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平成の医薬品産業・売上データで振り返る30年~2000年

薬+読 編集部からのコメント

2000年なんてつい最近と思いきや、いわゆる20世紀のこと。前年にノストラダムスの大予言が不発に終わったのに続き、「ミレニアム問題」でコンピュータの誤動作により、パソコンが爆発するなんてデマも杞憂に終わり、わりとフツーに「おっはー」なんて挨拶しつつ過ごしていたあの時代、医薬業界は米英日仏独中の国際チームがヒトゲノムのドラフト配列を決定した歴史的成果とともに「ゲノム創薬」の時代へと突入。そんな2000年こと平成12年、国内売上高のトップを走ったのは三共(現・第一三共)のあの商品でした――。

慢性疾患治療剤の時代予感‐「メバロチン」が不動のトップ

 

新しい世紀のスタートが「ミレニアム」(千年紀)としてブームになった2000年。懸念されたコンピュータの誤作動問題も回避され、ライフサイエンスの世界では、米英日仏独中の国際チームがヒトゲノムのドラフト配列を決定したと発表。歴史的な成果は、その遺伝子産物である蛋白質研究などに道を開き、医薬品業界もゲノム創薬の時代に突入した。

 

一方、世界の医薬品市場では、合従連衡の動きが一層活発化した。米ファイザーが大型主力製品の高脂血症治療剤「リピトール」を獲得するため、米ワーナーランバートを買収。95年に統合した英国のグラクソ・ウエルカムとスミスクラインビーチャムが合併し、グラクソ・スミスクラインが誕生。米ファルマシア・アップジョンと米モンサントが合併し、ファルマシアとして新たなスタートを切った。

 

前年には、独ヘキストと仏ローヌ・プーラン・ローラーが合併して仏アベンティスが誕生。さらに、仏サノフィサンテラボ、英アストラゼネカが相次ぎ発足するなど、欧州を舞台に合従連衡が激しさを増していた時代だった。国内でも00年に日本シエーリングが三井製薬を買収し、業界再編の兆しを予感させる動きが見られていた。

 

その00年の国内売上高は、三共(現第一三共)のHMG-CoA還元酵素阻害剤「メバロチン」が1位となった。1995年に続きトップの座を確保。売上高がピークに近づきつつあった中、その強さが際立った。次いで山之内製薬(現LTLファーマ)の消化性潰瘍治療剤「ガスター」が95年の3位から2位に浮上した。

3位には、ファイザーの高血圧・狭心症治療剤「ノルバスク」が初めてトップ3の一角を占め、高い降圧効果と副作用が少ない第3世代のカルシウム拮抗剤として存在感を示した。

 

売上高4位以降を見てみると、万有製薬(現MSD)の高脂血症治療剤「リポバス」、中外製薬の腎性貧血治療剤「エポジン」、大鵬薬品の抗癌剤「ユーエフティ」、第一製薬(現第一三共)の抗血小板剤「パナルジン」と続き、9位には第一製薬(現第一三共)のニューキノロン系合成抗菌剤「クラビット」が入った。「ユーエフティ」と「クラビット」を除く製品は、95年から着実に売上順位を上げている。

 

また、8位には武田薬品のLH-RH誘導体マイクロカプセル型徐放性製剤「リュープリン」がランクインし、10位にも武田薬品の食後過血糖改善剤「ベイスン」が登場するなど、武田の黄金時代を築く国際的なブロックバスターが顔を出し始めた。

 

00年は、糖尿病治療剤がトップ10入りを果たすなど、慢性疾患治療剤の時代の到来を予感させる順位となった。

 

(続く)

 

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