医療

多剤対策実施病院は48%~長期療養型で6割超える

薬+読 編集部からのコメント

福岡市内で開かれた県医薬品適正使用促進連絡協議会(3月3日)で報告されたところによると、福岡県では2022年度事業で県下病院に実施した処方適正化(ポリファーマシー対策)の実態調査の結果、対策を実施している医療施設は全体の48.1%でした。このうち、薬剤総合評価調整加算の算定率は55.2%となっています。この調査は2022年度、県病院薬剤師会に委託し、書面調査では県内の病院約456施設を対象に行い、181施設から有効回答を得たものです。

福岡県は、2022年度事業で県下病院に実施した処方適正化(ポリファーマシー対策)の実態調査の結果、対策を実施している医療施設は全体の48.1%だったことを明らかにした。このうち、薬剤総合評価調整加算の算定率は55.2%だった。3日に福岡市内で開かれた県医薬品適正使用促進連絡協議会(写真左)で報告された。

調査は今年度、県病院薬剤師会に委託し、書面調査では県内の病院約456施設を対象に行い、181施設から有効回答を得た。

 

その結果、181施設のうち約半数の87施設(48.1%)でポリファーマシー対策を実施していることが分かった。病院機能は、長期療養型病院(60.9%)、地域医療支援病院(59.4%)で特に実施率が高かった。未実施の94施設のうち51施設(54.3%)で実施に向けて検討する予定であることも分かった。

 

減薬に至った場合に算定できる薬剤総合評価調整加算は、実施施設のうち算定は48施設(55.2%)、非算定は33施設(37.9%)、算定対象外の施設は6施設(6.9%)だった。

 

実施施設では、▽医療従事者のポリファーマシー対策への意識や患者満足度の向上▽医薬品購入金額の減少に寄与――という回答が多かった。実施病院では、非実施病院に比べて病棟薬剤業務実施加算や薬剤管理指導料を算定している施設が多かった。また、対策を実施している病院では、ポリファーマシーに関して院外施設と連携を図る施設が多いことも判明した。

 

先進的な取り組みを実施している4施設を調査したところ、人員体制では診療報酬とは関係なく、病棟や入退院支援部署に薬剤師を配置し、処方適正化に努めている特徴が見られたほか、病棟等での薬剤師の業務時間を確保するため、薬剤の在庫管理などの業務を非薬剤師スタッフへ積極的にタスクシフトしていることが分かった。

 

組織体制では、多職種が参加するカンファレンスが定期的に実施されていたり処方見直しチームの設置のほか、医師と随時協議できる環境があるなど院内で連携体制が構築されていた。

 

院外施設との連携は、お薬手帳や施設間の情報連絡書を活用した服薬情報や減薬理由などの共有も行われていた。ポリファーマシー対策に取り組む前と比べ、1カ月当たり300万円程度、医薬品の購入費用が減少した施設もあった。

 

この日示された調査報告書では、ポリファーマシー対策のさらなる推進に向け、▽病棟での薬剤師業務の充実化を図る▽実施施設でノウハウを共有し、対策の効率化と質向上を図る▽有用性に関するエビデンスを構築していく――ことなどが重要と結論づけた。

 

同協議会の秋下雅弘会長(東京大学大学院医学系研究科老年病学)は「ポリファーマシー対策では中長期入院が適正化の良い機会になる。薬局や外来診療でどう取り組むかが今後の課題。全ての高齢者に関わる職種に対策が必要という意識の共有が重要になる」とした。

 

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出典:薬事日報

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