1日1錠HIV配合剤登場‐新薬3件の承認を了承
薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は2月26日、セルジーンの多発性骨髄腫治療剤「ポマリストカプセル」など3品目の承認を審議し、了承した。
〈審議品目〉
▽ポマリストカプセル1mg、同2mg、同3mg、同4mg(セルジーン):新有効成分のポマリドミドを含有し、再発・難治性の多発性骨髄腫を効能・効果とする。同剤は、サリドマイドの誘導体であり、製造販売と管理、使用に当たっては、適正管理手順を遵守することが承認条件とされた。昨年に希少疾病用医薬品の指定を受けている。類薬には、レブラミド、ベルケイドなどがある。
用法・用量は、デキサメタゾンとの併用において1日1回4mgを21日間連日経口投与した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。再審査期間は10年。海外では36カ国・地域で承認されている。
▽乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)筋注用「化血研」(化学及血清療法研究所):成分名は乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)で、パンデミックインフルエンザの予防を効能・効果とする。
プロトタイプワクチンは、新型インフルエンザのパンデミックを想定し、製造方法や品質、有効性を確認しておくワクチン製造のモデルとして開発され、鶏卵を用いた製造方法に比べ製造期間が大幅に短縮できる。平時には流通しない。
国内ではバクスター、武田薬品の細胞培養プロトタイプワクチンが承認されている。海外では開発されていない。希少疾病用医薬品で、再審査期間は10年。
▽トリーメク配合錠(ヴィーブヘルスケア):HIV治療薬のドルテグラビルナトリウム、アバカビル硫酸塩、ラミブジンを有効成分として含有する新医療用配合剤。1日1回1錠のみの投与で済み、HIV感染症患者の服薬アドヒアランスを改善する。類薬には、テビケイ錠、ザイアジェン錠、エピビル錠などがある。
同剤に関しては、さらなる有効性・安全性データを収集中であり、日本人対象の薬物動態試験を実施し、その進捗状況を定期的に報告すると共に、終了後は速やかに試験成績、解析結果を提出することなどの承認条件を付与している。
再審査期間は、ドルテグラビルナトリウム50mgの残余期間として、2024年3月23日まで。3成分とも希少疾病用医薬品に指定されている。海外では昨年8月に米国、9月に欧州で承認されている。
〈報告品目〉
▽ドプラム注射液400mg(キッセイ薬品):有効成分のドキサプラム塩酸塩水和物を含有し、キサンチン製剤で十分な効果が得られない場合の早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)の効能・効果を追加する。
同剤は、未熟児への使用が禁忌とされていたが、厚生労働科学研究で低用量投与法の有効性、安全性が確認されたことから、同剤の有用性は、医学薬学上公知と判断。公知申請により、未熟児無呼吸発作の効能・効果を追加する一部変更承認申請を行った。
海外では、未熟児無呼吸発作の効能・効果として、ドイツで承認されている。
▽エンクラッセ62・5μgエリプタ7吸入用、同エリプタ30吸入用(グラクソ・スミスクライン):有効成分のウメクリジニウム臭化物を含有し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の効能・効果を追加した。再審査期間は、アノーロエリプタ7吸入用、同エリプタ30吸入用の残余期間の22年7月3日まで。海外では36カ国で承認されている。
▽ダクルインザ錠60mg(ブリストル・マイヤーズ):有効成分のダクラタスビル塩酸塩を含有し、セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を効能・効果とする。アスナプレビルと併用した国内臨床試験の結果を受け、インターフェロン(IFN)未治療、IFN治療後再燃の患者の適応を追加する一部変更承認申請を行った。
▽スンベプラカプセル100mg(ブリストル・マイヤーズ):有効成分のアスナプレビルを含有する。効能・効果はダクラタスビルと同様で、IFN未治療のC型慢性肝炎患者に対し、ダクラタスビルと併用投与する。海外では、ダクラタスビルが米国など19カ国・地域、そのうち10カ国・地域でアスナプレビルとの併用投与レジメンが承認申請中。
▽ロンサーフ配合錠T15、同T20(大鵬薬品):有効成分のトリフルリジン、チピラシル塩酸塩を含有する配合抗癌剤。治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌を効能・効果とする。今回、承認条件となっていた国内第III相試験の結果に基づき、標準的治療が困難な場合に限定していた承認条件を削除した。
▽エルプラット点滴静注液50mg、同100mg、同200mg(ヤクルト):有効成分のオキサリプラチンを含有し、治癒切除不能な進行・再発胃癌の効能・効果を追加した。厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議で、公知申請が妥当と判断され、一部変更承認申請が行われた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2月26日の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で新たに承認された3品目のほか、報告品目についてまとめられています。