アベクマ、薬価3265万円で了承~4番目のCAR-T療法
中央社会保険医療協議会総会は13日、再生医療等製品でブリストルマイヤーズスクイブのCAR-T療法「アベクマ点滴静注」(一般名:イデカブタゲンビクルユーセル)を20日付で薬価基準に収載することを了承した。
類似薬効比較方式Iで算定し、1患者当たりの薬価を3264万7761円に設定した。国内で4番目のCAR-T療法。市場規模はピーク時の10年目に149人、販売額は49億円と予測している。
同剤は、ノバルティスファーマのCAR-T療法「キムリア点滴静注」を比較薬とし、類似薬効比較方式Iで算定した。補正加算は適用されないものの、2019年11月に希少疾病用再生医療等製品に指定されているため、新薬創出・適応外薬解消等促進加算に当たる。
薬価収載に先立ち、1月の総会で、医薬品として薬価算定することを了承していた。再発または難治性の多発性骨髄腫を効能・効果とする同剤は、国内初のヒトB細胞成熟抗原(BCMA)を標的としたCAR-T療法に位置づけられている。
BCMA抗原を標的としたCAR-T療法の治療歴がなく、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤および抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む三つ以上の前治療歴を有し、かつ直近の前治療に対して病勢進行が認められたまたは治療後に再発した患者に投与は限られる。
エンハーツ約2%引下げ‐費用対評価で価格調整
また、同日の総会では、第一三共の抗癌剤「エンハーツ点滴静注用100mg」(一般名:トラスツズマブデルクステカン)の費用対効果評価に基づく価格調整後薬価を現行薬価から約2.2%引き下げることも了承した。100mg1瓶の調整後薬価は、現行薬価の16万8434円から16万4811円に引き下げる。7月1日から適用される。
費用対効果評価は、市場規模が著しく大きいか著しく単価が高い医薬品・医療機器を対象にいったん保険収載した上で、価格調整に用いる制度。
同剤は、化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発乳癌、癌化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌を効能・効果としている。
具体的には、患者割合が最多(58.9%)の乳癌を評価対象とし、トラスツズマブ+ビノレルビンと比べて費用や効果がどれだけ増加するか分析した結果、ICER区分を「750万円/QALY以上1125万円/QALY未満」と評価したため、価格調整係数を0.7とした。
また、胃癌も評価対象とし、ニボルマブを比較対照とした結果、ICER区分を「1125万円/QALY以上1125万円/QALY未満」「費用増加」と評価したため、価格調整係数をそれぞれ0.4と0.1とした。
そのため、この日の総会で提示された価格調整後の薬価は、現行価格から約2.2%減の16万4811円としていた。
同製品はピーク時の予測販売額が129億円と、市場規模が100億円を超えていたため同制度の対象と判断され、2020年5月の総会で費用対効果評価品目に指定されていた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
4月13日、中央社会保険医療協議会総会は再生医療等製品でブリストルマイヤーズスクイブのCAR-T療法「アベクマ点滴静注」を4月20日付で薬価基準に収載することを了承。類似薬効比較方式Iで算定し、1患者当たりの薬価を3264万7761円に設定しました。 また、第一三共の抗癌剤「エンハーツ点滴静注用100mg」の費用対効果評価に基づく価格調整後薬価を、現行薬価から約2.2%引き下げることも了承しています。