糖尿病薬で認定薬剤師制度‐薬に特化、療養指導士と差別化
日本くすりと糖尿病学会は、糖尿病の薬物療法に特化した認定薬剤師制度をスタートさせる。臨床現場で使いやすい糖尿病薬の創薬から適正使用まで、オール薬剤師が一体となって薬物療法を実践し、底上げしていくのが狙い。入門編の准認定薬剤師と2階建ての制度で、認定薬剤師にステップアップできるよう設計した。薬物療法に特化した認定制度とすることにより、療養指導全般に詳しい日本糖尿病療養指導士(CDEJ)などと差別化を目指す。准認定薬剤師は来年4月、認定薬剤師は2019年4月から認定をスタートさせる予定だ。
創薬含めオール薬剤師を視野
糖尿病に関わる薬剤師が取得できる認定資格には、CDEJと各地の特性を生かした地域糖尿病療養指導士(CDEL)がある。高度で幅広い専門知識を持ち、薬剤師、看護師、栄養士などの医療スタッフが、チームで糖尿病患者の自己管理を支援するための資格となっている。
ただ、最近はSGLT2阻害薬等の新薬が相次いで登場し、糖尿病の薬物療法は一層複雑化している。こうした中、糖尿病療養指導のうち、薬物療法に十分な知識と技能を持つ薬剤師を養成するため、同学会は「糖尿病薬物療法認定薬剤師」制度を立ち上げることにした。
新たな認定制度は、創薬研究者や教育者までも含めたオール薬剤師の認定制度を視野に、糖尿病の薬に関わる全ての薬剤師が一体となって臨床現場で使いやすい新薬を創製、開発し、適正に使用していく薬物療法の実践を目指すことを目的にしている。
また、薬物療法に特化した認定制度とすることにより、療養指導全般に詳しいCDEJ、CDELとの差別化を明確にしたい考えだ。
具体的な制度としては、入門編の「准認定薬剤師」と「認定薬剤師」の2階建てとなる。准認定薬剤師を続けるか、2年以上継続して認定薬剤師の受験資格を得るかの二つのステップを選ぶことができる。
入門編の准認定薬剤師は、糖尿病の薬物療法に関する自己研鑽を積んだ薬剤師と位置づける。認定資格として、▽日本国の薬剤師免許を有している▽薬剤師歴5年以上、申請時で2年以上の同学会会員▽同学会が示す単位基準の修得単位が直近2年間で30単位以上▽前記単位でCDEJ、CDEL、日本医療薬学会認定薬剤師、同薬物療法専門薬剤師、日本薬剤師会生涯学習支援システムレベル5以上、薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師あるいは日本臨床薬理学会認定薬剤師のいずれかを取得している場合は、申請時の直近2年間で20単位以上――を満たす必要がある。
また、認定薬剤師は、糖尿病の薬物療法に十分な知識と技能を用い、質の高い医療や教育、研究を行う薬剤師と位置づけている。認定資格としては、▽同学会の准認定薬剤師として2年以上継続して会員である▽同学会が示す単位基準の修得単位が受験年の直近2年間で30単位以上▽同学会で筆頭発表者として1回以上の学会発表がある▽直近5年間の自験例10例以上または糖尿病に関連した原著論文3報以上――を満たし、認定試験に合格する必要がある。
認定薬剤師、准認定薬剤師は5年ごとの更新制。同学会や関連学会への参加、学会発表、自験例や活動実態を積み重ね、所定の単位を取得する必要がある。
今後、まず准認定薬剤師の申請を10月に締め切り、書類審査、同学会理事会の審査を経て、来年4月1日に先行して認定をスタートさせる。
認定薬剤師については、准認定薬剤師が受験資格を得られる18年5月に申請を締め切り、9月の学術大会開催中に認定試験を実施し、19年4月に認定を開始する予定となっている。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本くすりと糖尿病学会が糖尿病の薬物療法に特化した認定薬剤師制度をスタートさせることを決定しました。准認定薬剤師から認定薬剤師へステップアップする制度で、今後まずは2015年10月に准認定薬剤師の申請が締め切られるとのことです。