薬剤師・薬局の仕事は、一般の利用者の立場からは分かりにくい部分も多いかもしれません。薬剤師・薬局に関する素朴な疑問について、薬剤師さんに詳しく解説してもらいました!
「薬剤師になりたい理由」は何だった?
私の場合は、理系科目への興味と「一生働きたい」という思い、そして白衣への憧れが重なった結果でした
「なぜ薬剤師になったのですか?」――。薬学部を卒業して就職活動をする時、面接で必ずと言っていいほど聞かれる質問です。面接の場では、「地域医療に貢献したい」「薬のプロフェッショナルとして……」といった優等生的な回答をしがちかもしれませんね。
では、私の場合、本当のところはどうだったのかということで、あらためて記憶の糸をたぐり寄せてみました。昔のことなので記憶があいまいな部分もあるし、後付けの部分も少し混じっているかもしれませんが、今回は私が薬剤師をめざした本当のきっかけについてお話ししてみます。
私は、小さい頃から一貫して薬剤師をめざしていたわけではありません。小学生の頃の夢は、教師になること。小学校の先生になりたいと思っていた時期もあったし、小学5年生の頃には中学校の数学教師になりたいと思っていました。
もともと、数学や理科といった理系科目が好きで、勉強していて楽しいと思える分野でした。しかし、学年が進むにつれて、「学校で教えるよりも、理系の知識そのものを使って仕事がしたい」という気持ちの方へ少しずつ傾いていったのです。
そしてもう一つ、私の進路決定に影響を与えたのが、専業主婦だった母の存在。母のことはもちろん好きでしたが、子ども心に「母とは違う生き方がしたい。一生働いていたい」と強く思っていました。結婚しても、もし子どもが産まれたとしても、社会と関わり続けられる仕事。一生涯、自分の足で立っていける仕事。そう考えた時、理系で、国家資格が必要な薬剤師という選択肢が、自分の中でごく自然に浮上してきたのだと思います。
薬剤師という仕事を初めて意識したのは、小学生の頃。少し成長して、風邪をひいた時などに一人で病院に通えるようになった頃です。診察を終えて薬局へ行くと、凛々しく働く薬剤師さんの姿がありました。「白衣姿が素敵だなあ」――。そんな憧れを抱いたことを覚えています。理系科目への興味、一生働ける資格、そして白衣への憧れ。これらが合わさって、私をこの道へと導いてくれたのでしょう。
大学に入ってから周りの友人と話をしてみると、似たような動機を持っている人は意外と多かったです。「昔から白衣姿の薬剤師さんに憧れていて」という人もいれば、私と同じように「女性でもずっと続けられる仕事だから」という現実的な理由を挙げる人もよくいました。中には、「親が薬剤師で、地域の人たちの健康を支えている姿をずっと見てきたから」という理由でめざした友人もいて、感心させられることもありました。
きっかけは人それぞれですが、「憧れたから」「安定しているから」といった入り口だったとしても、実際に働き始めれば責任の重さとやりがいに気付きます。私自身、最初は「数学や理科が好き」「一生働きたい」という自分のための理由で選んだ道でしたが、今では患者さんの役に立てるこの仕事に就いて本当によかったと感じています。

東北大学薬学部卒業後、ドラッグストアや精神科病院、一般病院に勤務。現在はライターとして医療系編集プロダクション・ナレッジリングのメンバー。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
ウェブサイト:https://www.knowledge-ring.jp/





