薬剤師のスキルアップ 公開日:2026.05.28 薬剤師のスキルアップ

地域支援・医薬品供給対応体制加算とは?算定要件・点数・施設基準を解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

地域支援・医薬品供給対応体制加算は、2026年度調剤報酬改定で新設された調剤基本料の加算です。後発医薬品調剤体制加算と地域支援体制加算が統合されたことで、評価ポイントが分かりやすく簡潔になっています。本記事では、地域支援・医薬品供給対応体制加算の概要や点数、算定要件について解説するとともに、1~5の各区分の施設基準や施設基準に関する留意点についてもお伝えします。

 

※本記事の内容は、初出時の情報をもとにしたものです。2026(令和8)年度診療報酬改定に関する最新情報は、厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定について」などから確認してください。

1.地域支援・医薬品供給対応体制加算とは?

地域支援・医薬品供給対応体制加算とは、医薬品の安定供給に向けた取り組みや、かかりつけ薬剤師機能の発揮といった地域医療に貢献する薬局の体制などを評価するものです。2026年度調剤報酬改定で、後発医薬品調剤体制加算と地域支援体制加算の統合により新設されました。
 
地域支援・医薬品供給対応体制加算は、調剤基本料の加算として設けられており、5つに区分されています。医科診療報酬においても、2026年度改定で同名の加算が新設されており、医療機関・薬局ともに地域の医薬品供給体制を整備するための取り組みを評価する加算となっています。
 
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省
参考:令和8年度診療報酬改定の概要 7.外来医療の機能分化・強化等|厚生労働省

 


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2.地域支援・医薬品供給対応体制加算の点数

地域支援・医薬品供給対応体制加算の点数は、以下のとおりです。

 

■地域支援・医薬品供給対応体制加算の点数
区分 点数
地域支援・医薬品供給対応体制加算1 27点
地域支援・医薬品供給対応体制加算2 59点
地域支援・医薬品供給対応体制加算3 67点
地域支援・医薬品供給対応体制加算4 37点
地域支援・医薬品供給対応体制加算5 59点

参考:調剤報酬点数表|厚生労働省

 

地域支援・医薬品供給対応体制加算2・3・4・5については、それぞれ改定前の地域支援体制加算1・2・3・4に対応しています。
 
なお、特別調剤基本料Aを算定している薬局については、所定点数を100分10にし、小数点以下第一位を四捨五入した点数を算定します。また、特別調剤基本料Bを算定している薬局は算定できません。
 
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省

3.地域支援・医薬品供給対応体制加算の算定要件

地域支援・医薬品供給対応体制加算は、施設基準や実績などを満たした上で、必要な届出を行った場合に算定できます。
 
調剤報酬点数表に関する事項」には、以下の要件が記載されています。

 

他薬局への医薬品の分譲 以下のいずれかの書類を用いて行い、分譲後2年間保存すること
● 分譲に係る伝票
● 医療用医薬品の譲渡書
医薬品の販売授与証明書(別紙様式4-1)
在庫不足などへの対応 ● 医薬品の供給不安などによって患者さんの医薬品を用意できない場合に、在庫を持つ薬局を探し、あらかじめ連絡して在庫を確認した上で患者さんに薬局を紹介する場合、医薬品供給不安等に伴う患者紹介に係る案内書(別紙様式4-2)を使用すること
● 書類を受け取った薬局は2年間保管すること
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4.地域支援・医薬品供給対応体制加算の施設基準

地域支援・医薬品供給対応体制加算の5区分は、いずれも地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準を満たさなければなりません。地域支援・医薬品供給対応体制加算2・3・4・5については、共通する施設基準に加えて、それぞれに必要となる施設基準があります。
 
ここでは、地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準について解説するとともに、2・3・4・5に共通する施設基準とそれぞれに必要となる施設基準、留意点について解説します。

 

4-1.地域支援・医薬品供給対応体制加算1

地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準は、以下のとおりです。

 

