薬剤師のスキルアップ 公開日:2025.07.31 薬剤師のスキルアップ

疑義照会とは?電話・FAXの例文や記載事項の書き方などを紹介

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

疑義照会は、処方箋に疑問点がある場合に薬局薬剤師が行わなければならない業務の一つです。疑義照会にはさまざまなルールがあるため、薬剤師はしっかり把握しておく必要があります。本記事では、疑義照会の概要や種類、疑義照会が重要とされる理由について解説するとともに、疑義照会が難しいとされる理由、疑義照会の手順と例文、書き方と注意点などをお伝えします。加えて、疑義照会をするときのポイント、関連する調剤報酬の加算についても見ていきましょう。

1.疑義照会とは?

疑義照会とは、処方箋の内容に不明点や疑問点がある場合、処方箋を発行した医師に問い合わせる業務を指します。
 
薬剤師にとって疑義照会は、安全な薬物治療を行う上で重要な業務です。処方箋自体の不備や処方内容を確認するだけでなく、患者さんの併用薬やアレルギーなど、さまざまな観点から処方箋をチェックします。
 
また、薬剤師が行う疑義照会には、形式的疑義照会と薬学的疑義照会があります。ここでは、それぞれの違いについて見ていきましょう。

 

1-1.形式的疑義照会

形式的疑義照会とは、処方箋の記載内容に不備がある場合に行う疑義照会のことです。薬の規格や用法・用量の記載漏れがあったり、医師の押印がなかったりした場合などが形式的疑義照会にあたります。
 
特に医師の押印確認は、偽造処方箋による薬剤交付などを防ぐために必ず確認しなければならない重要な項目です。偽造処方箋の中には、カラーコピーされたものもあるため、紙質がいつもと異なるといった違和感を察知した場合も、万が一を考えて形式的疑義照会をしておくと安心でしょう。

 

1-2.薬学的疑義照会

薬学的疑義照会とは、薬学的観点から用法・用量、相互作用、副作用の可能性などをチェックし、疑問点があれば処方医に確認を行うことです。
 
処方された薬剤を投与するにあたり特に注意が必要な疾患を患っていたり、併用禁忌の薬剤が指定されていたりする場合には、患者さんの安全を確保するために疑義照会をしなければなりません。処方内容によっては患者さんの命に関わることもあるので、薬学的疑義照会は注意深く確認する必要があります。

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2.疑義照会が重要とされる理由

疑義照会が重要とされている理由は、疑義照会が法律で定められた薬剤師の義務だからです。また、疑義照会は患者さんを薬物治療による健康被害から守ることにつながり、医療費削減の効果も期待されています。ここでは、疑義照会が重要とされる理由について詳しくお伝えします。

 

2-1.法律で定められた薬剤師の義務であるため

疑義照会は、薬剤師法第24条によって義務付けられている薬剤師の重要な業務の一つです。「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない」と定められています。
 
参考:薬剤師法 第24条(処方せん中の疑義)|e-Gov法令検索
 
処方箋に疑わしい点があるにもかかわらず疑義照会をせず、患者さんに健康被害が発生した場合は、薬剤師が法的責任を問われる可能性があります。

 
🔽 疑義照会に関する法律について解説した記事はこちら


 

2-2.患者さんの健康被害のリスクを低減させるため

疑義照会は、患者さんの健康被害のリスクを低減させることも重要な目的です。アレルギー歴のある薬や併用禁忌の薬が処方されていたり、用法・用量が間違っていたりすると、患者さんの健康に大きな影響を与える可能性があるため、処方箋に疑わしい点がある場合には疑義照会をする必要があります。
 
公益社団法人日本薬剤師会委託事業「平成27年度全国薬局疑義照会調査報告書」によると、応需処方箋の総枚数に対する疑義照会件数で算出された疑義照会率は2.74%でした。このうち、形式的疑義照会率は21.90%、薬学的疑義照会率は78.10%です。
 
つまり、応需処方箋総数に占める薬学的観点からの疑義照会率は2.14%です。健康被害のリスクを低減させるためにも、薬剤師による疑義照会は重要であるといえるでしょう。

 

2-3.医療費の削減につながるため

公益社団法人日本薬剤師会委託事業「平成27年度全国薬局疑義照会調査報告書」によれば、全国の薬局薬剤師が行う薬学的疑義照会で年間約103億円の無駄な薬剤費が節約されています。
 
