Q168 ミスが多い薬剤師に困っています
Q168 ミスが多い薬剤師に困っています
注意指導が部下に届いていないのかもしれません
私が大切にしている言葉に、「相手の反応が自分のコミュニケーションの成果である」というものがあります。自分が思うように相手が動かなかったら、自分のコミュニケーションに問題がある、という考え方です。
ミスの再発予防を考えることはもちろん大切ですが、もしかしたら相談者さんの注意指導が部下に届いていないのかもしれません。ミスをするのは部下の問題であると同時に、指導者の問題でもあります。それぞれについて対策を考えてみましょう。
ミスをしてしまう側の原因として、報連相(ホウレンソウ)ができない、仕事の全体像が見えていない、仕事の目的を理解していない、段取りが悪い、ミスに対する自覚がない、などが考えられます。
また、業務量が処理能力を超えてキャパオーバーしている可能性もあります。上司からの指導が繰り返されると、委縮してしまい次のミスを招く事態にもなりかねません。
伝達ミスについて注意したそうですが、報連相ができない要因のなかにも、報連相の重要性を理解していない、いつどこで何を報連相すべきかわからない、報連相の声掛けがしづらい、などさまざまな要素があります。
ミスをした後、「同じミスをしないように気を付けよう」と原因を探り、実際に対策を講じて行動を重ねるうちにミスは減るものなので、ミスの多い人には、まず原因を自覚してもらうことが大切です。
また、薬剤師の業務は患者さんの命にかかわるため、小さなミスも許されません。自分のミスによって患者さんを危険にさらしてしまうことの重大さを充分に理解させることも、ミス減らそうという意識をはたらかせるために重要なことです。
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注意指導を細分化・具体化することから始めてみましょう
指示をした際、部下が指示内容を理解できているかどうかをその場で確認することも、ミスを減らすために有効です。また、仕事の進み具合を細かく報告してもらうようにすることで、報連相不足によるミスを減らすことにつながります。
報連相が苦手な部下に対しては、上司からのコミュニケーションを増やすことも必要です。「お願いしていた業務の進捗はどうなっている?」「△△△の作業はどこまでできてる?」など、時には上司から情報を取りに行き、コミュニケーション量を増やしましょう。
そして、改善が見られたらポジティブフィードバックを忘れずに。小さなことでも成果が見られたら、褒める声掛けをおこないます。部下に成功体験を積み重ねさせることで、「もっとミスを減らしたい」という次のモチベーションにつなげることができます。
ミスが多い部下に対して、指導に時間をかけたり指導方法をあれこれ工夫したりしても、なかなか成果があらわれずにイライラすることもあると思います。しかし、だからといってほかのスタッフの前で注意したり、人格を否定するようなことを言ったりするのはNGです。根気強く指導を繰り返し、部下の成長をサポートしてほしいと思います。
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株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
※投稿者の特定を避けるため、一部内容を変更して掲載しております。