1. 特別調剤基本料Bを算定している保険薬局以外の保険薬局であること。
2. 地域における医薬品の安定供給を確保するために必要な体制として、以下の要件を満たすこと。
 (ア)医薬品の安定供給に向けた計画的な調達や在庫管理を行うこと。
 (イ)直近1年間において、他薬局や医療機関に医薬品を分譲した実績があること。また、分譲した場合は「分譲に係る伝票」または「医療用医薬品の譲渡書」を2年間保存すること。ただし、同一グループの薬局への分譲は実績は含めない。
 (ウ)医薬品の供給不安などにより、患者さんの医薬品が入手困難な場合は、在庫を持つ薬局を探して在庫を確認した上で患者さんを紹介したり、処方医に処方内容の変更可否を照会したりするなど、適切に対応すること。
 (エ)重要供給確保医薬品のうち内用薬および外用薬であるものについて、1カ月分程度は備蓄するよう努めること。
 (オ)個々の医薬品の価値や流通コストを無視した値引き交渉を慎むこと。また、原則として全ての品目について単品単価交渉とすること。
 (カ)卸売販売業者への頻回配送・休日夜間配送・急配に係る過度な依頼を慎むこと。
 (キ)厳格な温度管理を要する医薬品や、在庫調整を目的とした医薬品などについては、卸売販売業者への返品を慎むこと。
 (ク)地域の医療機関や薬局、医療関係団体と連携し、取り扱う医薬品の品目についての情報共有や、事前の取り決めを行っておくことが望ましい。
3.直近3月間の薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品および後発医薬品の規格単位数量を合算した数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が85%以上であること。
4.後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨を薬局の内側・外側の見えやすい場所に掲示すること。

参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
参考:疑義解釈資料の送付について(その2)令和8年4月1日|厚生労働省

 

上記の3が、2026年度改定で廃止になった後発医薬品調剤体制加算に対応する要件となっており、地域支援・医薬品供給対応体制加算2・3・4・5の算定においても必須要件となっています。

 

4-2.地域支援・医薬品供給対応体制加算2・3・4・5

地域支援・医薬品供給対応体制加算2・3・4・5は、1の施設基準を満たすことに加え、共通する施設基準と、区分ごとに設けられている施設基準があります。ここでは、それぞれについて解説します。

 

4-2-1.共通する施設基準

地域支援・医薬品供給対応体制加算2・3・4・5に共通する施設基準は、以下のとおりです。

 

1.地域支援・医薬品供給対応体制加算1の基準を満たすこと
2.地域における医薬品などの供給拠点としての対応
 (ア)十分な数の医薬品の備蓄、周知(医療用医薬品1200品目)
 (イ)薬局間連携による医薬品の融通など
 (ウ)医療材料および衛生材料を供給できる体制
 (エ)麻薬小売業者の免許
 (オ)取り扱う医薬品に係る情報提供体制
 (カ)調剤室の面積が16平方メートル以上確保されていること
 (令和8年6月以降に開設・改築・増築する場合のみ適応)
3.休日、夜間を含む薬局における調剤・相談応需体制
 (ア)一定時間以上の開局
 (イ)休日、夜間の開局時間外の調剤・在宅業務に対応できる体制
 (ウ)薬局を利用する患者さんからの相談応需体制
 (エ)夜間・休日の調剤、在宅対応体制(地域の輪番体制含む)の周知
4.在宅医療を行うための関係者との連携体制などの対応
 (ア)診療所または病院および訪問看護ステーションと円滑な連携
 (イ)保健医療・福祉サービス担当者との連携体制
 (ウ)在宅薬剤管理の実績24回以上
 (エ)在宅に係る研修の実施
5.医療安全に関する取組の実施
 (ア)プレアボイド事例の把握・収集
 (イ)医療安全に資する取組実績の報告
 (ウ)副作用報告に係る手順書を作成
6.かかりつけ薬剤師が服薬管理指導を行う旨の届出
7.患者さんごとに服薬指導の実施、薬剤服用歴の作成
8.管理薬剤師要件(薬局経験5年以上、常勤、薬局在籍1年以上)
9.研修計画の作成、学会発表などの推奨
10.患者さんのプライバシーに配慮、椅子に座った状態での服薬指導
11.地域医療に関連する取り組みの実施
 (ア)一般用医薬品および要指導医薬品など(基本的な48薬効群)の販売
 (イ)健康相談、生活習慣に係る相談の実施
 (ウ)緊急避妊薬の調剤または販売を含む女性の健康に係る対応
 (エ)薬局の敷地内における禁煙の取扱い
 (オ)たばこの販売禁止(併設する医薬品店舗販売業の店舗を含む)
 (カ)セルフメディケーション関連機器を以下から少なくとも3つを設置
  ● 体重計
  ● 体温計
  ● 血圧測定器
  ● 体組成計(体脂肪率、BMI等を含むもの)
  ● 血中酸素飽和度測定器(パルスオキシメータ)
  ● 握力計
  ● 骨密度測定器
 (キ)薬事未承認の研究用試薬・検査サービスを提供していないこと

