セルフM税制、対象見直しで議論~鼻炎薬など求める意見多く
厚生労働省の「セルフメディケーション推進に関する有識者検討会」が3日に初会合を開き、セルフメディケーション税制の対象範囲見直しに関する議論を開始した。患者数が多い一方で、OTC薬の利用が伸びていない薬効を対象に加えること、医療費適正化効果が低いために除外される品目の経過措置期間として4年間は必要などの意見が上がった。厚労省は、対象範囲や経過措置期間に関する具体案を3月下旬の次回会合で示す。
セルフメディケーション税制をめぐっては、昨年12月に閣議決定された税制改正大綱で、2022年から5年間延長することに加え、医療費の適正化を進めるため、経過措置を設けた上で医療費適正化効果が低い品目を除外するよう求めている。一方、スイッチOTC薬以外の一般用薬で医療費削減効果が著しく高いと認められる品目(3薬効程度)については対象に加えるとされた。
これを踏まえ、検討会では、3月末をメドに税制の対象医薬品の範囲を決めた後、効果の検証方法や税制以外のセルフメディケーション推進施策を検討する予定。初会合では、これら検討課題について意見交換した。
幸野庄司構成員(健康保険組合連合会理事)は、「医療費適正化の観点から、医療機関を受診した場合の医療費とOTC薬の購入額の差が大きいものを対象とすべき」と主張。腰痛、肩こり、鼻づまりなど、患者数が多い一方、OTC薬の利用が伸び悩んでいる薬効を対象に加えるよう求めた。
平野健二構成員(日本チェーンドラッグストア協会理事)は、昨年1年間のOTC薬購入に関するデータを踏まえ、「目薬を除いた、かぜ薬、胃腸薬、鼻炎・アレルギー薬、貼り薬の4薬効を組み合わせることが、税制を利用する上で最も有利に働く」と述べた。
医療費適正化効果が低い品目の除外に必要な経過措置期間について、関光彦構成員(日本医薬品卸売業連合会大衆薬卸協議会大衆薬運営委員会委員)は「製品の品質保証期間を考慮する必要があり、品質保証期間の3年と猶予期間の1年で計4年間は必要」と訴えた。
また、現在の税制について、中島誠構成員(全国健康保険協会理事)は「対象品目が分かりにくい、品目がかなり限定的などの課題がある」と指摘。中野透構成員(国民健康保険中央会常務理事)も「制度が分かりにくく、控除額も大きくない。制度を根本的に見直しても良い」と抜本的な検討を求めた。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2月3日、厚労省の「セルフメディケーション推進に関する有識者検討会」が初会合が開催。セルフメディケーション税制の対象範囲見直しに関する議論を開始しました。患者数が多い一方で、OTC薬の利用が伸びていない薬効を対象に加えること、医療費適正化効果が低いために除外される品目の経過措置期間として「製品の品質保証期間を考慮する必要があり、品質保証期間の3年と猶予期間の1年で計4年間は必要」などの意見が上がっています。対象範囲や経過措置期間に関する具体案は、厚労省より次回会合(3月下旬)で示されます。