謙虚さと周囲への感謝の気持ちを持ちましょう
単刀直入に言ってしまうと、転職直後、ホウレンソウを怠る、指示に従わない、といった言わば信頼の礎になるコミュニケーションをないがしろにしたことが後を引いているようですね。
相談者さんは、転職直後から積極的に投薬したり先輩薬剤師のミスをカバーしたりして、薬剤師2年目にもかかわらず能力も高く自信満々のようにお見受けします。しかし、厳しいかもしれませんが、信頼関係ができるまではもう少し謙虚さが必要だったように感じます。
薬剤師歴や転職経験の有無とは関係なく、転職したばかりの職場では、上司や同僚の信頼を得るためのコミュニケーションや振る舞いがとても重要です。「薬剤師として何が出来るか?」も大切ですが、それ以前に「人として信頼できるか?」「一緒に楽しく仕事をしていける人か?」を周囲の人たちは見ています。
相談者さんは「報連相の怠りや指示に従わないことを理由に」と、ほんのささいなことのように書いていますが、まさにそれこそが信頼を得るために大切なことだったのです。社会人の基本であり、信頼を得るために欠かせない一歩です。
残念ながら、相談者さんはミスや報告漏れなどによって一度信頼を失ってしまった状態です。ゼロではなくマイナスからのスタートなので、薬局長や同僚との信頼関係を回復するためには、相応の努力が必要でしょう。そこで求められるのが謙虚さです。
相談には「他の薬剤師のミスをカバーしているのに評価されない」とありますが、もしかしたら、「カバーしてあげている」と思っていませんか。薬局業務はチームプレーです。どんなに能力が高くても、一人ですべてをおこなうのは至難の業。受付から投薬までスタッフが連携して業務が成り立っているのです。
相談者さんが他の薬剤師のミスをカバーしているのと同じように、実は自分の気づかないところで、先輩や同僚たちが相談者さんのミスをカバーしてくれているかもしれません。その点を理解し、周囲への感謝の気持ちを持ちましょう。
「他の薬剤師はミスをしても指摘されない」とありますが、薬剤師の業務でミスを指摘しないというのは考えにくいことなので、相談者さんが知らないところで指摘しているだけかも。若年者に気付かれないようにそっとミスを指摘するのも信頼関係ができていればこそかもしれません。新人へのパワハラという面が全くないとは言い切れませんが、「私も同じミスをしないように気を付けよう」と素直に学ぶ気持ちを持ってほしいと思います。
指示をされたら、きちんと指示通りに行動して報告する。上司から注意を受けたら、素直に過ちを認め改善するのはもちろんのこと、注意してくれたことに感謝する。毎日の業務の中で周囲への感謝を忘れず、同僚や患者さんへの思いやりの気持ちも持ち続けて、ようやく信頼関係の最初の一歩が踏み出せるのだと思います。
信頼を回復できるように全力で頑張ってみて
しばらくはつらい思いをするかもしれませんが、相談者さんの持ち前の積極性を活かして、薬局長や先輩たちに自分から質問したり、何か手伝うことがないかと声を掛けたりして、コミュニケーションを密にすることで、相談者さんの良さが伝われば、評価は自然についてくると思います。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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