医療

緩和専門薬剤師が広告可に~資格認定、薬剤師で2番目

薬+読 編集部からのコメント

2020年度に制度が発足し、現在4人の資格取得者がいる日本緩和医療薬学会の緩和医療専門薬剤師が、2月17日付で厚労省から広告可能な資格として認められました。今後は国から“お墨付き”を得た資格として、看板やチラシ、雑誌等での医療機関の対外的な広告に、専門資格を持つ薬剤師の存在を明記可能となります。看板やチラシ、雑誌等での医療機関の広告内容は、誇大表現などで患者さんを誤認させないように医療法で厳しく規制されています。

日本緩和医療薬学会の緩和医療専門薬剤師が、厚生労働省から広告可能な資格として認められた。国からお墨付きを得た資格として、看板やチラシ、雑誌等での医療機関の対外的な広告に、専門資格を持つ薬剤師の存在を明記できる。院内外での認知度や社会的な信用の向上にもつながりやすい。薬剤師で広告可能となった資格は、2010年5月に承認された日本医療薬学会の「がん専門薬剤師」に続き二つ目となる。

 

緩和医療専門薬剤師制度は20年度に発足し、現在4人の資格取得者がいる。年1回、5月頃に新規認定を行っており、資格取得者は段階的に増える見込みとされている。

 

2月17日付で厚労省から広告可能な資格として認められた。同学会代表理事の塩川満氏(聖隷横浜病院薬剤部長)は、「緩和医療における薬剤師の役割を社会に広めていくのが学会の任務。その一貫として、専門薬剤師制度の構築当初から広告可能な資格を実現したいと考えていた」と語る。

 

看板やチラシ、雑誌等での医療機関の広告内容は、誇大な表現などで患者を誤認させないように、医療法で規制されている。医師ら医療従事者の資格の広告も規制されており、要件を満たした資格や日本専門医機構等の認定資格しか広告に載せることはできない。

 

裏を返せば、広告可能な資格として認められることは、社会に知らしめて良い資格と国からお墨付きを得たことを意味する。社会的な認知度向上につながりやすい。

 

薬剤師の資格が広告可能と認められるのに必要な要件は、▽認定する学会の会員数が1000人以上で、その8割以上が同認定に関する医療従事者▽資格認定に際して薬剤師は5年以上の研修実施▽適正な資格認定試験の実施▽資格の定期的な更新――などとなっている。

 

同学会は、これら要件の達成を視野に入れて制度の構築を進めた。学会認定の研修施設で5年以上の研修歴が必要な制度とし、研修のコアカリキュラムやガイドライン、マニュアル、研修評価表、規定、細則を策定。厚労省の評価に耐え得る制度を設計した。

 

制度設計を担当した同学会認定制度委員会副委員長の岡本禎晃氏(市立芦屋病院薬剤部長)は、「身体症状の緩和だけでなく、心のケアや地域連携など、緩和領域の全てを実践できる薬剤師を専門として認定している。今後専門薬剤師が増えると共に、薬剤師に何ができるのかという認識が広まれば良い」と期待する。

 

緩和医療専門薬剤師は約3年前にできた制度で、まだ資格取得者は少ない。資格取得に必要な要件の一つが、緩和薬物療法認定薬剤師として5年以上の資格保有歴。同認定薬剤師の数は昨年3月時点で772人、このうち5年以上の資格保有者は約600人存在する。

 

この中から、専門取得に必要な要件として、▽5年以上の研修▽2回以上の学会発表▽1報以上の原著論文発表▽口頭試問形式の試験合格――などを達成し、専門薬剤師になる人が増えれば、社会への影響力がより強くなる。

 

塩川氏は「社会からは緩和ケアチームの一員として薬剤師がまだ十分に認識されていない」と語る。学会として、緩和ケア領域の研究推進や、医療用麻薬の使用促進を含む鎮痛薬の普及啓発活動、薬剤師教育の強化に取り組むだけでなく、「地域緩和医療の推進や、地域で活躍する薬剤師の育成にも力を入れたい」としている。

 

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出典:薬事日報

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