幅広い業務評価要望へ‐次期診療報酬改定で方針
日本病院薬剤師会は2月28日、都内で臨時総会を開き、病棟業務・チーム医療の推進および医療の質向上への貢献、病院薬学認定薬剤師制度を中核とする生涯学習、研修事業の推進などを柱とする2015年度の事業計画・予算について審議し、原案通り了承した。16年度の診療報酬改定に向け、病棟薬剤業務実施加算の算定対象の拡大、医薬品安全管理加算、放射性医薬品安全管理加算の新設、院内外での幅広い業務評価を求めていく方針だ。また、新コアカリを踏まえ、実務実習の具体的受け入れ要件を含む日病薬としての基本的な考え方や、14年度病院薬剤部門の現状調査結果、新年度から実施する「病院薬学認定薬剤師制度」なども報告した。
北田光一会長は、「医療の質確保のため他の医療職種と連携した業務を最優先して取り組む必要がある。薬について全ての責任を持つため、病棟業務のほかに手術室や救急医療、さらに外来患者への対応を含め薬物療法の要として役割を果たすことが求められている」とし、「費用対効果の改善などを含め、他の医療職種から客観的に評価されるよう成果を積み重ねる必要がある。具体的な取り組みをお願いしたい」と述べた。
16年度診療報酬改定に関しては、川上純一常務理事が病棟薬剤業務実施加算の算定対象の拡大や集団薬剤管理指導料、医薬品安全管理加算、放射性医薬品安全管理加算、特定生物由来製品管理加算の新設、透析予防指導、院内感染防止対策、PET検査、退院時共同指導など、より幅広い領域での薬剤師評価を求めることとし、3月以降、厚生労働省に対して要望書を提出する方針だ(要望事項案は表の通り)
新たな実務実習に対する基本的な考え方については、松原和夫副会長が実務実習に関するガイドラインを含めて報告した。松原氏は「将来、われわれの仲間になる学生に均一で上質な学習の機会を提供することが私たちの役割」と強調した上で、「実習を受け入れる側が全てできることが前提であり、学生が実際に参加する実習内容となっている」と指摘。より一層、大学、病院、薬局が具体的に連携を深める必要性を強調した。
また、薬局実習との連続性を持った実習をするため「調剤をきちんと学んできた学生が、病棟で学ぶというのが、理解が進みやすいと考える」とし、薬局実習を終えた学生を病院で受け入れるという順番が適当との考え方を示すと共に、受け入れ人数は病棟数を目標とすること、グループ実習への取り組みの必要性を改めて指摘した。
また、新たに薬学教育担当理事として石井伊都子氏(千葉大学病院)が就任することや、幸田幸直(茨城県)、宮本兼一(石川県)の両氏を名誉会員に委嘱することを承認した。
総会には来賓として自民党衆院議員の松本純、渡嘉敷奈緒美の両氏が出席。松本氏はチーム医療における病院薬剤師業務を評価すると共に、今後の地域包括ケアシステムの実現に向け、退院時カンファレンスへの参加などを通じ、地域薬局・薬剤師との連携の重要性などを指摘した。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本病院薬剤師会の臨時総会で、2016年度の診療報酬改定に向け、院内外での幅広い業務評価を求めていく方針を明らかにしました。その他、新コアカリをふまえた実務実習などについても報告されたとのことです。