高血圧症治療アプリ承認へ~ソフトウェア単体は国内初
薬事・食品衛生審議会プログラム医療機器調査会は9日、キュアアップの高血圧症治療用アプリの薬事承認を了承した。医療機器のクラス分類はクラスII。高血圧症治療アプリは、ソフトウェア単体としては国内初の治療用アプリで、高血圧症では世界初となる。厚生労働省は4月中をメドに正式承認する見通し。
高血圧症治療用アプリは、本態性高血圧症の治療補助として使われる。高血圧症患者に対し、患者ごとに行動変容を促し、生活習慣の修正を行うことで降圧効果を発揮する。
使用方法は、医療機関初診時に医師が行動変容が見込める患者に処方コードを発行し、患者はアプリをインストール後、処方コードを入力してアカウントを登録すると使用できるようになる。
通院と通院の治療空白期間は、治療用アプリによりサポートし、医師から患者には降圧効果に必要となる個別化された食事や運動などの治療ガイダンスが送られ、患者はアプリに配信される内容を実施する。
患者が記録した血圧値や体調などの情報を収集し、限られた時間で指導を行うことで適切な介入を行い、生活習慣の修正を促す。
ただ、患者の治療が医師の管理内であることを確認できない場合は、患者アプリは管理下にあったことを確認できた日から128日以内で利用が制限されることになっている。
国内第III相試験では、主要評価項目の「12週時点における家庭血圧平均値のベースラインからの変化量」について、生活習慣の修正指導と治療アプリを組み合わせた介入群が、生活習慣の修正指導のみの対照群に比べ、2.4mmHg減少させた。
この日の調査会では、国内臨床試験で示された臨床的エビデンスが論点となった。出席した参考人は介入群と対照群の群間差2.4mmHgの臨床的意義について「脳心血管イベントの発症リスク10%低下に相当する」と評価。委員からは異論は出なかった。
製造販売後の有効性・安全性データは自動的に蓄積することが可能であるため、承認条件として「承認後1年を経過するごとに、有効性情報を収集し、有効性が維持されていることをPMDAに報告すること」とされた。
一方、初回承認後に年に2~3回のアプリの仕様変更が行われる見込みのため、その場合はキュアアップからPMDAに軽微変更の届出を行うよう求めた。
同社は2020年12月に日本で保険適用された禁煙治療アプリで市場に参入を果たした。佐竹晃太CEO(顔写真)は同日、厚労省内で記者会見し、「高血圧症患者約4300万人のうち、約3000万人は治療を受けていない。治療を受けていてもコントロール不良という現状にある」と説明。
薬剤の服用に抵抗感を持つ患者や生活習慣を是正できない患者に対し、「治療用アプリが有効な治療手段になる」と強調した。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
3月9日、薬事・食品衛生審議会プログラム医療機器調査会が本態性高血圧症の治療補助として使用されるキュアアップの高血圧症治療用アプリ(※医療機器のクラス分類はクラスII)の薬事承認を了承。高血圧症治療アプリは、ソフトウェア単体としては国内初の治療用アプリで、高血圧症では世界初。厚労省は4月中をメドに正式承認する見通しです。高血圧症患者に対し、患者ごとに行動変容を促し、生活習慣の修正を行うことで降圧効果を発揮するものです。