10品目の新薬等を了承‐二つの継続審議品目含め
薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は7日、継続審議となっていたアストラゼネカの抗血小板薬「ブリリンタ錠」、日本ベーリンガーインゲルハイムの3成分配合の降圧薬「ミカトリオ配合錠」など10件を審議し、了承した。
薬食審医薬品第一部会
▽リクラスト点滴静注液5mg(旭化成ファーマ):新有効成分のゾレドロン酸水和物を含有し、骨粗鬆症を効能・効果とする。
同剤は、ビスホスホネート系薬剤で、1年に1回、5mgを15分以上かけて点滴静脈内投与するだけで済む。
ただ、厚生労働省によると、投与間隔があまりに長いため、会合に出席した委員から、次回の受診を忘れてしまうことを懸念する声が上がったことから、患者に投与記録を記載したカードを配るなどして対応することとなった。
再審査期間は4年。海外では100カ国以上で承認されている。
▽カーバグル分散錠200mg(ポーラファルマ):新有効成分のカルグルミン酸を含有し、N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症、イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症による高アンモニア血症を効能・効果とする。
厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発要請された。希少疾病用医薬品で、再審査期間は10年。承認条件として全例調査が付いた。
海外では、NAGS欠損症による高アンモニア血症で世界41カ国、イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症による高アンモニア血症で世界38カ国で承認されている。
▽リアルダ錠1200mg(持田製薬):有効成分のメサラジンを含有し、潰瘍性大腸炎(重症を除く)を効能・効果とする新剤形医薬品。
小腸で多く吸収されてしまうメサラジンには、潰瘍性大腸炎の病変部位である大腸への到達量が少なくなるという課題があった。同剤は、徐放化された素錠を腸溶性フィルムコーティングし、メサラジンを大腸に送達させると共に、持続的に放出されるよう製剤的な工夫を施した。
再審査期間は4年。海外では、37カ国で承認されている。
▽ミケルナ配合点眼液(大塚製薬):有効成分のカルテオロール塩酸塩とラタノプロストを含有し、緑内障、高眼圧症を効能・効果とする新医療用配合剤。
同剤は、プロスタグランジン誘導体(PG関連薬)のラタノプロストとβ遮断薬のカルテオロール塩酸塩を含有する配合点眼液。
再審査期間は6年。海外では承認されていない。
▽エビリファイ錠1mg、同錠3mg、同錠6mg、同錠12mg、同OD錠3mg、同OD錠6mg、同OD錠12mg、同散1%、同内用液0.1%(大塚製薬):有効成分のアリピプラゾールを含有し、「小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」の効能・効果を追加する。
小児に対しては1日1~15mgを維持用量とする。開始用量の1mgが新規の承認となる。厚労省の専門家会議で開発要請されていた。
再審査期間は4年。うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)の再審査期間は残余の17年6月13日まで。海外では、10の国または地域で承認されている。
▽ウプトラビ錠0.2mg、同0.4mg(日本新薬):新有効成分のセレキシパグを含有し、肺動脈性高血圧症を効能・効果とする。
同剤は、プロスタグランジンI2(PGI2)受容体作動薬で、既存のPGI2製剤と同様に血管拡張作用と抗血小板凝集作用を示すことで肺動脈性肺高血圧症(PAH)の病態を改善する。14年の国内推定患者数は2946人。
希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。承認条件として全例調査が付いた。海外では6の国または地域で承認されている。
▽ジャクスタピッドカプセル5mg、同10mg、同20mg(AEGERION PHARMACEUTICALS):新有効成分のロミタピドメシル酸塩を含有し、ホモ接合体家族性高コレステロール血症を効能・効果とする。
同剤は、既存の経口薬物治療で効果不十分な場合に追加投与するという位置づけになる。既存の抗コレステロール血症薬と異なり、低比重リポタンパク受容体(LDLR)を介さずに作用するため、LDLR欠損患者においても効果を発揮することが期待される。
同疾患の患者数は100万人に1人以上とされ、14年度の特定疾患医療受給者症の所持者は166人。
希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。承認条件として全例調査が付いた。海外では、36カ国で承認されている。
▽プリズバインド静注液2.5g(日本ベーリンガーインゲルハイム):新有効成分のイダルシズマブ(遺伝子組み換え)を含有し、「生命を脅かす出血または止血困難な出血の発現時、重大な出血が予想される緊急を要する手術または処置の施行時におけるダビガトランの抗凝固作用の中和」を効能・効果とする。
同疾患の推定患者数は年間100人。再審査期間は8年。承認条件として全例調査が付いた。海外では欧米など7の国・地域で承認されている。
▽ブリリンタ錠60mg、同90mg(アストラゼネカ):新有効成分のチカグレロルを含有し、[1]65歳以上[2]薬物療法を必要とする糖尿病[3]2回以上の心筋梗塞の既往[4]血管造影で確認された多枝病変を有する冠動脈疾患[5]末期でない慢性腎機能障害――のリスク因子を一つ以上有する陳旧性心筋梗塞のうち、アテローム血栓症の発現リスクが特に高い場合の適用となる。
また、「経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)(ただし、アスピリンを含む抗血小板剤2剤併用療法が適切である場合で、かつ、アスピリンと併用する他の抗血小板薬の投与が困難な場合に限る)も効能・効果とする。
同剤は、5月27日の同部会で、臨床試験ごとにデータのばらつきが見られたこと等が指摘され、継続審議となった。今回、類薬のブラビックスと同等の有用性はないものの、ブラビックスが使えない患者への選択肢を用意しておくことに一定の意義があるとの意見を踏まえ、了承された。
再審査期間は8年。海外では、100を超える国または地域で、急性冠症候群の適応では米国、欧州で承認されている。
▽ミカトリオ配合錠(日本ベーリンガーインゲルハイム):有効成分のテルミサルタン、アムロジピンベシル酸塩、ヒドロクロロチアジドを含有し、高血圧症を効能・効果とする新医療用配合剤。
同剤は、3成分の配合意義について疑義が生じ、4月20日と5月27日の同部会で継続審議扱いとなっていたが、今回、日本循環器学会など関係学会の医師から、服用剤数を減らせるメリットがあることを確認し、了承された。
ただ、複数の委員から、同剤は現在3剤併用し、状態が安定している患者が使用するという位置づけにすべきとの意見があり、厚労省が対応を検討することになった。3成分含有の降圧配合剤は国内初となる。
再審査期間は4年。海外では承認されていない。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は2016年9月7日(水)、継続審議となっていたアストラゼネカの抗血小板薬「ブリリンタ錠」、日本ベーリンガーインゲルハイムの3成分配合の降圧薬「ミカトリオ配合錠」など10件を審議し、了承しました。「ミカトリオ」は国内初の3成分含有の降圧配合剤。2016年4月と5月の同部会で継続審議扱いとなっていましたが、日本循環器学会などの医師から服用剤数を減らせるメリットを確認し、了承されました。