9価HPVワクチン定期化~3回接種、来年度に実施
厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会は4日、MSDの9価HPVワクチン「シルガード9」を来年度早期から定期接種化する方針を決めた。3回接種とし、現行の定期接種で使用している2価、4価ワクチンも引き続き接種可能とした。接種者の負担軽減等の観点から2回接種を実現するため、メーカーに9価の変更承認申請を促すことなども確認した。
8月のワクチン評価に関する小委員会では、9価ワクチンの定期接種化を技術的観点から検討。4価がカバーできないハイリスクの遺伝子型に対する有効性が確認され、安全性についても接種後の全身症状は4価と同程度とした。費用対効果も比較的優れているとして、「9価を定期接種に追加することに問題はない」と結論づけていた。
小委員会の結論を踏まえ、この日の部会では、▽接種対象者と接種方法▽使用するワクチンの種類▽定期接種化の開始時期――が論点となった。
厚生労働省は、接種対象者と接種方法について、承認されている3回接種を前提に定期接種化を進める案を提示。
使用するワクチンの種類として、9価の供給状況等を考慮して定期接種化後も当面の間は2価、4価を使用可能とすること、開始時期は2023年度早期とし、対象者が既に任意接種の一部を行った場合は残りの接種は定期接種として扱うことも提案した。
委員からは、3回接種から2回接種への接種回数の削減を求める声が相次いだほか、2価ワクチンの取り扱いについて9価や4価と並存させることを疑問視する意見が出た。
厚労省は、積極的勧奨の中止により接種機会を逃した女性に行っているキャッチアップ接種に言及。「過去に2価を接種した人には、原則2価でお願いしており、9価とはメーカーや製造方法も異なる」とし、当面は2価を選択肢として残す考えを示した。
脇田隆字部会長(国立感染症研究所長)は、▽23年度早期の接種開始に向けて準備を進める▽3回接種で実施するが厚労省がメーカーに2回接種の承認申請を行うよう働きかける▽定期接種化後も2価と4価を使用できるようにする――と結論づけた。
キャッチアップ接種における9価の取り扱い、2価・4価と9価の交互接種に関するエビデンスに関しては、次回以降に検討する見通し。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚労省の「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」は4日、MSDの9価HPVワクチン「シルガード9」を来年度早期から定期接種化する方針を示しました。3回接種とし、現行の定期接種で使用している2価、4価ワクチンも引き続き接種可能としています。