薬剤師の働き方 公開日:2025.06.25 薬剤師の働き方

「薬剤師を辞めたい」と思う主な理由と転職で後悔しないためのポイントとは?

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

薬剤師を辞めたい理由には、ミスが許されない仕事にプレッシャーを感じたり、薬剤師自体が向いていないと思ったりすることなどが挙げられます。そういった理由から、薬剤師以外の仕事に就きたいと考える人もいることでしょう。
薬剤師としての知識や経験は、さまざまな職種で役立つため、薬剤師以外の仕事でも活躍できる人は多いでしょう。ただし、薬剤師は一度辞めると、再び薬剤師として働くのが難しくなる可能性があります。医療は日々進歩しており、保険制度は2年に一度改定されます。薬剤師に戻ってみたら、自身の知識が通用しなくなっていた……ということもあり得るため、薬剤師以外の仕事を検討する場合には慎重に進めることが大切です。
本記事では、薬剤師を辞めたいと思う主な理由や辞めるタイミングを見極めるポイントについて解説します。加えて、薬剤師を辞めたいと思ったときの対処方法と、転職で後悔しないためのポイントをお伝えします。

目次

1.薬剤師を辞めたいと思う主な理由

薬剤師を辞めたいと思う理由には、さまざまなものがあります。考え方や環境などによって悩むポイントは異なるでしょう。ここでは、薬剤師を辞めたいと思う11の主な理由を紹介します。

 

1-1.人間関係の悩みやストレスがある

「職場の人間関係」はあらゆる職種で「辞めたい」理由の筆頭に挙がる要素です。薬剤師の職場は、ほぼ同じメンバーと限られた空間で長時間を過ごす環境であることが多いため、苦手な人が職場にいることで、ささいなことからトラブルに発展するケースがあります。
 
また、職場の同僚に業務について気軽に相談できない環境だと、業務中に起きたトラブルを解決するのに時間がかかったり、解決できずに大きな問題に発展したりすることもあります。あらゆる問題を一人で解決しなければならない環境はつらいものです。そういったストレスを感じやすい職場の場合、薬剤師を辞めたいと思うこともあるでしょう。
 
さらに、休憩時間に「仕事がきつい」「○○さんは仕事ができない」といった愚痴や不満が多く聞こえてくる環境だと、仕事へのモチベーションが低下してしまうこともあります。

 

1-2.給与や評価に不満がある

業務量や業務内容に見合う給与がもらえなかったり、他の職場で働く友人と比較して給与が低かったりすると、納得できないこともあるでしょう。また、人事考課を行う上司に評価してもらえない場合には、不満を感じてしまうものです。
 
「チームワークを大切にする」「正確に早く仕事をこなす」「知識やスキルを高める」など、自身が正しいと思って取り組んでいることが評価されず、思うように給与が上がらなかったり、昇級できなかったりすると、薬剤師を辞めたいと思うことがあるかもしれません。

 
🔽 薬剤師の年収・給料について解説した記事はこちら

 

1-3.プライベートな時間が確保できない

仕事量が多く頻繁に残業しなければならなかったり、休暇がなかなか取れなかったりすることで、プライベートな時間が充分に確保できないこともあります。
 
薬剤師として働くことに生きがいを感じており、仕事をしている時間が楽しくて仕方ない場合には、こういった環境であっても不満を抱くことはないかもしれません。しかし、仕事もプライベートも充実させたいと考える人にとって、プライベートな時間を確保できないことは、薬剤師を辞めたいと考える要因となる場合があります。
 
また、プライベートな時間が確保できず、心身ともに充分な休息が取れないと、モチベーションが低下したり、ミスが増えたりしやすくなります。仕事量が多すぎることは、負の連鎖を引き起こす原因になってしまう可能性があるでしょう。

 

1-4.ルーティンワークばかりでつまらない

特に薬局薬剤師は、病院薬剤師と比較すると、どうしても仕事内容が限られやすいため、業務が単調になりがちです。
 
事務作業や電話対応、在宅医療など幅広い業務をこなす薬局は、単調な仕事となりにくいでしょう。しかし、業務内容が固定されていたり、同じような内容の処方が多かったりする薬局では、調剤、監査、投薬の一連の流れを繰り返していると、仕事内容に飽きてしまう薬剤師もいるかもしれません。
 
