平成の医薬品産業-売上データで振り返る30年~2005年
全盛期迎えた生活習慣病薬‐ARBが急浮上で上位占める
「郵政解散」で自民党が衆議院296議席の記録的な圧勝を果たし、小泉旋風が吹き荒れた2005年。国内の医薬品市場にも業界再編の嵐が巻き起こった。山之内製薬と藤沢薬品が合併して「アステラス製薬」が誕生したのに続き、第一製薬と三共が合併して「第一三共」となった。さらに、大日本製薬と住友製薬による「大日本住友製薬」、帝国臓器製薬とグレラン製薬による「あすか製薬」が相次ぎ誕生。わが国における製薬業界再編の本格化を告げる号砲が鳴り響いた。
その05年の国内売上高でトップに立ったのは、武田薬品のアンジオテンシンII受容体拮抗剤(ARB)「ブロプレス」。1999年の販売開始以来、高血圧症患者に広く処方され、6年で国内売上高1位に上り詰めた。
2位にはファイザーの高血圧・狭心症治療剤「ノルバスク」が00年の3位から順位を上げ、3位はノバルティスファーマのアンジオテンシンII受容体拮抗剤「ディオバン」が一気にトップ3入り。ARBが上位3製品のうち2製品を占めた。
4位には世界的なブロックバスターとなったファイザーのHMG-CoA還元酵素阻害剤「リピトール」が初めてランクイン。上位は高血圧、高脂血症の治療剤が並んだ。
売上高5位以降を見てみると、中外製薬の腎性貧血治療剤「エポジン」が00年の順位5位を維持。6位には、95年と00年の2冠を達成した三共(現第一三共)のHMG-CoA還元酵素阻害剤「メバロチン」が順位を落とした。
7位には、アステラス製薬(現LTLファーマ)の消化性潰瘍治療剤「ガスター」が00年の2位から順位を落とし、8位には万有製薬(現MSD)のアンジオテンシンII受容体拮抗剤「ニューロタン」がランクイン。9位に武田薬品の食後過血糖改善剤「ベイスン」、10位に武田薬品のLH-RH誘導体マイクロカプセル型徐放性製剤「リュープリン」となった。
05年は、売上高上位を降圧剤が独占した。特に、ARB3製品が相次いでトップ10入りを果たすなど、生活習慣病治療剤の全盛期を彷彿とさせると共に、日本の医薬品市場におけるARBの存在感が勢いを増しつつある時代を写し出す順位となった。
(続く)
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
政界に小泉旋風が吹き荒れただけでなく、山之内製薬+藤沢薬品=アステラス製薬、第一製薬+三共=第一三共、大日本製薬+住友製薬=大日本住友製薬、帝国臓器製薬+グレラン製薬=あすか製薬という合併が相次ぎ、製薬業界にも嵐が吹き荒れたのが2005(平成17)年のことでした。そんな2005年、国内売上高でトップを張ったのは武田薬品のARB「ブロプレス」です。ARBといっても石橋凌ヴォーカルのロックバンドではなく「アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤」のARBです、念のため。ARBの3製品がトップ10入りを果たし、その存在感を見せつけた年です。