包装の色で判断、薬取違え‐薬剤名の確認を注意喚起
ワーファリンをラシックスに
日本医療機能評価機構は、アンプルや包装の色が類似していたことが薬剤取り違えの要因となり、患者に誤った薬剤を投与した事例を15日付の「医療安全情報」で報告し、関係者に注意喚起した。
アンプルや包装の色など外観が類似した薬剤を取り違えた事例は4件。具体的には、外来受診した患者が薬局で内服薬を受け取って帰宅したが、受診後より食欲不振、倦怠感が強く、歩行困難となった。2日後、症状が改善しないため外来を受診し、脱水症状で入院となったが、入院後に持参薬を確認したところ、「ワーファリン錠1mg3錠 1日1回夕食後」の薬袋にラシックス錠40mgが入っていることに気づき、薬局に確認したところ、薬剤師は調剤する時に同じ棚の赤いPTP包装を見てワーファリン錠だと思い込み、鑑査でも間違いに気づかないまま患者に渡していたことが判明した。
また、別の事例では、手術中に患者が吐き気、気分不快感を訴えたことから、手術を行っている医師が「プリンペランを静脈注射」と口頭で指示が出たとき、看護師は他の処置を行っていたため、別の医師がプリンペランは茶色のアンプルという認識で薬剤を取り出し、一人で準備して投与した。
その後、患者の血圧は60~80mmHg台となり、エフェドリンを投与した。手術終了後、看護師が術中に使用した薬剤のアンプルを確認したとき、プリンペランの空アンプルがなく、使用していないはずのペルジピンの空アンプルを発見、薬剤を投与した医師に確認したところ、薬剤を取り違えてペルジピンを投与したことが判明したというもの。
こうした事例が発生した医療機関に対し、同機構はアンプルや包装の色が類似した薬剤が存在することを認識するよう促し、アンプルや包装の色で判断せず、薬剤を手に取ったときに薬剤名を確認する手順を決めて遵守するよう注意喚起した。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本医療機能評価機構はアンプルや包装の色が似ていたことから薬剤の取り違えが発生した事例を「医療安全情報」で報告し、注意喚起しました。報告された事例は4件で、ワーファリン錠とラシックス錠の赤いPTP包装を見て取り違えた例や、「茶色のアンプル」という認識によってプリンペランとペルジピンを取り違えた例などということです。