また、重篤な副作用の回避によって年間約133億円の潜在的な医療費節減につながっており、合わせて年間約236億円の医療費削減効果があるとされています。
 
薬局薬剤師が行う疑義照会は、薬物の適正使用や偽造処方箋による薬剤交付の防止、薬剤による副作用の回避だけでなく、医療費節減への貢献も期待できるといえます。

3.疑義照会が難しいとされる理由

疑義照会は薬剤師としての知識や経験に加え、医師・患者さんとのコミュニケーションスキルも求められます。ここでは、疑義照会が難しいとされる理由について、詳しくお伝えします。

 

3-1.薬剤師としての知識と経験が必要になるため

疑義照会の中でも薬学的疑義照会を適切に行うためには、薬剤師としての専門知識と豊富な経験が欠かせません。
 
薬の相互作用や副作用、患者さんの病歴やアレルギー歴などを踏まえ、処方内容が適切かどうかを判断する能力が必要です。
 
一方、形式的疑義照会は、処方箋に必要な内容がきちんと記載されているかを確認する作業です。処方箋に必要な記載事項を覚えることで対応できるため、比較的疑義照会の判断がしやすいでしょう。

 

3-2.患者さんへの細やかな対応が求められるため

疑義照会を行う場合、患者さんへの配慮も欠かせません。疑義照会は電話やFAXを利用するケースがほとんどで、ある程度の時間がかかってしまいます。そのため、疑義照会には回答に時間がかかる場合があることを事前に伝えておくことが大切です。
 
このときに「30分ほど時間がかかる」など、待ち時間の目安を伝えると、患者さんは薬局で待つのか、後日来局するのかを選択しやすくなります。
 
また、患者さんによっては、疑義照会を嫌がる可能性があります。医師に問い合わせると決めつけた言い方は避け、まずは相談や質問を行い、疑義照会の了承を得るとよいでしょう。

 
🔽 疑義照会を行うときの患者さんへの対応方法について解説した記事はこちら

 

3-3.医師との信頼関係の構築が求められるため

疑義照会は医師のミスや漏れを指摘する業務ともいえます。伝え方や言葉遣いはもちろん、医師との信頼関係を築くこともスムーズな疑義照会を行うためのポイントです。
 
医師と信頼関係を築くためには、医師の治療方針を知るために日頃からコミュニケーションを取ることが大切でしょう。疑義照会が必要な処方であっても、考えがあっての処方なのか、抜けやミスなのかを判断しやすくなります。
 
特に、最新情報が更新されやすい領域では治療方針も変わりやすいため、医師とのコミュニケーションの積み重ねが重要です。

 
🔽 疑義照会を行うときの医師とのコミュニケーション方法について解説した記事はこちら


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4.疑義照会の手順と例文

疑義照会の問い合わせ方法は、主に電話とFAXです。疑義照会の方法が処方箋の備考欄などに記載されている場合は手順通りに行い、記載されていなければ電話で問い合わせをしましょう。
 
ここでは、電話またはFAXを使って疑義照会を行う際の手順や、会話の例文、注意点についてお伝えします。

 

4-1.電話で行う場合

電話を使った疑義照会は、初めに病院の受付とやりとりをします。その後、受付または看護師、クラーク、薬剤科などを通して医師に確認してもらうケースと、医師が直接対応するケースがあります。一般的な手順と例文は、以下のとおりです。

 

薬剤師 「○○薬局の○○と申します。○○さんの処方箋について確認したい点があります」
※複数の診療科がある病院では、診療科も伝えます。
病院の受付 「患者さんのIDと名前、生年月日を教えてください」
「疑義照会の内容を教えてもらえますか」または「医師(または看護師など)へつなぎます」
医師
(または看護師など)
「どうされましたか」
薬剤師 「アムロジピンだけ28日分となっており、他のお薬は14日分となっています。患者さんに確認したところ、次回は14日後に受診予定とのことでした。アムロジピンも他の薬と同じ14日分にしてほしいと希望されています」
医師
(または看護師、受付など)
「アムロジピンも14日分に変更してください」
※医師以外が対応した場合
「先生に確認したところ、アムロジピンも14日分でお願いしますとのことでした。変更をよろしくお願いいたします」
薬剤師 「かしこまりました。ありがとうございます。失礼いたします」

