医療費

「薬剤調製料」は一律24点~対物業務の点数引き下げ

薬+読 編集部からのコメント

中央社会保険医療協議会は2月9日に2022年度診療報酬改定案をまとめ、後藤厚労相に答申しました。調剤報酬では調剤料が廃止され、薬剤調製や取り揃え・監査業務の評価として新設された「薬剤調製料」を処方日数に関わらず一律24点とします。その一方で処方内容の薬学的分析や調剤設計、薬歴管理などの業務に対する評価として新設された「調剤管理料」は日数に応じて段階的に評価され、29日以上の場合は60点を算定できるようにするなど対人業務に対する評価が手厚くなっています。

診療報酬改定案を答申

 

中央社会保険医療協議会は9日、2022年度診療報酬改定案をまとめ、後藤茂之厚生労働相に答申した。調剤報酬では調剤料を廃止し、薬剤調製や取り揃え・監査業務の評価として新設した「薬剤調製料」を処方日数に関わらず一律24点とする一方、処方内容の薬学的分析や調剤設計、薬歴管理などの業務に対する評価として新設した「調剤管理料」は日数に応じて段階的に評価し、29日以上の場合は60点を算定できるようにするなど対人業務に対する評価を手厚くした。地域支援体制加算は、調剤基本料の算定や地域医療での実績要件に応じて、現行の38点から17~47点の4段階に分けて算定し、メリハリをつけた評価体系に改めた。

調剤基本料は、店舗数が多い調剤チェーン薬局の評価体系を見直す。「同一グループで処方箋受付回数が月40万回超で処方箋集中率85%超」とする調剤基本料3(16点)の要件に、「同一グループの保険薬局の数が300以上」を追加し、対象を拡大する。

 

現行では42点で算定されていた「同一グループで処方箋受付回数が月40万回超、または同一グループの保険薬局の数が300以上で処方箋集中率85%以下」の薬局については、調剤基本料3(32点)を新設し、基本料を引き下げる。

 

敷地内薬局を想定した特別調剤基本料は、2点引き下げて7点に設定し、地域支援体制加算と後発品調剤体制加算は所定点数の8割にとどめ、保険医療機関に対する服薬情報等提供料は算定できないようにする。

 

調剤業務の評価体系は、対人業務と対物業務が混在していた調剤料を廃止し、「薬剤調製料」「調剤管理料」の二つを新設した。薬剤調製や取り揃え・監査業務を評価する薬剤調製料は、内服薬の調剤料が処方日数に応じた段階的な評価とされていた体系を改め、一律24点とする。

 

これまで1~7日分の調剤料は28点、8~14日分は55点、15~21日分は64点、22~30日分は77点、31日以上は86点に設定されていたが、大きく引き下げられることになる。

 

一方、調剤管理料は、1剤につき1~7日分が4点、8~14日が28点、15~28日が50点、29日以上が60点と日数に応じて段階的に評価する。

 

処方された薬剤について患者や家族から服薬状況の情報を収集し、必要な薬学的分析を行った上で、薬剤服用歴への記録やその他の管理を行った場合、調剤内容に応じて処方箋受け付け1回につき所定点数を算定する。

 

服用時点が同一である内服薬は、投薬日数に関わらず1剤として算定し、4剤以上の部分については算定しない。

 

 

「調剤管理加算」は3点‐6種類以上の薬学的分析

 

複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方された患者が、薬局を初めて利用する場合または2回目以降の利用で処方内容が変更された場合に、必要な薬学的分析を行った際の評価として、「調剤管理料調剤管理加算」(3点)を新設した。施設基準として、重複投薬等の解消にかかる取り組みの実績を有している保険薬局が要件とした。

 

薬剤服用歴管理指導料の中で評価されていた服薬指導は「服薬管理指導料」、調剤料の一包化加算は「外来服薬支援料2」として評価を行う。

 

医療的ケア児に対する薬学的管理や指導を行った場合の評価として、外来で実施した場合は「服薬管理指導料小児特定加算」(350点)、在宅で実施した場合は「在宅患者訪問薬剤管理指導料小児特定加算」(450点)を新設する。

