医療

レジデント制度で新団体発足‐会長に橋田氏

薬+読 編集部からのコメント

薬剤師レジデント制度について、新たな動きがありました。このような団体ができることで、レジデント制度そのものが定着し、薬剤師全体のスキルアップにつながることも期待されます。

研修の外部評価機構設立へ

薬剤師レジデント制度の発展に向けて様々な課題を解決するため、制度を運用する病院の薬剤師らが集結し、任意団体「日本薬剤師レジデント制度研究会」を発足させた。一定水準以上の研修が行われるように、各病院の研修プログラムの質を外部組織が評価、認証する仕組みを構築するなど、具体的な課題解決策の検討を進める。初代会長には、橋田亨氏(神戸市立医療センター中央市民病院院長補佐・薬剤部長)が就任した。

 

病院薬剤師らが集結

発足日は10月16日。既に同制度を運用している大学病院や公立病院、がん専門薬剤師の養成を目的とした薬剤師レジデント制度を運用している国立がんセンター関連病院の薬剤師、薬系大学教員ら17人が幹事に就いた。事務局は東京女子医科大学病院薬剤部が担当する。

卒後臨床研修制度として薬剤師レジデント制度を導入する病院は年々増加し、現在40施設に達している。米国の制度を参考に、1年目にジェネラルな教育、2年目に専門領域の教育を行う病院が多い。給与が支払われることや、臨床薬剤業務に必要な知識や能力を短期間で習得できることが特徴だ。

これまでは各地の病院が独自に取り組みを進めてきた。今後、同制度を導入する施設を増やし、日本に同制度を定着させるには、様々な課題を解決する必要があるとして同研究会が発足した。組織内に委員会を設け、各課題の具体的な解決策を話し合っていく計画だ。

課題の一つは、研修プログラムや指導者の質の保証だ。現在は、各病院がそれぞれ任意に研修プログラムを作成しており、その質は問われていない。

一定の水準を保つために、同研究会として標準的な研修プログラムを形作った上で、各病院の研修プログラムを外部組織が評価、認証する仕組みを構築したい考えだ。

また、将来、同制度が全国に拡大すれば、受け入れ施設と応募者をマッチングさせる枠組みが必要になる可能性もある。職能団体や学会が母体となる組織によって、研修プログラムの認証とマッチングが行われている米国の現状を参考に、日本における体制整備を検討する。

日本医療薬学会との連携も深めたい考えだ。同学会は2012年度から薬物療法専門薬剤師制度を開始した。認定要件の一つに、研修施設での5年以上の研修歴が定められている。薬剤師レジデント修了者は、その研修歴が短縮されるように制度設計や連携強化を進めたいという。

このほか、現在は個々の病院が自助努力で財源を確保しているが、「外部組織での評価や認証を経て一定の条件を満たした場合、何らかの公的助成を受けられることが理想」と橋田氏は話す。研修医制度のように人件費の一部が公的資金で充当されるようになれば、同制度を導入する施設は大きく増えると見込まれる。

同制度の現状を各病院が発表し、意見交換する場として毎年3月に兵庫県内で薬剤師レジデント交流会が開かれてきた。第4回目の同交流会は名称を日本薬剤師レジデントフォーラムに変更し、同研究会の主催で来年2月7日に東京女子医科大学で開催される。

 

写真:初代会長の橋田氏

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出典:薬事日報

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