 

疑義照会では、内容を簡潔に伝えることが大切です。医師や看護師なども診療の合間に対応していることを忘れず、できるだけ短時間で完了できるように意識しましょう。
 
また、電話での手順は、病院の規模や方針によって大きく異なります。直接医師へつなげるときもあれば、数カ所の部署を経由することもあり、その都度、疑義内容を伝えることも少なくありません。医療機関に合わせた対応をすることが求められます。

 

4-2.FAXで行う場合

FAXを使った疑義照会の場合、口頭でのやりとりがなく、書面で全てを伝えなければなりません。そのため、以下の必要事項を分かりやすく簡潔に記載することが求められます。

 

患者情報 ● 氏名
● 生年月日
● ID
薬局情報 ● 名称
● 住所
● 電話番号
● FAX番号
問い合わせ内容 ● 問い合わせ内容
● 日時
● 薬剤師名

 

上記の情報を全て手書きで記載するのは時間を要します。また、記載ミスがあると疑義照会ができなくなるため、FAXで疑義照会をするときは、処方箋をコピーし、余白に疑義内容を記載するのがおすすめです。さらに、店舗印などを使って書面の作成時間を短縮しましょう。

 

4-2-1.疑義内容の書き方のポイント

FAXでの疑義照会は、何より簡潔に分かりやすく書くことがポイントです。例えば、残薬調整に関する疑義照会は、変更日数を分かりやすく書くことで、医師は一目でOKを出す場合があります。問い合わせ時間の短縮につながるため、矢印などを活用してパッと見ただけで分かる内容を心がけましょう。
 
また、処方箋のコピーに疑義照会の内容を記載することは、医師が処方箋から患者さんの診察内容を思い浮かべやすくなるというメリットもあります。医師の確認時間を短縮できることを踏まえながら、処方箋のコピーを活用してみましょう。
 
さらに、FAXは基本的にモノクロ印刷なので、ペンの色や太さも意識するとよいでしょう。ボールペンよりも太いペンを使うと、処方箋の文字よりも目立ちやすくなり、医師の視界に入りやすくなります。こうした小さな心がけが、問い合わせ時間の短縮につながります。

 

4-2-2.FAX後の対応パターン

FAXでの疑義照会後は、病院によって折り返しの連絡を待つ場合や、指定の時間に電話をかけるように指示されている場合などがあります。
 
FAXでの疑義照会を希望する病院は、総合病院などの複数の診療科を持つ病院が多く、医師のサポートをするため、各部署が連携しています。
 
疑義照会のFAXが届くと、FAX用紙を医師まで届ける病院もあれば、内線で伝言していく病院もあり、時間がかかりやすい傾向にあります。最低でも回答までに10~15分ほどかかることを、あらかじめ患者さんに伝えておきましょう。
 
折り返しの連絡を待つ病院の場合、20分以上時間がかかるケースもあります。連絡が遅くなる理由として、FAXの不着や、病院がFAXに気付いていない可能性が考えられます。あまりにも連絡が遅い場合は、病院にFAX到着の有無を電話で確認しましょう。
 
こうしたトラブルを回避するため、数分後の電話連絡を希望する病院もあります。それぞれ条件が異なるため、処方箋に記載されている疑義照会の手順を確認し、正しい方法で実施しましょう。

5.疑義照会後の記載事項の書き方と注意点

疑義照会が終わった後は、処方箋の備考欄または以下余白部分に加え、調剤録と薬歴に、疑義内容を記入することが義務付けられています。疑義照会後に必要な記録事項は、以下のとおりです。

 

● 日時(○月○日○時○分)
● 医療機関側の回答者の名前(応対した人の名前)(○○病院のDr○○)
● 照会の方法(電話、FAXなど)
● 照会内容
● 回答内容
● 照会した薬剤師の名前(フルネーム印鑑)

参考:保険薬局Q&A 令和6年版|じほう

 

疑義照会を行った後は、処方箋や調剤録、薬歴へ必要事項を記載することを忘れないようにしましょう。なお、薬局や自治体によっては、疑義照会の内容を赤色のペンで記載するなどのルールがあるため、事前に確認することが大切です。
 
続いて、疑義照会後の記録について具体的な例文と注意事項を紹介します。

 

