薬剤師の働き方 公開日:2024.04.25 薬剤師の働き方

4週8休とは?年間休日数の計算方法やメリット・デメリットを解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

薬剤師の求人情報で見かける「4週8休」。その他、休日制度として「週休2日制」や「完全週休2日制」などがあり、違いがよく分からないという方もいるのではないでしょうか。この記事では、4週8休における休日の決め方や年間休日数、メリット・デメリットを解説するとともに、週休2日制と完全週休2日制との違いや、転職する際に確認しておきたいポイントについてお伝えします。

1.4週8休とは

4週8休とは、4週間の中で8日間の休日がある勤務形態を指します。これは、あくまで期間内の休日数を定めたもので、固定の曜日が休日になるとは限らないのが特徴です。まずは、4週8休における休日の決め方や年間休日数について解説します。

 

1-1.休日の決め方

労働基準法では、労働時間や休日について次のように定められています。

 

● 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
● 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

 

参照:労働時間・休日 |厚生労働省

 

ただし、業種や職場によっては「1日8時間、週40時間以内」を満たした労働時間を設けることが難しい場合もあります。その際、労働環境が劣悪にならないよう、変形労働時間制のひとつである4週8休を採用するケースがあります。

 

1-2.年間休日数の計算方法

求人情報には、「年間休日120日以上」と記載されていることもあります。では、4週8休の場合、年間で計算すると、どのくらいの休日数になるのでしょうか。1年間を365日としたときの4週8休における年間休日数は、次のように計算できます。

 

1. 365日÷7日=52週
2. 52週÷4週=13
3. 8日休日×13回=104日

 

このように計算すると、4週8休を採用している企業の1年間の休日は「104日」です。ただし、104日の中に夏季休暇や冬季休暇などの休暇を含める場合もあれば、含めない場合もあります。企業によって年間の休日数は異なるので、転職を考える場合には事前に確認しておく必要があるでしょう。

2.薬剤師の働き方に「4週8休」が採用される理由

職場によって異なるものの、なぜ薬剤師の働き方として「4週8休」が採用されるのでしょうか。上述したとおり、4週8休は変形労働時間制のひとつです。ここでは、変形労働時間制について解説した上で、薬剤師の職場で変形労働時間制が採用される理由についてお伝えします。

 

2-1.変形労働時間制とは

変形労働時間制とは、業務の繁閑や特殊性に合わせて休日を調整し、労働時間を工夫する制度のことです。変形労働時間制では、次のような要件が定められています。

 

変形労働時間制の要件
対象期間 1箇月を超えて1年以内の期間に限る。
起算日 対象期間を具体的な期日ではなく期間で定める場合に限り、当該期間の起算日も必要。
労働時間 対象期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間を超えないようにする。

参考:1年単位の変形労働時間制|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

 

変形労働時間制には、その他にもさまざまな要件がありますが、労働者のゆとりの向上や時間外・休日労働の減少によって、総労働時間の短縮を目指した制度となっています。

 

2-2.薬剤師の職場に変形労働時間制が採用される理由

1日8時間労働の場合、完全週休2日制であれば、平日5日×8時間労働で週40時間労働制が達成されます。しかし、そうでない場合には、変形労働時間制により休日を確保しなければいけません。
 
調剤薬局や病院など薬剤師が働く医療機関の中には、土日祝日に営業をしていたり、夜間の対応を行っていたりするところが少なくありません。
 
そうした医療機関は「1日8時間、週40時間以内」の労働時間を設けるのが難しいため、4週8休といった変形労働時間制を採用している傾向にあります。

3.4週8休と週休2日制、完全週休2日制の違い

求人情報に記載されている休日制度には、4週8休の他に、週休2日制、完全週休2日制などがあります。ここでは、週休2日制と完全週休2日制について詳しく見ていきましょう。

 

3-1.週休2日制

週休2日制とは、1カ月の間に週2日の休日がある週が1回以上ある制度のこと。毎週2日の休日が確約されているわけではないので、注意が必要です。例えば、毎週日曜日と第2・第4土曜日が休日といったケースなどが当てはまります。
 
調剤薬局や病院などの医療機関が週休2日制を採用する理由として、繁忙期は社員の休日を少なくして業務の対応ができる人数を増やし、閑散期は毎週2日休日を設定して社員の負担を軽減するといった目的があります。
 
一見すると、休日が少ない職場と捉えられがちですが、週休2日の中に祝日を含めるかどうかによって、年間の休日数が変わります。医療機関の考え方次第では、働きやすい職場環境かもしれません。転職を検討する際は、年間の休日数をチェックしておくとよいでしょう。

 

3-2.完全週休2日制

完全週休2日制は、毎週必ず2日の休日があるという休日制度です。年間休日数が最も多い働き方だと思われがちですが、実際には職場によって条件が異なります。
 
例えば、求人に「完全週休2日制(土日祝日)」と記載されている場合、祝日が1日ある週は、土日と祝日の3日間が休日となります。細かく記載がない場合は、祝日を含めた2日間を休日としていたり、祝日を出勤日として数えていたりすることもあるでしょう。
 
