創薬・臨床試験

“中国発新薬”の国内治験開始‐日中治験データ相互利用は初

薬+読 編集部からのコメント

中国のバイオベンチャー「HUYAバイオサイエンス」中国人の臨床データを活用し、経口ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤の治験を日本で開始したとのこと。日本、中国、韓国の治験データの相互利用は今回が初めての事例だそうです。

中国発のバイオベンチャー「HUYAバイオサイエンス」は、経口ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤「HBI‐8000」について、非ホジキンリンパ腫を対象とした国内第I相試験を開始した。既に末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)の適応で中国FDAから承認を取得しており、今後、民族的に共通点が多い中国人の臨床データを有効活用し、「HBI‐8000」の早期国内承認を目指す。日本・中国・韓国の治験データの相互利用に関しては、2008年に3カ国が合意しており、「HBI‐8000」が最初の適用事例となるという。


 

同社は、中国国内の大学や研究所、バイオベンチャーが創製した有望な新規化合物のライセンス権を導入し、世界各国で開発する独自のビジネスモデルを展開している。中国に八つのオフィスを構え、外部研究機関との強力な協力体制により、循環器・癌・代謝疾患に薬効を示す可能性がある新規化合物1万4000種類にアクセスできるのが強みだ。

 

「HBI‐8000」は、深センを拠点とするベンチャー企業「チップスクリーン・バイオサイエンシズ」が開発を進め、昨年中国承認を取得した。他社のHDAC阻害剤が静脈注射剤であるのに対し、経口剤として開発した。HUYAが中国を除く全世界で独占権を保有し、米国で第I相試験を完了し、国内でも臨床試験を開始した。

 

「HBI‐8000」の安全性と薬物動態を評価する国内第I相試験では、週2回投与による最初の試験を終え、用量制限毒性などの問題は見られていない。現在、高用量による試験が進められており、成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)やPTCLを対象とした第II相試験に移行するための最大耐用量を決定する。

 

特にATLは、T細胞リンパ腫全体の約3割を占める治療満足度が低い血液癌。1月には、医薬品医療機器総合機構から、「HBI‐8000」の国内開発で人種や体格面で共通点が多い中国人の臨床試験データとの相互利用が認められた。中国で実施した臨床データを外挿し、有効性・安全性を検証できれば、開発費用削減や期間短縮を実現できる可能性がある。

 

ミレイユ・ギリングスCEOは、本紙のインタビューに応じ、「中国発の新薬候補を全世界に展開していく最初の会社として、中国のバイオ産業の成長に貢献し、先行者利益を出していきたい」と述べ、“HUYAモデル”の確立に自信を示した。国内での商業化に向けては、自社販売も選択肢の一つとして検討している。

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出典:薬事日報

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