病院薬剤師であっても、業務が固定されてしまうと、ルーティンワークと感じやすくなるでしょう。病院薬剤師には、調剤や監査以外にも、病棟業務や委員会などの仕事がありますが、多職種と連携して業務を行うには、薬剤師としての高い知識やスキルが求められます。そのため、一定以上の知識やスキルが身に付くまでは調剤や監査に集中することになるでしょう。
 
病院薬剤師における調剤や監査は、内服薬や注射薬、院内製剤などがあり、覚えることがたくさんあります。しかし、ステップアップするまでの期間が長くなってしまうと、業務がつまらないと感じる場合があるかもしれません。

 
🔽 薬剤師の仕事がつまらないと感じたときの対処法について解説した記事はこちら

 

1-5.ミスが許されない仕事へのプレッシャーを感じる

薬剤師の仕事は、人の命に関わるものです。大きな調剤過誤を起こした場合には、法的な責任を負う可能性もあります。そのため、ミスが許されない仕事にプレッシャーを感じることもあるでしょう。
 
特に、大きなミスをしてしまった薬剤師は、自責の念で苦しんでしまうケースもあります。同僚や友人が相談に乗ったり、ミスをなくすために職場の業務システムを見直したりしても、すぐに立ち直れるとは限りません。ミスが許されない仕事へのプレッシャーに耐えられず、薬剤師を辞めたいと思ってしまうこともあり得るでしょう。

 

1-6.職場のフォロー体制や教育体制が整っていない

薬局で散剤、軟膏混合、一包化などの重い処方を同時に受け付けた場合や、入院患者さんが立て続けに来院した場合など、薬局や病院では一時的に慌ただしくなることがあります。そうした状況下で、同僚の薬剤師同士で仕事をフォローし合えない場合には、ストレスがたまってしまうかもしれません。
 
薬局内で協力・連携ができなければ、最終的には患者さんに迷惑をかけてしまうことになるでしょう。お互いにフォローできる環境が整備されていないことにジレンマを感じ、仕事へのモチベーション自体が下がってしまう場合もあります。
 
また、新人薬剤師や異動したばかりの薬剤師は、新しい環境に慣れるためにさまざまなことを学ばなければなりません。教育体制が整っていれば、スムーズに必要な知識やスキルを身に付けられ、職場での役割を果たせるようになるでしょう。
 
しかし、教育体制が整っていないと、仕事に慣れたり必要な知識やスキルを身に付けたりするのに、必要以上に時間がかかってしまいます。もちろん、自身で学ぶことも大切ですが、職場で必要な知識が不足していることで、業務スピードが落ちたり、ミスにつながったりすることがあります。
 
薬剤師としての成長をサポートしてくれず、知識やスキルを共有するための教育体制が整っていない職場の場合、働くモチベーションが下がり、薬剤師を辞めたいと思うこともあるでしょう。

 

1-7.患者さんとのコミュニケーションがうまくいかない

薬局では、丁寧に服薬指導をしても、当の患者さんからは「分かっているよ」「どうせいつもの薬でしょ」「時間がないから」などと冷たい反応をされることがあります。
 
特に薬剤師になったばかりの頃は、冷たい反応をされると一時的に落ち込んでしまうこともあるでしょう。このような患者さんの言動を発端に、患者さんの役に立てている実感が得られず、薬剤師の存在価値に対して疑問を感じてしまうこともあるかもしれません。
 
また、いろいろな話をしてくれる患者さんは服薬指導が長くなりがちです。そういった患者さんには丁寧な対応ができるものの、ほかの患者さんへの対応時間が短くなってしまうこともあるでしょう。
 
患者さんごとに上手にコミュニケーションを取れないと、クレームにつながったり、自身の評価を下げたりする場合があります。患者さんとのコミュニケーションがうまくいかず、薬剤師の存在価値に疑問を感じたり、クレームを受けたりする場合があることも、薬剤師を辞めたいと思う要因となるかもしれません。

 

1-8.キャリアアップが実現できない

「経験年数3~4年で薬局長を務める友人」や「薬局長やエリアマネージャーなどを一通り経験して起業に踏み切る友人」など、順調にキャリアアップする友人がいると、停滞する自身のキャリアに焦りを感じてしまうかもしれません。
 
通常であれば役職に就いてもおかしくない経験年数にもかかわらず、現職でキャリアアップができていない場合、薬剤師を辞めたいと感じることがあるでしょう。

 

1-9.ライフステージの変化に対応できない

結婚や出産、育児、介護などのライフステージの変化は、働きやすさを求めて職場を変えるきっかけになります。育児や介護などは、ある程度外部に委託することもできますが、すべてを任せることは難しいため、仕事との両立が必要です。
 
