中国製薬企業が日本進出‐GE薬のAPI供給、製造受託事業などで参入
中国の製薬企業である浙江華海薬業(ファーハイ・ファーマシューティカル)は19日、日本市場に本格参入するため日本法人としてファーハイジャパン薬業(本社名古屋市、社長李相奎氏)を設立したことを発表した。日本法人の登記は昨年7月に済ませており、今年4月頃には日本で医薬品製造販売業許可を取得する予定。今後、中国本社で展開する医薬品原薬(API)事業や受託事業などで国内ジェネリックメーカーとの連携を視野に日本市場への浸透を図る構えだ。
同日、名古屋市内で会見した浙江華海の陳保華総経理(CEO)は日本市場参入について、「米国に次ぐ市場であり、さらに(医薬品)に求められる品質が高く、われわれの企業姿勢と合致する」と説明。API事業や製造委託事業を中心に展開し、約10年を見越した中長期的戦略として「自社製品の上市も視野に入れている」と展望を示した。また、市場展開に向けては▽企業買収▽製品承継▽生産機能アライアンスなどにも積極的に取り組んでいく考えを強調した。
ファーハイ・ファーマシューティカルはGE薬のAPI、先進中間体のグローバル供給メーカーとして成長。供給能力は年間約3000トン。売上高は約700億円で、API事業が売上高の半数を占める。また、中国内に、製剤製造キャパシティは220億錠を有する。陳氏は、「(GE薬は)日本市場で伸長しており、日本企業のキャパを超えた場合、中国で製造を受託するなど、API、製剤の両面で協力できる」とし、日本企業との幅広い協力体制を敷き、中国、日本の両市場で発展していきたい」とした。
一方、ファーハイジャパン薬業の李社長は四つのコア事業(API、受託、製剤、M&A)の展開について、API事業に関しては「日本専属チームとして薬事業務全般をサポート」すると説明。受託事業では既に本社では日本の先発メーカーの原料供給、製剤受託業務を実施しており、FDA、PMDA、EDQMの査察も受け、認可も取得。「高品質な製品を提供していくことも可能。今後、日本市場でもわれわれの品質体系に関してアピールし、受託事業を取り込んでいきたい」とした。
また、製剤事業は「自社ブランドによる日本市場への浸透は難しいと考えている」としながら、04年から展開する米国市場では既に49品目のANDA製造承認を取得。市場シェア上位品目も有し、16年には米国製造工場を買収したことを紹介。「この米国モデルを活用しながら、中長期的には製剤について自社ブランド製剤で日本市場の一角に参入したい」との意気込みを語った。
これら3分野については「自社自力では時間もかかる。効率的な展開を図るためにも、M&Aは一つの有効的な手段と考えているが、企業買収だけでなく、品目承継、生産機能のアライアンス先との業務連携など、あらゆる方面にコンタクトしていきたい」とし、総合製薬企業として日本市場に本格参入していく構えを示した。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
すでに米国展開で成果を上げている中国製薬企業が、日本への本格進出のため、日本法人を設立したと発表しました。
中国の製薬企業である浙江華海薬業(ファーハイ・ファーマシューティカル)はファーハイジャパン薬業(本社名古屋市、社長李相奎氏)を設立。
中国本社で展開する医薬品原薬(API)事業や受託事業などで、国内ジェネリックメーカーと連携し、総合製薬企業として日本市場に本格参入していく予定です。