【新製品】“日本初”の内服ゼリー漢方薬‐第1弾「芍薬甘草湯」を新発売
漢方薬総合メーカーの松浦薬業(本社名古屋市)は、水なしで服用できる内服ゼリー漢方薬「松浦の芍薬甘草湯ゼリー」(第2類医薬品)を、今月から相談薬局を中心に新発売した。これまでにない漢方薬のゼリー状の剤形で、今年10月に日本初の製造販売承認を取得した(特許出願中)。1回1包、1日2回服用の飲みきり包装となっており、携帯の便利さも大きな特徴。同社では内服ゼリー漢方薬の第2弾として、抑肝散の発売(12月に承認取得)を予定しており、今後も臨床現場や介護福祉施設等での使用実態も参考に、超高齢社会にマッチした漢方製剤シリーズを拡充させていきたい考えだ。
松浦薬業は、医療用・一般用漢方薬のほか健康食品等の受託・製造・原料販売を手がけ、今年で創業100周年の節目を迎えている。今回、スティックタイプのゼリー剤開発のきっかけとなったのが、2003年に発表された『大建中湯エキス製剤の使用実態と剤形に関する研究』と題した研究論文(元北里大学浜田幸宏教授ら)という。
同論文は、使用量が近年増加傾向にある大建中湯エキス顆粒の使用実態を北里大学病院で調査すると共に、大規模病院8施設で実際に服用実態を把握している看護師へのアンケート調査結果をまとめたもの。投薬している看護師からは、患者の苦情の8割以上は味や剤形に関する指摘ということが示された。臨床現場でエキス顆粒という剤形の使い勝手がよくないこと、さらに粉砕・溶解などが看護師の与薬業務の負担になっている可能性も示された。
この論文研究に携わった関係者らは、この中で「特に嚥下能力の低下した患者に投与する際にはさらに一歩進んだ製剤の(あるいは剤形の)改良が必要」と指摘すると共に、「個別包装したスティック入り製剤のように、使用性の優れた新しい漢方製剤が必要である」ことも求めている。そこで松浦薬業では、漢方製剤において利便性を追求した製剤ニーズが存在することを受け、開発に踏み切った。
「松浦の芍薬甘草湯ゼリー」は、筋肉の急激なけいれんを伴う痛みのある症状を改善する芍薬甘草湯処方で、筋肉を弛緩させることにより、睡眠中や脚を酷使した際に起こるこむらがえりの痛み、腹痛や腰痛などの不快な感じを和らげる。水なしで服用でき、紅茶味なので服用しやすい。就寝中などの急な際にも素早く効き目を発揮し、スティックタイプなので外出時にも便利。
スティック先端部の出し口をやや小さくし、切り込みを入れているのもポイントで、これは開封しやすく、また押し出す際にゼリーが少し砕けながら出てくることで、より誤嚥のないように服用してもらうため。成人(15歳以上)1日量2包中に芍薬甘草湯エキス1・75g(2分の1量)を含有する。10g×200包で価格はオープン。
お湯に溶かして飲む濃縮煎剤も同時発売
なお、同社では今回の内服ゼリー漢方薬の発売と同時に、お湯に溶かして服用する濃縮液体タイプの漢方製剤「漢方濃縮煎剤麦門冬湯29」(第2類医薬品)も今月から発売している。先の研究論文では、具体例として「煎剤を個別包装したスティック入り液状製剤」を実現化できないかとの提案も盛り込まれている。
実は、まず松浦薬業が取り組んだのが濃縮液剤で、こちらも初めて製造販売承認を取得し、以前に葛根湯で製品化した経緯がある(「ピュアドリップ葛根湯」、発売元湧永製薬)。今回、改めて自社製造販売のシリーズとして「漢方濃縮煎剤麦門冬湯29」を製品化した。約100mLのお湯を加えてよく攪拌すると、まさに麦門冬湯本来の煎じ薬に近い服用感、香りを手軽に再現できる。スティック包装で、外出先にも携帯しやすい。オープン価格。
近年は、中国など海外からの原料生薬価格の上昇傾向が続いている。そこで同社が現在取り組んでいるのが、独自の抽出技術を用いて、半分の生薬量で満量のスペックの製品ができないかという試み。「省資源ということだけでなく、長年にわたり漢方薬を開発してきた思いも込め、抽出技術を介在させることで『半量処方で満量品質』の製品を作りたい」(技術主管の岩嶋浄氏)とする。今後シリーズで出す製品のほとんどを「半量処方で満量品質」にしていく予定という。
内服ゼリー漢方薬、濃縮煎剤とも、問い合わせは発売元の松浦漢方(TEL052・883・5131)へ。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
ゼリー状の漢方薬が発売されたというニュース。紅茶味がついているということで、顆粒よりもかなり飲みやすいものになりそうです。これからは漢方薬の飲み方も変わっていくのかもしれません。