 

医療機関からの求めに応じて、薬局で入院予定の患者の持参薬管理を行い、患者の服用薬に関する情報等を一元的に把握し、医療機関に文書で提供した場合に、3カ月に1回に限り「服薬情報等提供料」(50点)を算定できる。「服用薬剤調整支援料2」については、減薬等の提案により、処方された内服薬が減少した実績があれば現行の100点から110点に引き上げ、実績を満たせない場合は90点に引き下げる。

 

かかりつけ薬剤師以外の薬剤師が、かかりつけ薬剤師と連携して必要な指導等を実施した場合の特例的な評価として、「服薬管理指導料の特例」(59点)を新設した。算定対象は、直近の調剤でかかりつけ薬剤師指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料を算定した患者で、やむを得ない事情で指導を行った場合に処方箋受け付け1回につき算定する。かかりつけ薬剤師以外の薬剤師については、患者への指導で十分な経験を持つ薬剤師1人に限定する。

 

現行は38点で評価されている地域支援体制加算は、調剤基本料の算定、地域医療への貢献にかかる体制や実績に応じて類型化した4段階の評価に見直す。地域支援体制加算の実績要件のうち、1薬局当たりの「在宅薬剤管理の年間実績」は12回以上から24回以上、調剤基本料1以外の薬局について、地域支援体制加算の要件となっている「単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理実績」も処方箋1万枚当たり年間12回以上から24回以上に厳格化する。

 

これを踏まえ、調剤基本料1を算定する薬局については、「地域支援体制加算1」の要件をクリアしていれば現行の38点から39点に引き上げる。地域支援体制加算1の要件に加え、調剤基本料1以外の薬局に対する現行9要件のうち三つ以上を満たす場合には、「地域支援体制加算2」(47点)を新設し、最上位の評価とした。

 

調剤基本料1以外の薬局については、現行9要件のうち八つ以上を満たせば「地域支援体制加算4」(39点)を算定でき、麻薬小売業者の免許を受けている上で現行9要件のうち「かかりつけ薬剤師指導料等の実績40回以上」「単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績24回以上」を含む三つ以上を満たせば、「地域支援体制加算3」(17点)を算定できるようにする。

 

地域支援体制加算の算定薬局が災害や新興感染症の発生時に医薬品供給や衛生管理にかかる対応など、地域で必要な役割を果たすことができる体制を確保した場合の評価として「調剤基本料連携強化加算」(2点)を新設する。

 

 

後発品加算「80%以上」‐50%以下は5点減算

 

後発品調剤体制加算は、後発品の調剤数量割合基準を現行の75%から80%に引き上げ、評価を見直す。後発品調剤体制加算1(80%以上)が21点、同加算2(85%以上)が28点、同加算3(90%以上)が30点とハードルを高くした。

 

一方で、後発品の調剤数量割合が低い薬局に対する減算規定については、後発品数量割合を4割以下から5割以下に対象範囲を拡大し、減算点数を2点から5点に引き上げる。経過措置として9月末までは現在の規定を適用する方針。

 

医師が医学的必要性を認めた場合を除き、外来患者に対して保険給付の範囲内で処方できる湿布薬の上限枚数を、1処方につき70枚までから63枚までに変更する。

 

やむを得ず63枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方箋や診療報酬明細書に記載することで算定可能とすることとした。

 

情報通信機器を用いた服薬指導の評価も見直す。情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合、現行の43点から、原則3カ月以内に再度処方箋を提出した患者は45点、それ以外は59点に引き上げる。現行の算定基準となる「月1回限りの算定」、施設基準となる「薬剤服用歴管理指導料のうち、情報通信機器を用いた服薬指導の算定回数割合が1割以下」の要件は撤廃する。

 

薬剤師の病棟業務を評価する「病棟薬剤業務実施加算」は、小児入院医療管理料を算定する病棟に対象を拡大する。

 

手術室の薬剤師が病棟の薬剤師と薬学的管理を連携して実施した場合の評価として「麻酔管理料(I)」(75点)を新設する。

 

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出典:薬事日報

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