薬剤師会

【熊本地震】製薬各社に影響‐営業所に損傷、営業活動中断も

薬+読 編集部からのコメント

2016年4月14日、16日に発生した熊本地震。現地の製薬各社の被災状況がまとめられた記事です。化血研、三和化学研究所の熊本工場は被災や設備の調査などで生産を停止し、協和発酵キリンやあすか製薬など、熊本市内の営業所が被災した企業は営業活動を見合わせる対応をとっていると伝えられています。

社員総出で支援物資を仕分け・配送する(三和化学)
社員総出で支援物資を仕分け・配送する(三和化学)

 

 

先週の14日、16日に熊本地震が発生したのを受け、本紙は製薬各社の被災状況(18日現在)をまとめた。人的被害は発生していないが、一部の企業では熊本市内の営業所で被災が確認されている。MRの安全確保のため、熊本地域での営業活動を見合わせる企業も目立った。


 

化学及血清療法研究所は、複数の建物や設備に被害が生じたため、現在生産を中止。復旧に向けた対策プロジェクトを設置し、調査を実施している段階にあり、18~20日の3日間を臨時休業にすることを決めた。生産再開に向けた復旧作業には時間がかかる見通し。

 

三和化学研究所の熊本工場は、建物に甚大な被害はないが、製造設備などについては現在調査中。操業を停止しているものの、各製品の在庫は確保されており、すぐに欠品するような事態は回避できるとしている。

 

協和発酵キリンの熊本営業所は、被災のために人の立ち入りができない状況。熊本に残る8人の社員は自宅待機で、それ以外は福岡県に避難している。停電が続いており、立体駐車場から社用車を出せない状態が続いている。備蓄品も営業所から取り出せない状況にあるため、福岡から熊本に備蓄品の輸送を行っている。第一三共は、熊本の営業所が被災し、建屋に不具合が発生。立ち入りができない状況にあるという。

 

あすか製薬は、熊本営業所が被災し、MR7人が自宅待機を行っている。キッセイ薬品も営業活動をいったん中断し、MRが自宅待機しメールなどで情報収集を行っている。杏林製薬は16日の時点で営業所内にひびが入っており、営業活動も様子を見ている段階。日本新薬は、熊本市内の南九州支店に目立った損傷はないが、安全が確認できるまで社員は自宅待機としている。

 

ゼリア新薬の熊本出張所は、電気や水道などが寸断されており、業務停止中。

 

持田製薬は、熊本事業所の外壁にひびが入り、室内にモノが散乱するなど影響を受けた。社員は自宅待機、県内の避難所や県外に避難しているという。今後の対応は状況を見て検討する。

 

沢井製薬の九州第1、第2工場は、共に異常なし。ただ、熊本営業所は建物の一部破損、通信機器の電波障害により、福岡支店で代替対応を行っている。

 

久光製薬は、MRの安全を確保するため、熊本営業所での営業活動を中断している。小野薬品と日医工も現在、営業活動を行っていない。

 

中外製薬は、熊本営業所に大きな問題は起きていないが、MRがオフィスで待機し、本格的な営業活動は行っていない。日本ケミファの熊本営業所では、上長の指示に従って必要に応じてMR活動を行っている。

 

大正富山医薬品の熊本営業所を持つ大正製薬、鳥居薬品、アステラス製薬、エーザイは被害の有無や程度を確認中。田辺三菱製薬では、大分県の吉富工場に大きな被害はなく、現在設備を点検中。東和薬品は営業を継続している。大日本住友製薬も一部自宅待機のMRがいるものの、営業を行っている。

 

扶桑薬品の福岡・鹿児島の事業所は被害なし。ただ、扶桑が医薬品を供給する透析患者については、熊本での治療が難しく、福岡や鹿児島の医療機関で治療する必要があるため、医薬品卸と協力しながら、対応する方向。

 

大塚製薬も、佐賀の研究所に被害はなく、各支店の判断で営業している。ツムラは、熊本に生薬栽培の管理圃場を持つが、被災などは受けていない。営業面では各自判断の上、医療機関への情報提供を行っている。

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出典:薬事日報

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