そのため、頻繁に残業があったり、忙しすぎたりする職場では、仕事とプライベートの両立が難しくなるでしょう。
 
また、日によって残業が発生したり、忙しすぎたりすることは、どんな職場でもあり得ることです。働き方の調整ができない職場で働いている場合には、身体的・精神的に負担の軽い仕事に就く、薬剤師を辞めるといったことを検討せざるを得ないこともあります。

 

1-10.薬剤師に向いていないと感じる

人によっては、薬剤師自体に向いていないと感じることもあります。例えば、病院薬剤師は、多職種と連携して業務を行うため、薬剤師としての専門性を高めることが必要です。最新医療を含むさまざまな情報を収集し、医師が治療に取り入れた場合にも対応できるよう、自身の知識として落とし込むことが求められます。
 
一方、薬局薬剤師は、周りのスタッフとの連携が必要なため、スムーズに調剤や監査ができるように周りの様子を見ながら、ミスなく業務をこなすことが求められます。疾患や薬の知識に加え、2年ごとに改定される保険制度についても勉強しなければなりません。
 
薬剤師は、多くのことを学び続け、ミスなく業務をこなすことが求められます。自己研鑽をするための時間が確保できなかったり、モチベーションが維持できなかったり、調剤ミスやトラブルなどが続いたりすると、薬剤師に向いていないと感じることもあるでしょう。

 
🔽 薬剤師の仕事が向いていないと感じたときの対処法について解説した記事はこちら

 

1-11.将来性を感じられない

職場でのキャリアアップを目指しても、管理薬剤師や薬局長、エリアマネージャーなどのポストが埋まっており、自身の昇進が望めないと、現職での将来性を感じられないこともあります。
 
また、薬剤師自体の将来性に不安を抱くこともあるでしょう。薬剤師の仕事は必要なくなってしまうのではないか、この先自分がやりたい仕事ができるのか、といった漠然とした不安にとらわれることもあるのではないでしょうか。
 
調剤薬局や調剤薬局併設型のドラッグストアが乱立し、競争が激化する中で、今の勤務先が生き残れないのではないかと不安になることもあるかもしれません。そうした理由から、薬剤師としての将来性に不安を感じて、薬剤師を辞めたいと思うこともあるでしょう。

 
🔽 薬剤師の将来性について解説した記事はこちら

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2.薬剤師を辞めるタイミングを見極めるポイント

薬剤師を辞めたいと思っても、なかなか決心がつかないこともあるでしょう。ここでは、薬剤師を辞めるタイミングを見極めるポイントについてお伝えします。

 

2-1.辞めたい理由について改善される見込みがない

薬剤師を辞めたいと思う理由にはさまざまなものがありますが、中には上司に相談したり、転職したりすることで解決できることもあるでしょう。
 
薬剤師の仕事自体ではなく、職場環境などが薬剤師を辞めたい原因であれば、まずは職場をよりよくするために行動したり、転職したりして、環境改善を目指してみるのがおすすめです。
 
それでも改善しない場合や、環境を変えても解決できない理由で辞めたいと思っている場合は、薬剤師を辞めることを考えざるを得ないタイミングといえるでしょう。

 

2-2.長期間同じ悩みを抱えている

長期間抱えている悩みが解決しない場合も、薬剤師を辞めるという決断に至ることがあります。
 
薬剤師の労働環境は、職場によって違いはあるものの、おおむね類似しています。ほかの職場に転職したとしても、同じ悩みを抱え続けてしまう可能性は十分にあります。そのため、転職しても状況は変わらないと考えて、行動に移せない薬剤師もいることでしょう。
 
さまざまな対応を検討したり、試してみたりしても、悩みが解決する見通しが立たないときは、薬剤師を辞めるタイミングとなるかもしれません。

 

2-3.心身ともに影響が出ている

仕事によって心身ともに影響が出ているときにも、薬剤師を辞めたいと考える場合があるでしょう。
 
ただし、心身が不調であるときは、何事もネガティブに考えすぎてしまうケースもあります。そういった場合には、薬剤師を辞めるという決断を下す前に、まず体調を整えるための休職や退職を検討するとよいでしょう。
 
心身ともに体調が戻り、改めて薬剤師について考えたときに、「やっぱり辞めたい」と思うのであれば、薬剤師を辞めるタイミングといえます。

 