 

※上記は「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」をもとに要点をまとめたものです。施設基準の詳細は「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」をご確認ください。

 

11の(キ)「薬事未承認の研究用試薬・検査サービスを提供していないこと」については、国が薬事承認をしていない「研究用」と称して販売されている試薬や検査キットを、0.5%の薬局が販売していたという調査結果があったことから加えられた要件です。薬局で試薬や検査キットを販売する場合は、国が薬事承認したものであるかを確認する必要があります。
 
参考:調剤について(その2)|厚生労働省

 

4-2-2.区分ごとの施設基準

地域支援・医薬品供給対応体制加算2~5の区分は、地域医療への貢献体制の実績と、調剤基本料の算定区分によって異なります。実績については以下の9項目で、調剤基本料1を算定している薬局と、それ以外の薬局で基準が異なります。

 

実績 調剤基本料1 調剤基本料1以外
1. 夜間・休日などの対応実績 40回以上 400回以上
2. 麻薬の調剤実績 1回以上 10回以上
3. 調剤時残薬調整加算および薬学的有害事象等防止加算の算定実績 20回以上 40回以上
4. 服薬管理指導料1のイおよび2のイ(かかりつけ薬剤師)の算定実績 20回以上 40回以上
5. 外来服薬支援料1の実績 1回以上 12回以上
6. 単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績 24回以上
7. 服薬情報等提供料に相当する実績 30回以上 60回以上
8. 小児特定加算の算定実績 1回以上
9. 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得した薬剤師が地域の多職種と連携する会議への出席 1回以上 5回以上

※1~8は処方箋1万枚当たりの年間回数、9は薬局当たりの年間の回数

 

これらの実績を満たしている数と、調剤基本料の区分によって、以下のように地域支援・医薬品供給対応体制加算の算定区分が異なります。

 

区分 調剤基本料の
算定区分
実績要件 点数
地域支援・医薬品供給対応体制加算2 調剤基本料1 4を含む3つ以上 59点
地域支援・医薬品供給対応体制加算3 1~9のうち7つ以上 67点
地域支援・医薬品供給対応体制加算4 調剤基本料1以外 4・6を含む3つ以上 37点
地域支援・医薬品供給対応体制加算5 1~9のうち7つ以上 59点

 

※上記は「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」をもとに要点をまとめたものです。施設基準の詳細は「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」をご確認ください。

 

また、「3.調剤時残薬調整加算および薬学的有害事象等防止加算の算定実績」および「4.服薬管理指導料1のイおよび2のイ(かかりつけ薬剤師)の算定実績」について、2027年6月1日までに行う届出にあたっては、それぞれ2026年度改定前の以下とみなして判断してよいとされています。

 

● 調剤管理料の重複投薬・相互作用等防止加算および在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算定回数の合計
● かかりつけ薬剤師指導料およびかかりつけ薬剤師包括管理料の算定回数の合計

参考:疑義解釈資料の送付について(その1)令和8年3月23日|厚生労働省

 

4-3.地域支援・医薬品供給対応体制加算の施設基準に関する留意点

2026年度調剤報酬改定では、医薬品の備蓄や卸販売業者との単品単価交渉について施設基準に含まれることになりました。ここでは、それぞれについて解説します。

 

4-3-1.「1カ月分程度の備蓄」とは?

