薬剤師の接遇マナー・テクニック 公開日:2025.05.08 薬剤師の接遇マナー・テクニック
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Q184 「ネガティブフィードバック」を効果的におこなうには?

 


 

Q184 「ネガティブフィードバック」を効果的におこなうには?

 

Q184 「ネガティブフィードバック」を効果的におこなうには?
Q184 「ネガティブフィードバック」を効果的におこなうには?
管理職として、部下にネガティブな指摘をしなくてはいけない場面は多々あるのですが、いつまでも苦手意識が拭えません……。部下のモチベーションを下げないように、マイナスなことを伝えるコツはありますか?

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ネガティブフィードバックの目的を確認しましょう

ネガティブフィードバックを苦手に思う方は少なくないと思います。管理職がネガティブフィードバックを難しいと感じるのは、薬剤師に限ったことではありませんが、人材育成の観点からすれば、部下の成長を促す上で重要なコミュニケーションの一つです。
 
否定的なことを言いにくいと感じている上司と、否定的なことを言われるとへこんでしまうことが多い、打たれ弱い部下……。そんな構図が見え隠れしますが、あらためて効果的なネガティブフィードバックについて考えてみましょう。

 

 
まず理解しておきたいのは、部下の成長を促し目標達成を可能にすることが、ネガティブフィードバックをおこなう主な目的であるという点です。ネガティブフィードバックにより、上司が部下の課題について改善点を伝えることで、指摘を受けた部下は、それまで気づいていなかった業務効率や生産性などの問題点を見直し、目標達成に近づけるようになります。
 
ネガティブフィードバックは、部下が自分の抱える問題や目標達成までの道筋を整理することにつながるものです。行動の結果に変化が表れると、仕事への意欲が高まりやすくなるというメリットがあります。組織としての目標も達成しやすくなり、部下自身が気づかなかった課題を的確に指摘して成長を促すことができれば、上司への信頼も高まるでしょう。
 
苦手意識が強いかもしれませんが、メリットや効果も大きいネガティブフィードバックをうまく活用してほしいと思います。

 
🔽 薬剤師の部下との関係に関するお悩みに回答した記事はこちら
薬剤師の接遇マナー・テクニック Q172 部下の仲が悪いとき上司はどうすべき?

 

ネガティブフィードバックをおこなうときのポイント

ネガティブフィードバックをおこなうときのポイントとしては、以下のようなことが挙げられます。

 

 

1. 具体的・客観的に伝える

ネガティブフィードバックでは、できるだけ具体的な指摘を心がけましょう。誰かから聞いた話ではなく、事実に基づいた内容を客観的に伝えます。抽象的な指摘では、部下はどのように行動を改善すればいいのかわからないだけでなく、漠然と批判されているように感じるかもしれません。フィードバックは部下の具体的な行動に対して、変えられることに着目します。部下の欠点や人格にフォーカスすることは避けましょう。
 

2. サンドイッチ型フィードバックを活用する

サンドイッチ型フィードバックは、サンドイッチのように、ネガティブフィードバックをポジティブフィードバックで挟みこむフィードバック方法です。「肯定(褒める)→否定(改善点の指摘)→肯定(褒める)」の順におこなうことで、モチベーションの低下といった悪影響を最小限に抑えることができます。
 

3. タイムリーにフィードバックをおこなう

部下が行動してから時間が経ってしまうと、記憶が薄れたり状況が変わったりすることがあります。フィードバックは部下の行動後、できるだけ早いタイミングでおこないましょう。
 

4. 適切な時間と場所を確保する

ネガティブフィードバックをおこなう際は、日常会話の流れの中でフィードバックするのではなく、部下が周囲を気にせずに話せるように、個別面談などの場を設けるといいでしょう。大勢の前で指摘すると、部下のモチベーションが低下したり、メンバー間で不要な軋轢を生んでしまったりする恐れもあります。
 

5. 小さな変化を見逃さない

フィードバック後、部下の成長がすぐにわかる場合もあれば、目に見えないような小さな変化が起こる場合もあります。小さな変化を見逃してしまうと部下のモチベーションが上がらないため、日ごろから部下の様子をつぶさに観察し、気付いた変化があればメモを取っておきます。伝えたいことが複数ある場合は、気づいたことを全部まとめて伝えるのではなく、すぐ伝えるべきことを1~2個に絞り込んでフィードバックするのが望ましいでしょう。
 
ネガティブフィードバックを効果的におこなうことができれば、指摘を受ける部下のみならず、組織全体にも大きな成長をもたらします。ネガティブフィードバック自体を忌避するのではなく、上手に活用することを心がけて、部下と組織全体の成長に活かしてほしいと思います。

 

部下の成長を促すという目的を理解し、ネガティブフィードバックを上手に活用できるようになりましょう
部下の成長を促すという目的を理解し、ネガティブフィードバックを上手に活用できるようになりましょう

  

村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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