アバスチン、子宮頸癌追加‐新薬3件の承認・一変了承
薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は25日、小野薬品の抗癌剤「カイプロリス点滴静注用」、中外製薬の「アバスチン点滴静注用」など3品目の承認と一部変更承認を審議し、了承した。
審議品目
▽カイプロリス点滴静注用10mg、同40mg(小野薬品):新有効成分のカルフィルゾミブを含有するプロテアソーム阻害剤で、再発・難治性の多発性骨髄腫を効能・効果とする。ユビキチン-プロテアソーム系の20Sプロテアソーム活性を阻害することにより、抗腫瘍効果を発揮する。類薬には、ベルケイド、レブラミド、ポマリストなどがある。
用法・用量は、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用において、1日1回を1、2、8、9、15および16日目に点滴静注し、12日間休薬する。この28日間を1サイクルとし、12サイクルまで投与を繰り返す。13サイクル以降は、1日を1回1、2、15および16日目に点滴静注し、12日間休薬する。
希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。海外では欧米など41カ国・地域で承認されている。
▽アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL(中外製薬):有効成分のベバシズマブ(遺伝子組み換え)を含有する血管内皮増殖因子(VEGF)を標的としたヒト化モノクローナル抗体で、進行または再発の子宮頸癌の効能・効果を追加した。類薬には、トポテシン点滴静注40mgなどがある。
用法・用量は、他の抗悪性腫瘍剤との併用において1回15mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は3週間以上とする。
希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。海外では子宮頸癌の効能・効果で世界67カ国・地域で承認されている。
▽サイラムザ点滴静注液100mg、同500mg(日本イーライリリー):有効成分のラムシルマブ(遺伝子組み換え)を含有するヒト血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)-2に対するヒト型モノクローナル抗体で、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌の効能・効果を追加した。
臨床的には、類薬のベバシズマブ(遺伝子組み換え)に加え、オキサリプラチンとフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤の投与後に増悪した二次治療の治療選択肢に位置づけられる。
用法・用量は、イリノテカン塩酸塩水和物、レボホリナートおよびフルオロウラシルとの併用において2週間に1回、1回8mg/kg(体重)をおよそ60分かけて点滴静注する。
再審査期間は、残余期間の2023年3月25日まで。海外では、結腸・直腸癌の効能・効果で世界5カ国・地域で承認されている。
報告品目
▽レミケード点滴静注用100(田辺三菱製薬):有効成分のインフリキシマブ(遺伝子組み換え)を含有する抗ヒトTNFαモノクローナル抗体。乾癬に対する増量投与と投与期間短縮の新用量を追加した。
既に同剤は、乾癬に対して5mg/kgを1回の投与量とし、初回投与後、2週、6週、以後8週の間隔で点滴静注する用法・用量で承認されていたが、一部に効果が十分維持できない患者が存在していたことから、増量投与の国内臨床試験が実施され、一部変更承認申請が行われたもの。
追加された用法・用量は、乾癬に対し、6週の投与以後、効果不十分または効果が減弱した場合には、投与量の増量や投与間隔の短縮が可能である。これら投与量の増量や投与間隔の短縮は段階的に行う。1回の体重1kg当たりの投与量の上限は、8週間の間隔であれば10mg、投与期間を短縮した場合であれば6mgとする。また最短の投与期間は4週間とする。
乾癬に対する増量投与および投与期間短縮での承認はない。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2016年4月25日(月)、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は抗癌剤「カイプロリス点滴静注用」「アバスチン点滴静注用」など3品目の承認と一部変更承認を了承しました。「アバスチン点滴静注用」には進行または再発の子宮頸癌に対する効能・効果が追加されました。