医療

薬剤師向けに筋注研修会~国内初、打ち手不足解消へ【長崎国際大学薬学部】

薬+読 編集部からのコメント

5月26日夜、長崎国際大学薬学部が、佐世保市内の薬学部キャンパスで、長崎県内の薬剤師を対象とした新型コロナウイルス感染症ワクチンの筋肉注射の手技を教える研修会を開催しました。薬剤師に「筋注の打ち手」としての期待が高まる中、いち早く対応した格好です。急な研修会にも関わらず、想定を上回る50人(薬局薬剤師42人、病院薬剤師8人)の薬剤師が参加しました。約30分間の講義で、三角筋部に注射を打つ時の角度や刺入の深さ、神経損傷に対するリスクなどを学び、薬学部教員から1時間弱の実技研修を受講。模擬市民となった教員の腕に巻かれた練習用パッドに注射針を刺して、模擬薬液を注入する動作を繰り返し、注射針の角度や深さを実際に体感しました。

長崎国際大学薬学部は26日夜、佐世保市の薬学部キャンパスで、県内の薬剤師を対象に新型コロナウイルス感染症ワクチンの筋肉注射の手技を教える研修会を開いた。筋注の打ち手として薬剤師への期待が高まる中、いち早く対応した格好。急な研修会にも関わらず、想定を上回る50人の薬剤師が参加した。薬剤師向けの筋注研修会は国内で初めて。藤田英明薬学部長は、「研修会で筋肉注射に対する心理的なハードルを下げ、自信をつけてほしい」と話している。

 

研修会には、薬局薬剤師42人、病院薬剤師8人が参加。約30分間の講義で、三角筋部に注射を打つ時の角度や刺入の深さ、神経損傷に対するリスクなどを学んだ後、薬学部教員から1時間弱の実技研修を受けた。模擬市民となった教員の腕に巻かれた練習用パッドに注射針を刺して、模擬薬液を注入する動作を繰り返し、注射針の角度や深さを実際に体感した。

 

参加した薬剤師からは「最初は消極的だったが、講義や手技練習を通して自信がついた」「注射に不安しかなかったが、少し前向きになることができた」などの声が聞かれた。

 

学内で研修会の検討が始まったのは5月の3週目。河野太郎ワクチン担当相の打ち手確保に関する発言を受け、安東由喜雄学長が発案した。薬剤師によるワクチン筋注が認められた場合に、すぐ対応できる体制を整えておくべきと考えたという。学長から依頼を受けた藤田氏は、複数の教員と協力して研修会の内容を急ピッチで練り上げ、26日の開催に至った。

 

当初は薬学部教員を主な対象者にしていたが、県薬剤師会や病院薬剤師会を通じ周知したところ、想定を上回る参加希望者が集まった。反響の大きさを受け、現場薬剤師への実技指導を優先することに決めた。

 

藤田氏は、「薬剤師には筋肉注射に対する心理的なハードルを下げてほしい。そうすれば、できないことはないという意見が増えてくるだろう」と指摘。「打ち手不在でワクチンが山積みされている状況を見ているだけというのは、医療人として心が痛む。一番大事なことは、ワクチンを早く市民に届けることだ」と強調する。

 

実技指導内容を監修した医師で薬学部准教授の太田一寿氏も、「傷つきにくい場所を選んで注射するため、筋肉注射の安全性は高い。打ち手が必要以上に恐れてしまうと、市民を不安にさせてしまう。筋肉注射がどれだけ安全かを理解してもらうことが研修会の目的でもある」と話す。

 

現在の薬学教育で、筋肉注射の実技はコアカリキュラムに盛り込まれていない。研修会に参加した薬剤師を対象に実施したアンケート調査で、薬学教育に導入する必要性を尋ねたところ、約8割が導入すべきと回答するなど前向きな意見が多かった。

 

藤田氏は「必須でなくても、アドバンス的な教育カリキュラムとして採り入れ、非常時に打ち手になれる薬剤師を養成することは悪いことではないはず」との考えを示している。

 

早速、研修会の内容について、関東や中国地方の薬剤師会から問い合わせがあった。今後、薬剤師を対象に筋注研修会を開く動きは全国に広がりそうだ。

 

 

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出典:薬事日報

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