2-4.辞めたあとのビジョンがある

薬剤師以外にやりたいことが見つかったときも、薬剤師を辞めるタイミングといえるでしょう。薬剤師を辞めて、医療系や異業種の企業に勤める、起業してチャレンジしたいことがあるなど、明確なビジョンがあるのであれば、薬剤師を辞めて、新しい一歩を踏み出すときかもしれません。
 
ただし、転職後に「やっぱり薬剤師として働きたい」と思っても、薬剤師としてのブランクが原因で働きづらくなる可能性もあります。薬剤師を辞めて新しい仕事に就くのであれば、ある程度覚悟を持って辞める必要があるでしょう。

3.薬剤師を辞めたいと思ったときの対処方法

薬剤師を辞めたいと思ったら、退職のための行動を起こす前に、信頼できる上司や同僚、友人などに相談したり、自身の立ち振る舞いを変えたりすることで、状況や考えが変わるかを確認することが大切です。ここでは、薬剤師を辞めたいと思ったときの対処方法についてお伝えします。

 

3-1.信頼できる上司や同僚に相談する

薬剤師を辞めたいと思ったら、まずは信頼できる上司や同僚に相談するのがおすすめです。自分と同じような悩みを抱えていたり、悩みを克服した経験があったりするかもしれません。
 
例えば、苦手な人がいる場合には、その人との間を取り持ってもらい、コミュニケーションを取りやすくしてもらうこともできるでしょう。苦手な人であっても、コミュニケーションを取ることで、いいところや魅力を見つけることができるかもしれません。人間関係の問題が解消されることで、薬剤師を辞めたいという気持ちが薄まる可能性もあります。

 

3-2.職場以外の人に相談する

職場の人に相談しづらかったり、相談できない内容であったりする場合には、職場以外の人に相談することもおすすめです。同じ職場でないからこそ、新たな視点で解決策を提案してくれるかもしれません。
 
解決策が見出せなかったとしても、話をすることで気持ちの整理がつき、もう少し薬剤師を続けてみようと思えることもあります。
 
反対に、薬剤師を辞める理由付けとなる場合もあります。ほかの医療系の企業についてリアルな職場環境が分かったり、異業種へ興味を持つきっかけになったりすることもあるでしょう。
 
いずれにしても、自分の考え方に固執せず、さまざまな意見、価値観に耳を傾けるために、職場以外の人に相談するのも方法のひとつです。

 

3-3.自分の行動やコミュニケーションの取り方を変えてみる

給与や評価、業務内容などに不満がある場合には、上司や人事などに相談して解決できないか検討することが大切です。自分の置かれている状況や考えなどを伝え、改善してもらえるのか、改善するために必要なことなどを確認しましょう。
 
また、人間関係や患者さんとのコミュニケーションなどが薬剤師を辞めたい理由なのであれば、自身のコミュニケーション能力を高める努力をすることも必要かもしれません。
 
人とのコミュニケーションは、基本的にどんな職場でも求められることで、薬剤師を辞めたあとも必要なスキルです。今の環境でスキルアップに挑戦することは、決して無駄にはならないでしょう。

 

3-4.異動を願い出る

薬局薬剤師が今の仕事をルーティンワークのように感じているのなら、社内異動を希望するのも方法のひとつです。同じ会社内でも、店舗によって多少ルールが異なり、患者さんの層やスタッフの雰囲気も変わります。新しい気持ちで仕事に打ち込むことができるかもしれません。
 
病院薬剤師であれば、担当病棟の異動や担当業務の変更などを希望するのもよいでしょう。調剤室での業務が中心であれば、調剤や監査、注射剤の混注など調剤業務の中で担当したい業務を上司に伝える方法もあります。挑戦したい病棟業務や委員会があれば、事前に伝えておくと、担当決めのときに配慮されるかもしれません。
 
また、人事や総務、経理などの本部の役割や、新人研修業務などの担当を希望するのもよいでしょう。ただし、これらは既存の業務に追加して行う可能性があるので、負担が増えすぎないようにすることも意識しましょう。

 

3-5.休職や長期休暇で一定期間休みを取る

心身の不調やモチベーションの低下などにより、薬剤師を辞めたいと考えているのであれば、休職や長期休暇で体調を整えたり、薬剤師を続けることについて考えたりする時間を作ることもおすすめです。
 
ある程度まとまった時間が得られると、心に余裕ができて、薬剤師を辞めたいと思った理由について深く考えることができます。冷静に考えると、薬剤師を辞めるほどの理由ではないと判断できるかもしれません。
 