ゴールデンウィークやシルバーウィーク、年末年始など、祝日が重なる時期は、薬剤師が当番制で出勤する傾向にあるため、連休が続く際の休日がどのように扱われるのかを確認しておくとよいでしょう。

4.4週8休のメリット

職場によって、さまざまな休日が設定されていますが、4週8休の働き方には、どのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

 

4-1.平日に休みやすい

土日祝日が休みの職場に勤務すると、平日にしかできない用事が発生したとき、有休などを取得して平日休みを取ることになります。その点、4週8休を採用している職場では、平日休みになる可能性が高く、平日の行動に対する制限が少ないでしょう。
 
また、買い物や美容室、レジャー施設などを利用するときも、平日であれば混雑が避けられたり、お得に利用できたりすることがあります。平日に休みが取りやすい点は、4週8休のメリットといえるでしょう。

 

4-2.連休が取得しやすい

4週8休は4週間のうち8日の休みを取ればよいので、連休を希望しやすい傾向にあります。職場によっては、有休を使わずに旅行や趣味のための連休を確保したり、有休と合わせて長期休みを希望したりと、自由に予定が組めるところもあるでしょう。
 
仕事に集中する時期と、リフレッシュできる連休を確保するなど、メリハリのある生活ができるのも4週8休のメリットといえます。

5.4週8休のデメリット

一方で、4週8休には、デメリットもあります。

 

5-1.シフトが出ないと予定が組めない

4週8休を採用している職場では、定休日がないため、シフトが出るまでその月の休日を把握できません。シフトが発表されるタイミングにもよりますが、先の予定を立てるのが難しいと感じる人もいるでしょう。
 
また、土日や祝日の休みを取りにくいため、家族や友だちとの予定が立てづらいのもデメリットといえます。

 

5-2.体力面で負担が大きい場合がある

連休が多かったり、短期間のうちに休日が多かったりするなど、休日が偏ってしまうと、その他の日は連勤となり、体力的な負担が大きくなる場合があります。
 
自身の希望で連休を取得した場合には、連勤であってもモチベーションを保ちやすいかもしれません。しかし、職場の都合で出勤と休日が交互に続いたり、不意に3連休が入ったりすると、生活リズムが乱れやすく体調に影響が出る可能性もあります。

6.転職時に年間休日数を確認する方法と確認しておきたいポイント

同じ4週8休であっても、職場によって年間の休日数が異なる場合があります。求人情報を確認するだけでなく、面接時に直接確認するなど、事前に確認しておくとよいでしょう。転職エージェントを活用し、情報収集するのも一案です。
 
また、年間休日数だけでなく、祝日や夏季・冬季休暇の扱い、有休消化率なども確認しておくと安心です。チェックしておきたいポイントについて詳しく解説します。

 

6-1.祝日や夏季・冬季休暇の扱い

4週8休とは別に、夏季休暇や冬季休暇が設けられている職場では、それぞれ何日程度取得できるのかを確認しましょう。休暇を付与される場合は、年間の休日数が少し多くなります。
 
ただし、職場によっては、夏季・冬季休暇を「有休消化をする期間」としている場合があります。休暇を付与されるのではなく有休を消費して休むことになるため、有休が残っていない場合は夏季・冬季休暇が取れないかもしれません。
 
また、祝日を4週8休の休日に含めるかどうかによっても、年間休日数は変わります。祝日を4週8休の休日に含めない職場であれば、年間休日数は多くなるため、転職をする際は、夏季・冬季休暇、祝日の扱いをしっかりと確認しましょう。

 

6-2.有休消化率

有休消化率が高い企業は、有休の取得分だけ年間の合計休日数が多くなります。一定の要件を満たした労働者には年間10日以上の有給休暇が必ず付与されるため、年間休日数が104日の企業が有休消化率100%だった場合、年間の合計休日数は114日以上となるでしょう。
 
また、有休消化率は働きやすさの指標にもなります。有休消化率が高い職場は、社員のワークライフバランスを尊重する傾向にあり、プライベートを充実させたり、子育てや介護と仕事を両立させたりしやすくなります。
 
プライベートが充実することで、仕事に対する意欲や満足度が高まり、やりがいを感じやすくなるでしょう。有休消化率は、働きやすさに直結するものとして確認しておくことをおすすめします。
 
参照:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省

7.4週8休を採用する職場に転職するなら、事前の情報収集を

薬剤師の仕事は、自身のコンディションを整えることで、パフォーマンスを高められます。正確かつ迅速にミスなく業務を行うためにも、十分に体と心を休ませる時間を確保することが重要でしょう。体力面・精神面を安定させて業務を行うためにも、休日以外に付与される休暇や、有休消化率などを確認するのがおすすめです。年間休日数をチェックしながら、自分にとって働きやすい職場を探してみましょう。


執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。