ADR成立、債務免除558億円~不採算品撤退も【日医工】
国内最大手後発品メーカーだった日医工の事業再生ADR(裁判外紛争手続き)に基づく事業再生計画が昨年12月28日、第3回債権者会議で全金融機関15行の合意により成立した。前年度末の債務総額2359億円の約2割に当たる約558億円(最大985億円)の債務免除を受ける。計画成立により、約200億円の第三者割当増資の引受先であるファンド傘下で再建していく方向となった。再建策の一つに不採算品撤退も盛られており、同社は今後、厚生労働省と調整していく方針。
ファンド傘下入りスキームが2月の臨時株主総会で承認されれば、3月にも田村友一社長は退任。4月までに上場廃止のうえ、新体制で日医工の経営再建が動き出す。
同社は、▽富山工場の生産改善▽不採算品の撤退およびコスト削減による収益構造改革▽遊休資産等の売却による財務基盤の強化▽スポンサーコンソーシアムによる品質保証・品質管理体制の強化支援および医薬品の販売体制再構築支援――に取り組み、事業再構築を図る。
この中で、削減する不採算品目数やコスト削減規模、売却対象施設は開示しておらず、今後詰める。一部工場の売却報道もあったが、同社は「現時点で決定したものはない」としている。
これら事業再構築と金融支援、第三者割当増資による債務圧縮、資本増強を図り、事業計画3年目の2026年3月期の黒字化を目指す。同社は、計画成立に当たり「当社一丸となって不退転の決意を持って抜本的な事業再生に取り組む」とコメントした。
厚労省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の安藤公一課長は「事実関係をきちんと把握できておらず、今はコメントできる状況ではない」としている。
同社は、21年3月の違法製造による最大32日間の業務停止命令の影響や米国事業の損失などで経営、財政状態が悪化し、22年3月期決算で1049億円の最終赤字を計上。昨年5月13日に事業再生ADRを申請した。その後、債権者会議で事業再生計画案について協議を進めてきた。
11月14日には、23年3月期中間決算で356億円の債務超過に陥ったことを公表。合わせて、投資ファンド傘下で経営再建を図る案も発表した。具体的には、投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)と日医工の筆頭株主で医薬品卸メディパルホールディングスが出資する合同会社ジェイ・エス・ディー(JSD)に約200億円の第三者割当増資を引き受けてもらい、上場廃止した上でJSD傘下に入るもの。
同社は20年3月期には売上高1900億円に達し、後発品市場金額シェアは1割超の規模だった。現在の取り扱い品目数は、販売品を含め1470品目、製造販売品だけでも1000品目弱に上る。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
国内最大手後発品メーカー日医工の事業再生計画が成立しました。同社は前年度末の債務総額2359億円の約2割に当たる約558億円(最大985億円)の債務免除を受けるほか、▽富山工場の生産改善▽不採算品の撤退およびコスト削減による収益構造改革▽遊休資産等の売却による財務基盤の強化▽スポンサーコンソーシアムによる品質保証・品質管理体制の強化支援および医薬品の販売体制再構築支援などに取り組み、事業再構築を図ります。