5-1.形式的疑義照会の場合

形式的疑義照会の対応例と注意事項についてお伝えします。

 

(事例1)処方医の印鑑がない

処方医の印鑑がない理由としては、単純な押印漏れの場合や、処方箋を印刷した後に処方変更をして印刷し直した場合などが考えられます。

 

疑義照会のポイント 処方箋に処方医の印鑑がないことを伝え、調剤の可否を確認します。
記録例 ○月○日 ○時○分
押印漏れの旨、電話にて確認。
Dr○○より回答。 
薬剤師名 △△△

 

(事例2)処方箋末に以下余白がない

処方箋末に「以下余白」の記載がないケースでは、記載漏れの場合や2枚目以降も処方箋が発行されている場合があります。

 

疑義照会のポイント 以下余白の記載がないため、2枚目以降の処方箋が発行されているかを確認します。
記録例 ○月○日 ○時○分
以下余白の記載漏れの旨、電話にて確認。
Dr○○より回答。 
薬剤師名 △△△

 

処方箋末に「以下余白」の記載がない場合、患者さんが2枚目以降の処方箋を提出し忘れている可能性があります。そのため、疑義照会前に患者さんへ2枚目以降の処方箋を持っていないか確認するようにしましょう。

 

5-2.薬学的疑義照会の場合

薬学的疑義照会について、書き方の例文や注意事項をお伝えします。

 

(事例1)用法・用量が適応と異なる

薬の用法・用量が適応と異なっていたケースについて見てみましょう。

 

処方 Rp.1)A錠0.25mg 2T 朝食後 7日分
疑義照会のポイント A錠は、「0.5mgを1日1回食前に経口投与」で服用する薬です。食後で処方されているため、疑義照会を行います。
記録例 ○月○日 ○時○分
A錠の用法について電話にて確認。
朝食後→朝食前に変更の旨、Dr○○より回答。 
薬剤師名 △△△

 

患者さんには、以下のように確認しましょう。

 

通常、食前で飲むお薬ですが、食後で処方されています。医師から特別な指示をもらっていますか?

 

このように質問すると患者さんは抵抗なく答えてくれることが多いでしょう。しかし、患者さんの中には「食後でもいいから、そのまま出して!」という人がいるかもしれません。その場合は、食後に服用すると薬の効果が下がってしまうなど、疑義照会の必要性を伝え、納得してもらえるよう心がけましょう。

 

(事例2)処方内容がお薬手帳の記録と異なる

お薬手帳に記載されている退院薬と処方箋の内容が異なるために、疑義照会をしたケースを紹介します。

 

処方 今回の処方(かかりつけ医の処方)
Rp.1)B錠1mg 1T 朝食後 14日分
退院時の処方(お薬手帳の記録)
Rp.1)B錠1mg 3T 朝食後 14日分
疑義照会のポイント 退院時に大学病院から処方されたB錠の用量と、かかりつけ医が処方した用量が異なるケースです。このような場合、疑義照会を行う前にあらゆるケースを想定して状況確認をすることが大切です。
 
● B錠の用量が減量になった
● かかりつけ医の処方が間違っている
● 紹介状の内容が間違っている
● お薬手帳の記載が間違っている

 
まずは、患者さんに入院時や退院時の状況、かかりつけ医からの指示などについて聞き取りを行いましょう。医師との信頼関係を損なわないためにも、状況確認をしっかりしてから、必要に応じて疑義照会を行うことが大切です。
記録例 ○月○日 ○時○分
B錠の用量について電話にて確認。
1T→3Tに変更の旨、Dr○○より回答。 薬剤師名 △△△
 
変更がなかった場合は、以下のように記録を残しておきましょう。
退院時3T→外来処方1TへB錠の用量変更の旨、Dr○○より回答。

 

患者さんには、以下のように確認しましょう。

 

退院時と今回の処方内容でB錠の量が異なります。医師から薬の量について説明がありましたか?

