医療用とOTC薬、日・英・中国語に対応した「お薬説明書」印刷ソフトを開発
近年、訪日外国人旅行者(インバウンド)が増加傾向にある中で、昨年10月にはこうした観光客の誘客を目的に、新たに医薬品・化粧品・日用品等の消耗品にも消費税免税制度が導入され、小売店の店頭ではインバウンド客がOTC医薬品を購入するケースが増えている。レセコン・電子薬歴一体型システム「Gennai7」、医療用・OTC統合医薬品データベース「YAKUGEN」などシステム開発・販売のズー(長野県上田市)は、医療用医薬品およびOTC医薬品の説明書を、日本語併記の英語・中国語で印刷することを可能にした「お薬プリントリンガル」を開発し、調剤薬局・ドラッグストア、免税店などに向け、近く発売する。
これまで日本国内では、医療用医薬品、OTC医薬品に関して、日本語の読み書きが行えない外国人向けの情報は整備されておらず、多くは自治体ごとの対応マニュアルなどを参考に、薬剤師あるいは登録販売者などの専門家の職能によって対応がなされてきた。
前記のように、最近のインバウンド増加傾向に加え、2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催も予定されていることから、さらなる訪日客数の増加が予想され、日本語以外の言語を用いた様々な情報提供の機会が増すことは間違いない。
こうした背景から、ズーでは「特に医薬品の情報提供が多言語でできる製品が必要」として、城西国際大学薬学部医療薬学科臨床統計学研究室の山村重雄教授との共同研究により、海外からの観光客や外国人居住者を対象に、医療用・OTC医薬品のお薬検索、お薬説明書印刷機能(英語・中国語)を備えたインターネットダウンロード型のアプリケーションソフト「お薬プリントリンガル」を開発した。
2万件を超える医療用医薬品の情報、約1万件のOTC医薬品の情報(PB・薬局製剤を除く)を搭載し、これらを日・英・中国語で表示し、薬効(効能効果)、用法・用量、服薬時の注意等の説明書を印刷できる(城西国際大学薬学部の翻訳監訳)。説明書は日本語対英語、日本語対中国語(簡体字)の2カ国語で表示する。
医薬品はキーワード検索のほか、絞り込み、並び替え、履歴表示機能でスピーディーに検索できる。このうちOTC医薬品は、添付文書の「使用上の注意」の内容をイラストで分かりやすく表示する。また、要指導医薬品、第1類医薬品、乱用等の恐れのある医薬品など、リスク区分が一目で分かる。
販売時に、外国人客と言葉によるコミュニケーションができない、難しい場合でも、印刷した説明書を薬と一緒に同封して持ち帰ってもらえば、医療用・OTC医薬品の添付文書に基づいた安全で確かな情報を、購入者側が分かる言語で確認できるので、安心して使用できる――など、販売者・購入者の双方にメリットがあるといえよう。
「お薬プリントリンガル」は、基本的にはインターネットでダウンロードして購入する(税別で年額2万5000円を予定。導入環境はウィンドウズ7以降。月1回のデータ更新費用も含む)。また、同社のOTC医薬品対面販売支援ソリューションの「メディカウンタープラス」には標準搭載され、「Gennai7」「GPOS Just」にはオプションとして搭載することが可能。ズーでは「今後、英語・中国語以外の言語への対応も検討している」という。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2020年の東京オリンピックも見据え、日・英・中3カ国語に対応したお薬説明書が印刷できるソフトについてのニュースです。口頭でのコミュニケーションに不安が残っても、説明書を渡せるだけで安心感が高まりますね。