QRコードで服薬情報~入院時薬薬連携に運用
東北大学医学部附属病院薬剤部は、保険薬局との薬薬連携ツールにQRコードを活用し、入院時の服薬情報を電子的に共有する取り組みを行っている。QRコードをバーコードリーダーで読み取ることで、入院時の服薬情報等を電子カルテに電子的に取り込むことができ、薬剤部の持参薬確認業務の効率化につなげている。一方、薬局から提供される入院時服薬情報提供書の3割は、患者IDの間違いや記入漏れなど不適切な内容であることが判明した。十分に情報を活用するためには、運用の周知など薬局側の理解促進が課題となっている。
2022年度診療報酬改定で、医療機関の求めに応じて、必要な場合に入院予定患者の持参薬整理を行うと共に、患者の服用薬に関する情報等を一元的に把握し、医療機関に文書等で提供した場合に保険薬局は「服薬情報等提供料3」(50点)を算定することが可能になった。
同院薬剤部は22年度改定を契機に、患者の入院日情報を薬局に提供し、入院時の服薬情報等を入手する仕組みを構築した。
入院が決定した患者は、同院入退院センターで事前説明を受ける。事務員が患者に薬局への入院日情報の提供について説明し、同意が得られた患者のお薬手帳に入院日を記載したシールを貼付することにした。
薬薬連携ツールに「QRコード付き入院時服薬情報提供書」の作成機能を新たに組み込み、連携を希望する薬局に無償で配布。QRコードを活用した電子カルテへの服薬情報の電子的取り込みの運用を開始した。
取り組みを開始した昨年8月から今年5月までに入院患者の65%が入退院センターを利用し、そのうちお薬手帳に入院日を記載したシールを貼付した割合は月平均56.5%に上った。
薬局への薬薬連携ツールの配布は5月末時点で145薬局となっており、薬局からの入院時情報提供書の送付は482件となった。シール貼付から入院時情報提供書送付の割合は7.1%だった。
入院時情報の提供があった患者数と持参薬報告書の作成に活用できた件数は増加傾向にある。件数こそ少ないものの、薬局薬剤師の提案事項が入院後の薬学的管理に活用される成果も生まれているという。
一方で、送付された入院時情報提供書のうち30%が不適切な内容であるとの課題も浮き彫りとなった。不適切事例として最も多かったのが「患者IDの間違い/記載なし」で、「QRコードなし」「報告の遅延」「入院予定日の間違い/記載なし」の順となっている。
佐藤真由美副薬剤部長は、「服用薬の情報が一元管理されていないなど不適切なケースも見られ、情報を十分に活用できていないのが課題。今後、薬局薬剤師と課題を共有する場を設け、解決に取り組んでいきたい」と話している。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
QRコードを保険薬局との薬薬連携ツールに活用し、入院時の服薬情報を電子的に共有する取り組みを東北大学医学部附属病院薬剤部が行っています。バーコードリーダーでQRコードを読み取ることで、入院時の服薬情報等を電子カルテに電子的に取り込むことができ、薬剤部の持参薬確認業務の効率化につなげています。