本紙・保険薬局調査‐かかりつけ薬剤師指導料、算定薬局は4割
基準調剤加算で備蓄品目数増
2016年度改正により新設された「かかりつけ薬剤師指導料」の算定状況が一つの焦点だが、算定薬局は40%に達した。また、同指導料に対する評価は“不満”が3割に対し“満足”14%と不満に思っている薬剤師が多いようだが、過半数の6割は算定できていない状況の中で、多くの現場薬剤師は「どちらとも言えない」と、評価するには至っていないようだ。一方、基準調剤加算の算定には医薬品備蓄「1200品目以上」が一つの条件となった。そのためか備蓄品目数は前年の調査に比べ約14%増の1135品目へと大きく伸びている。本紙が例年行っている全国保険薬局調査(16年10月末時点)で明らかになった。
調査は全国の保険薬局から無作為に抽出した3000軒に実施、630軒から回答が得られた。
今回の調査は改定年度に当たり、主に16年度改定に関連の深いと思われる事項について調査。先に行った「緊急調査」(16年6月末時点)との関係などを含め分析した。主な調査項目は[1]店舗環境・施設基準等[2]後発医薬品への対応[3]薬学的管理棟の状況・その他――を取り上げた。
この中で、基準調剤加算見直しを踏まえ、その前後の算定状況の変化、かかりつけ薬剤師指導(料)の開始時期を含めた算定状況、健康サポート薬局の届け出状況、分割調剤の算定状況などを聞いた。さらに、基準調剤加算の算定要件の変更や“かかりつけ薬剤師”制度、改定後の経営状況などについて意見を求めた。
16年度改正により、2段階あった基準調剤加算が統合され、開局時間や備蓄品目数、24時間体制の“定義”の変更、在宅業務への取り組み等の要件追加などその算定要件は大きく変わった。
そこで、3月末時点と10月末時点での算定状況の変化を見た。3月末時点では回答621軒のうち加算(1、2)の「算定」は57%あったが、10月末時点で加算「算定」は31%と26ポイントも減少した。調査客体は異なるが、6月末時点の緊急調査の「算定」は、3月末時点より36ポイント減と大きく落ち込んでおり、改定直後に比べると今回調査では若干の回復基調にあることが推察される。
基準調剤加算の算定要件の変更を受けて、医薬品備蓄は今回調査(n=582)で平均1135品目(前年1000品目、n=444)と14%増加した。緊急調査(n=740)では平均1097品目であり、要件の変更が影響しているようだ。
なお、これを中央値で見ると、15年10月1000品目、16年6月1100品目、16年10月1200品目と調剤報酬改定を受け、着実に備蓄品目数が増加していることがうかがえる。
かかりつけ薬剤師指導料に関しては、昨年6月末時点の緊急調査では届け出状況を聞いたが、今回は算定状況を聞いた。10月末時点で1件以上の算定があったのは624軒中247軒で40%だった。緊急調査時は過半数の54%が必要書類の届け出を済ませていたが、改定7カ月の時点でも算定に至っている薬局は過半数に届かなかった。なお、算定薬局のうち過半数の129軒(53%)が4月から算定、次に15%が5月から算定していた。
かかりつけ薬剤師包括指導料については、回答のあった623軒のうち1件以上の「算定」は8軒のみの1%と、ほとんど算定されていない状況が明らかになった。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
薬事日報紙の全国保険薬局調査。2016年10月末時点での結果が明らかになりました。「かかりつけ薬剤師指導料」を算定している薬局は回答した薬局のうち40%。この指導料への評価は3割が「不満」と回答していますが、60%の薬局が算定できていない状況でもあるため、多くの現場薬剤師からは「どちらとも言えない」という回答になっているようです。