反対に、自分は薬剤師以外の仕事の方が向いていると分析できることもあるでしょう。心に余裕を持つことで、視野が広がり、冷静な判断へとつながります。一度、長期の休みを取って、自身のキャリアについて考えてみるのも選択肢のひとつです。

 

3-6.希望の働き方ができるところに転職する

薬剤師を辞めてからのブランクが長くなればなるほど、再度薬剤師として働くことに躊躇するものです。そのため、自分の中で薬剤師を続けるという選択肢が少なからず残っているのであれば、薬剤師を辞める前に、希望の働き方ができる職場に転職してみるのもよいでしょう。
 
職場を変えることで、労働環境や給与面などだけでなく、人間関係の悩みや将来への不安などを解消できるかもしれません。納得の行く職場で薬剤師を続けられるように、薬剤師を辞める決断をする前に転職してみるのも一案です。

4.薬剤師が異業種への転職で後悔しないためのポイント

薬剤師が異業種への転職を考えるのであれば、転職理由や転職条件などを明確にしておくことが大切です。ここでは、薬剤師が異業種への転職で後悔しないためのポイントについてお伝えします。

 

4-1.転職する理由を明確にする

転職する理由を明確にすることが、薬剤師が異業種への転職で後悔しないためのポイントのひとつです。なぜ薬剤師を辞めたいのか、新しい職種を選んだ理由などを明確にしましょう
 
薬剤師を続けたい気持ちが残っているのであれば、今の職場を辞めたい理由をはっきりさせ、薬剤師を辞める理由になるのか、職場を変えることで解決するかを考えることが大切です。
 
転職理由をはっきりさせておくことは、転職活動で志望動機を説得力のあるものにすることにもつながります。また、現職から「辞められたら困る」「残ったスタッフの負担が多くなって店舗が回らない」などと引き留められた場合にも、落ち着いて状況を判断したり、意思を伝えたりしやすくなるでしょう。

 

4-2.重視したい条件を決めておく

転職理由を明確にしたら、転職条件を決めましょう。例えば、薬剤師を辞めて未経験として転職する場合、電話対応や顧客対応などのスキルはある程度習得していても、転職先の業界で必要とされる知識やスキルがあまり身に付いていないと、待遇面で多くを求めるのは難しいかもしれません。
 
自身が求める働き方の中で優先順位を付け、譲れない条件と妥協できる条件をはっきりさせておくことが大切です。

 

4-3.転職先に関する情報を収集する

転職の理由や条件を明確にしたら、転職先の候補について情報を収集しましょう。求人サイトや転職エージェントを活用すると、転職活動に必要な情報を得ることができます。
 
仕事などで情報収集する時間を確保するのが難しい場合は、希望に合った求人を紹介してくれる転職エージェントを活用するのがおすすめです。また、企業によっては職場見学などが可能なところもあるため、希望の転職先が実施している場合には積極的に参加しましょう。
 
友人が勤めている企業への転職を希望するのであれば、友人から上司に掛け合ってもらえることもあるでしょう。ただし、その場合、入職することが前提となりやすい上に、入職後にトラブルなどが起こると友人の信用問題にもなりかねないため、慎重に進める必要があるでしょう。

 

4-4.円満に退職するための準備をする

退職するときは、なるべく円満退社になるよう心がけましょう。自身の退職によって人手不足になるのが心配であれば、期間に余裕を持って退職意向を伝えることが大切です。
 
就業規則では、退職日の1カ月前までに申し出ればよいと定められていることが多いかもしれませんが、おおむね2ヶ月以上前に伝えられれば、会社側も人員補充や人事異動などの対応を進める余裕ができるでしょう。
 
また、退職日まで余裕があれば、退職手続きや同僚への引き継ぎ作業のための時間も確保しやすくなります。わだかまりなく退職し、気持ちよく新しいスタートを切れるように心がけることも、転職で後悔しないためのポイントといえます。

5.「薬剤師を辞めたい」理由を明確にして次のキャリアに進んでみよう

「薬剤師を辞めたい」のであれば、今の勤務環境のどのような点に不満を持っているのか、自分自身と向き合って考えることが大切です。自分自身だけでは冷静に考えられない場合は経験豊かな上司や先輩、友人などを頼って相談しましょう。新たな視点や解決方法が見つかるかもしれません。
 
また、薬剤師は辞めてからのブランクが長ければ長いほど、薬剤師として復帰するのに躊躇するものです。薬剤師を辞める理由をはっきりさせることが、次のキャリアに進むためには大切です。

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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。