆者 2単位

参考:「予防医学指導士」コース別資格取得の方法|日本予防医学会

 

更新手続きでは、日本予防医学会の事務局から日本予防医学会単位記録証を入手し、必修10単位、選択10単位が所有されていることを確認してから申請することとされています。

6.予防医学指導士の資格を実務に生かそう

予防医学指導士は、予防医学の知識を体系的に学ぶことができ、生活習慣病予防や健康支援に生かせる資格です。取得方法や必要単位、費用は認定団体によって異なるため、各団体のウェブサイトで詳細を確認しましょう。資格取得後も更新制度を通じて学び続けることで、専門性の向上やキャリアの幅が広がります。健康支援に携わる人にとって、実務に生かしやすい資格といえるでしょう。

 
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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。