「1カ月分程度の備蓄」とは、重要供給確保医薬品のうち、直近1年間で調剤しなかったものを除く内用薬または外用薬の各品目について、薬局で直近1年間に調剤した数量から割り出した1カ月分の使用数量のことです。
 
ここでの備蓄は、薬局に医薬品の在庫を保有していることを指しており、卸売販売業者が代わりに在庫を確保していることのみでは、備蓄には該当しません。
 
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省

 

4-3-2.「単品単価交渉」とは?

「単品単価交渉」とは、取引先と個別品目ごとに取引価格を決める交渉のことです。薬局では、「妥結率等に係る報告書(別添2の様式85)」を地方厚生(支)局長などに届け出ることになっており、「単品単価交渉を行っていない」に非該当であることで本要件を満たすものとされています。つまり、要件を満たすためには、個別品目ごとに単価交渉を行う必要があります。
 
そのため、「妥結率等に係る報告書」を地方厚生(支)局長などに届け出ていない場合は本要件を満たしません。ただし、開設から1年に満たない薬局で、妥結率等に係る報告書の提出経験がない場合は、本要件を満たしているものとみなされます。
 
なお、取引先と個別品目ごとに取引価格を決めていたとしても、例えば、以下については個別品目ごとに単価交渉していることにはならないとされています。

 

● 総価値引率を用いた交渉(総価交渉や総価交渉除外有りを含む)
● 全国最低価格に類する価格をベンチマークとして用いた交渉
● ベンチマークを用いた交渉のうち、配送コストなどの地域差および購入金額、支払条件、返品、急配などの取引条件を考慮していない単価をベンチマークとし、当該価格で決定する一方的な交渉
● 法人格・個人事業主が異なる加盟施設との取引価格の交渉を一括して受託する業者の価格交渉について、加盟施設ごとの地域差や取引条件などを考慮しない取引価格での交渉や加盟施設の確認が行われない交渉

 

地域や薬局によって医薬品の配送コストや取引量はさまざまで、医薬品ごとに供給の安定性や必要な在庫量が異なります。卸売販売業者にも相応のコストが発生するため、行き過ぎた単価交渉は卸売販売業者への負担となり、結果として医薬品の安定供給に影響を与える可能性があるでしょう。卸売販売業者に過剰な負担がかからないよう、上記の施設基準が新設されたものといえます。
 
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省

 

4-3-3.「セルフメディケーション関連機器」とは?

「セルフメディケーション関連機器」については、体重計と握力計を除き、承認または認証を得た医療機器である必要があります。
 
また、7つの機器のうち、3つの機能が果たせれば、3製品未満の設置でも要件を満たすとされています。
 
参考:疑義解釈資料の送付について(その2)令和8年4月1日|厚生労働省

 

4-3-4.「地域の多職種と連携する会議」とは?

施設基準を満たす「地域の多職種と連携する会議」とは、以下のようなものが挙げられます。

 

● 市町村または地域包括支援センターが主催する地域ケア会議
● 介護支援専門員が主催するサービス担当者会議
● 地域の多職種が参加する退院時カンファレンス
● 在宅療養中の小児が学校生活を送るにあたり、多職種で支援内容を協議する連携会議
● 小児在宅医療に関する多職種連携会議
● 障害者福祉支援に関する多職種連携会議

参考:疑義解釈資料の送付について(その2)令和8年4月1日|厚生労働省

 

また、これらに限定するものではなく、地域医療に貢献するような多職種連携会議であれば、対象となり得ます。

5.地域支援・医薬品供給対応体制加算から見える、薬局に求められる役割とは?

地域支援・医薬品供給対応体制加算は、薬局が地域医療で果たす役割を総合的に評価する加算です。地域住民が安心して医療を受けられるように、薬局には他薬局や医療機関との連携、在宅医療への参画、セルフメディケーションの支援などが期待されています。
 
2026年度調剤報酬改定では、医薬品の備蓄や単品単価交渉などの新しい要件も追加され、求められる薬局像がより具体化されました。薬局および薬剤師は、改定内容を十分に理解して適切な体制整備をする必要があります。
 
参考:令和8年度診療報酬改定について|厚生労働省

 

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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。