 

医師から患者さんへ説明がない場合は、必ず疑義照会を行いましょう。血液などの検査値から減量の意図が確認できたとしても、患者さんに説明がなかった場合は、念のため医師へ確認しておくと安心です。患者さんへ説明があった場合は、説明内容を薬歴に記載しておきましょう。

 

(事例3)日数制限を超えた処方があった場合

薬価収載1年以内の新薬や向精神薬などには、基本的に処方日数に制限があります。

 

処方 Rp.1)C錠500mg 4T 朝夕食後 30日分
疑義照会のポイント C錠は、原則14日分までの処方を限度としています。そのため、基本的には14日以上の処方は認められません。
記録例 ○月○日 ○時○分
C錠の投与日数について電話にて確認。
30日分→14日分に変更の旨、Dr○○より回答。
薬剤師名 △△△

 

患者さんには、以下のように確認しましょう。

 

今回処方されているC錠は14日分までしかお渡しできないルールになっています。30日分で処方されているため、医師に処方日数の確認を取ってもよろしいでしょうか?

 

処方日数に制限のある薬を服用している患者さんの中には、処方日数の延長を希望する人もいます。薬によって投与制限があることについて服薬指導を行い、患者さんの理解を得られるように努めましょう。

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6.薬剤師が疑義照会を行うときのポイント

薬剤師が疑義照会を行うときは、要点をまとめて代替案を準備しておきましょう。また、医師や患者さんへの配慮も欠かせません。ここでは、疑義照会を行うときのポイントについてお伝えします。

 

6-1.要点をまとめて伝える

医師は、他の患者さんの診察をしながら疑義照会に対応することもあるので、なるべく手短に要件をまとめて簡潔に伝えることが大切です。電話をかけてから疑義内容の伝え方を考えていると、要領を得ない説明になってしまうかもしれません。
 
疑義照会に慣れていない場合は、考えをまとめてから伝えたり、メモを使って要点をまとめたりして、スムーズに疑義照会が行えるように努めましょう。

 

6-2.代替案を準備する

疑義照会では医師から迅速に答えを得られるように準備することが大切です。例えば、小児用量についての疑義照会では投与可能な用量を提示したり、併用禁忌についての問い合わせであれば代替薬を提案したりして、できるだけYesかNoで答えられるように提案するとよいでしょう。
 
外来患者さんや入院患者さんの診療に追われている医師も多いので、代替案の準備を怠らないことがスムーズに疑義照会をするためのポイントです。

 

6-3.医師への伝え方に配慮する

疑義照会の際、医師のミスをあからさまに指摘するような伝え方をしてしまうと、無用なトラブルを招く可能性があります。疑義照会において、医師への伝え方は十分に配慮する必要があるでしょう。
 
「この処方は間違っている」といった一方的な伝え方は避け、指摘ではなく確認することを意識すると、穏便に疑義照会を行うことができます。

 

6-4.患者さんと丁寧にコミュニケーションを取る

疑義照会をする前に、患者さんへ問い合わせ内容について確認することも重要です。薬剤師が疑問に感じる処方でも、患者さんと医師との間で何かしらのやりとりがあった可能性があるからです。
 
気になった点を患者さんに伝え、医師から特別な指示があったかを確認した上で疑義照会を実施しましょう。

7.疑義照会に関連する調剤報酬の加算

疑義照会に関連する調剤報酬として、重複投薬・相互作用等防止加算があります。重複投薬相互作用等防止加算は、重複投薬や相互作用を事前に防ぐなどのために、処方医へ疑義照会を行い、処方変更された場合に算定できる加算です。
 
残薬調整に係るものは20点、残薬調整に係るもの以外の場合は40点を処方箋受付1回につき算定します。

 
🔽 重複投薬・相互作用等防止加算について解説した記事はこちら

 

重複投薬・相互作用等防止加算と類似したものに、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料があります。
 
重複投薬・相互作用等防止加算は調剤管理料の加算であるのに対し、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は在宅患者訪問薬剤管理指導料または居宅療養管理指導費を算定した患者さんに対して要件を満たした場合に算定できる管理料です。

 
🔽 在宅患者重複投薬・相互作用等防止加算について解説した記事はこちら

8.薬剤師が疑義照会する意義は大きい

薬剤師による疑義照会は、患者さんが安心して適切な薬物治療を受けるために重要な業務です。しかし、処方内容に対して疑問を持つためには、医薬品や医療に関する知識を蓄積し、さまざまな経験を積むことが求められます。必要な情報を聞き取ったり、伝えたりするためのコミュニケーション能力も必要なため、薬剤師として知識や経験を積み重ねて、患者さんが安心・安全に薬物治療を受けられるよう努めることが大切です。

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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。