年間価値額は最大468万円~レカネマブで日本版論文【エーザイ】
エーザイは17日、早期アルツハイマー病(AD)薬として国内承認申請中のレカネマブについて、日本の制度・環境下における医療費や介護費の削減、家族の介護負担の軽減を折り込んだ社会的価値額は、3年強投与した場合、最大で年間467万5818円とのシミュレーション結果を発表した。同剤の価格設定の透明性を高める狙いで米国でも実施し、今般日本版を論文にまとめた。
米国では価値額を元に年間発売価格を算出したが、日本版では示していない。承認後の薬価算定について内藤晴夫CEOは3月、この論文公表を念頭に「革新的医薬品の薬価算定はそのもたらす社会的インパクトを評価することにより行われるべき」と話していた。
米国では年間価値額を3万7600ドルと算出しているが、今回算出した日本版は米国版とおおよそ同水準といえる。国内承認後の薬価算定交渉で同社は、論文結果をどう扱うかは明言を避けているが、赤名正臣常務執行役は同日「イノベーション評価について重要な情報」とコメントした。薬価算定を担当する厚生労働省保険局が医療費のみを所管している中で、その外の介護費までを視野に入れた交渉はチャレンジと言える。
論文では、医療費に限った場合、公的介護費も含めた場合、患者家族のインフォーマルコストまで含めた「社会的観点」を取り入れた場合の3ケース、治療への支払い意思額を4ケースの計12通りの年間価値額を計算。最低133万1305~467万5818円と算出された。その中でADは広く影響することから、「社会的観点」のケースを想定し、支払い意思額を最大で算出することが妥当だとし、467万円余りの年間価値額になることを示した。
論文は、米国版同様に「Neurology and Therapy」に16日に掲載した。筆頭著者は横浜市立大学医学群准教授の五十嵐中氏。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
5月17日、エーザイが早期アルツハイマー病薬として国内承認申請中のレカネマブについて、日本の制度・環境下における医療費や介護費の削減、家族の介護負担の軽減を折り込んだ社会的価値額は、3年強投与した場合、最大で年間467万5818円とのシミュレーション結果を発表しました。米国内では価値額を元に年間発売価格が算出されましたが、日本版では示されていません。