過敏症既往歴患者を「禁忌」‐ホルマリンの添付文書改訂
厚生労働省は22日、ホルマリン含有製剤について、添付文書の使用上の注意に「禁忌」の項目を新設し、過敏症の既往歴の患者を追記すると共に、重大な副作用の項目も新設してショック、アナフィラキシーを追記するよう製造販売業者に指示した。また、胃潰瘍治療薬のポラプレジンクなど6品目についても使用上の注意を改訂する。
ホルマリンについては、「禁忌」の項を新設し、歯科領域における「過敏症の既往歴のある患者」を追記するほか、「重大な副作用」の項を新設して「ショック、アナフィラキシー」を追記するよう求めた。また、ホルマリン・グアヤコール、ホルマリン・クレゾール、クレゾール・ホルマリン・チョウジ油・酸化亜鉛に関しては、禁忌の項を新設し、「過敏症の既往歴のある患者」を追記するほか、重大な副作用の項を新設して「ショック、アナフィラキシー」を追記するよう指示した。
ポラプレジンクに関しては、「重大な副作用」の項に「銅欠乏症」を追記。医薬品医療機器総合機構(PMDA)の報告によると、直近3年間の国内での銅欠乏症に関連する副作用報告症例9件のうち因果関係が否定できない症例が8件確認され、その中には重篤な白血球減少や貧血により輸血を必要とし、ポラプレジンクの投与中止が遅れた症例も見られた。今回、国内症例が集積したことから、専門家の意見を踏まえた上で、添付文書の改訂が適当と判断した。
なお、関連学会や都道府県に対し、今回の改訂を会員や関係機関等に周知徹底することも併せて要請する通知を発出した。
グラクソ・スミスラインの高尿酸血症治療薬「アロプリノール(製品名:ザイロリック錠50、同錠100)」に関しては、薬剤性過敏症症候群に伴う1型糖尿病関連症例が2件報告され、そのうち死亡例が2件確認されたことから、重大な副作用の項に「薬剤性過敏症症候群」を追記。「1型糖尿病(劇症1型糖尿病を含む)」を発症し、ケトアシドーシスに至った例も報告されていることも追記するよう指示した。
また、DPP4阻害薬のアログリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチンとその配合剤については、類点疱瘡の副作用が報告された。そのうちアログリプチンでは類点疱瘡症例が6例確認され、そのうち死亡例が1件確認されたことから、重大な副作用の項に類点疱瘡を追記することを求めた。リナグリプチンでも15例に認められ、因果関係が否定できない症例が10例で確認されたことから、同様の措置を取るよう求めた。
そのほか、骨吸収抑制剤の「ゾレドロン酸水和物」については、重大な副作用の「急性腎不全、間質性腎炎」の項に「ファンコニー症候群」を追記するほか、抗ヘルペスウイルス剤「ファムシクロビル」は重大な副作用の項に「ショック、アナフィラキシー」を追記することとした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2016年11月22日(火)、厚生労働省はホルマリン含有製剤について添付文書の使用上の注意に「禁忌」の項目を新設しました。過敏症の患者の既往歴を追記し、胃潰瘍治療薬「ポラプレジンク」、高尿酸血症治療薬「アロプリノール」、骨吸収抑制剤「ゾレドロン酸水和物」、抗ヘルペスウイルス剤「ファムシクロビル」などの重大な副作用の項目にはショック、アナフィラキシーを追記するよう指示したということです。